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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

「SB University 2023」で体感した、サステナブル・ブランド国際会議のサステナビリティとは?

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SB国際会議2023東京・丸の内

サステナブル・ブランド ジャパンの次世代育成プログラム「SB University」は、リジェネラティブな(再生型の)社会へのシフトを加速するため、大学生から新たなアクションを起こすことを目的としている。SB国際会議を主催する博展は、「SB University 2023」に応募した全国の大学生・大学院生30人をSB国際会議に招待。大学生らは2日間のセッションに参加し、さまざまな分野のサステナビリティについて学びを深めた。プログラムのまとめとなるWrap Up Meetingでは、参加者全員でセッションから得た気づきなどを率直に話し合った。(安彦守人)

ファシリテーター
早川沙枝香・博展 人事 兼 サステナビリティ推進部
アドバイザー
鈴木亮介・博展 EMX事業ユニット#2クリエイティブ局長/アートディレクター サステナビリティ推進部
オブザーバー
白川陽一・博展 サステブル・ブランド事業部長 兼 サステナビリティ推進部長
(所属・役職は開催当時)

気づいたのは、マインドにもサステナビリティがあること

Wrap Up Meetingではまず、プログラムの事前研修で出されていた課題「スカベンジャーハント(がらくた集め)」の発表があった。それぞれが会場やプログラムの中で「サステナビリティ」を感じたデザインを集めてくるアクティビティで、数や内容を競うのではなく、個々人の自由な気づきを参加者同士で共有し合うのが目的だ。参加者は4〜5人ごとのグループになり、それぞれ集めた内容を付せんに書き出し、メンバー同士でその内容を共有し合い、さらにカテゴリーごとに分類していった。あるグループでは、同じイベントを体験したのにそれぞれ感じたことが異なり、驚いているような場面もあった。

最初に発表したグループは、サステナビリティを「リサイクル」「素材」「マインド」「デザイン」「食」の5つのカテゴリーに分けた。模造紙の中心にはマインドが配置されている。発表者は「オープニングプレナリーで、サステナブル・ブランドの精神性について語られているのを聞き、マインドにもサステナビリティがあることに気づいた」ためだと説明した。またサステナブルなデザインの例として、展示のカーボンオフセット、ヴィ―ガン対応の弁当の配布、都市での地産地消を目的としたビル屋上の畑の取り組みなどを挙げた。

2つめのグループは、開催方法に注目した。前年までは、会場はパシフィコ横浜(横浜市)のみであったが、今年は東京国際フォーラム(東京・千代田)を中心に丸の内エリアを活用したエリア型カンファレンスへと大きく変わった。発表者はこうしたエリア型カンファレンスについて、「いろいろな場所でやることで、参加者の集中力が持続すると思う」「頭がサステナブルだけで凝り固まってしまうよりも、途中の移動で現実に戻り、自分の考えや意見を整理できることが良かった」などと意見を述べた。

この発表を受けて、オブザーバーを務めた博展の白川陽一は、「サステナブル・ブランドを認知していない方にも参加のきっかけを作れないか」という部分に課題意識があったことを明かした。エリア型開催には、運営や案内で多くのスタッフが必要となるが、丸の内で働く人やショッピングで訪れる人たちを巻き込むという狙いで、丸の内のエリアマネジメントをしているDMO(Destination Marketing Organization)東京丸の内と連携し実現させた。「サスナビリティの一番の課題は、個々の活動だけではなかなか前に進まないこと。大事なのは横の連携。だからこそ、まちぐるみで参加者を増やしたかった」(白川)

続いて、博展の鈴木亮介がイベント制作担当の立場から、展示物にはなるべくリサイクル素材を使うこと、簡易な施行方法を用いることで会場の電気使用量を削減すること、給水スポットを設けることでマイボトル持参を促すことなど、実際に行ったサステナブルデザインの事例を紹介した。また、大学生や高校生など次世代の若者を招くことも『仕組みのサステナビリティ』だという。

鈴木は、「目に見えるものだけでなく、コミュニケーションや仕組みもすべてデザイン。その体験の積み重ねにより強度を強め、サステナビリティの実装につなげてほしい」と思いを語った。

SB国際会議の学びから、それぞれのアクションへ

次に今回のSB国際会議で印象深かったセッションについての共有では、ファシリテーターを務めた博展の早川沙枝香が「業務でダイバーシティを推進しているが、多様性を考えるにはまず、自分の価値観を広げることが大事だと気づいた」と自身の学びについて話した。その後、参加者は3人1組になり立ったままで、「コロナ禍で傷つけられた子どもたちの自尊心を取り戻す活動が印象に残った」「サステナブルと幸せの両立について考えさせられた」などとそれぞれ印象に残ったセッションについて語り合った。

まとめでは、「本質に立ち返り、行動変容を加速させよう」という今年のSB国際会議のテーマ「Recenter & Accelerate」に沿って2日間の振り返りを行い、それぞれどのようなアクションを起こしていけそうかをグループで話し合った。各テーブルからは、「今回の経験を自分の勉強に役立てたい」「マイボトルを持ち歩いても補給する場所がない。もっと街中にウォーターサーバーを増やしたい」「企業が予想以上にオリジナリティーをもって活動していることが分かった。自分も見習っていきたい」など、前向きで自身のアクションにつながるような意見が多く出ていた。

最後に意見を発表した大学生は、大学を休学し昆虫食の事業を立ち上げたという。昆虫食は人口増加で不足するたんぱく質の代替食品として注目されているが、昆虫というイメージだけで毛嫌いされている現状がある。この大学生は、レストランとサステナビリティを考えるセッションに参加し、メニューのプレートからどのような思いで食材1つ1つを生産者が作っているのかを知った。「自分が作っている昆虫食も、どのような思いがあってどのような素材で作っているのか、思いがしっかり伝わるように言語化していきたい」と力強く語った。