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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

次世代育成プログラム「nest」の現在地、第1期メンバーが活動報告

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SB国際会議2023東京・丸の内

(左から)入江氏、前田氏、柳原氏、常廣氏、山口氏

Day2 ランチセッション

サステナブル・ブランド ジャパンは、次世代育成プログラムの一環として、16〜25歳の若者を対象に、社会課題の本質やビジネスを起点としたソーシャルアクションについて学ぶユースコミュニティ「nest(ネスト)」を2022年に創設した。本セッションでは、nestの第1期メンバーが登壇し、一年間の活動を通して得た学びや気づき、今後の展開について報告した。(有村絵理)

ファシリテーター
入江遥斗・nest[SB Japan Youth Community]プロデューサー 横浜国立大学
パネリスト
前田将太・創価高等学校
柳原琢馬・愛知淑徳大学
常廣珠実・青山学院大学
山口笑愛・かえつ有明高等学校
※以上、全てnest[SB Japan Youth Community]メンバー、学校名は開催当時

はじめに、本セッションのファシリテーターを務める入江遥斗氏からnestの活動内容について説明があった。第1期のメンバー約30人は、5~9月にサステナビリティに取り組むNPO職員や企業担当者から話を聞き学ぶ、インプット期を経て、その後「環境」「地域」「教育」のグループに分かれて、社会課題の解決に取り組んだ。

前田氏
(SB国際会議資料より)

環境グループは「エコツーリズムを本質化する」をテーマにした。日常生活ではごみの分別をしたり、フードロスに気を付けたりしているのに、旅先では配慮できていないことに気づいたからだ。全世代を対象に、エコツーリズムという言葉の認知やイメージ、観光地での環境破壊の認識、交通や宿泊におけるエコ意識などについて、アンケート調査を行い、なぜ旅先では配慮できないのかを探った。

その結果、旅行先で環境に配慮したアクションをとることは「ハードルが高い」と思われているからだとわかった。メンバーはさらに分析を進め、「目的を明確に」「行動ハードルを下げる伝え方」など、エコツーリズムを本質化する4つのアクションを提案した。環境グループ代表の前田将太氏は、「今後もこうしたアンケート調査や、ホテルなどで行われているサステナブルな取り組みの検証などを続けていきたい」と抱負を語った。

柳原氏
(SB国際会議資料より)

地域グループは「地方創生」をテーマに、新潟県の佐渡島と山梨市の2つの地域について、それぞれ活動を行った。

離島である佐渡島を選んだグループ代表の柳原琢馬氏は、「自立した経済や文化がある離島に焦点を当てることで、その地域に潜む新たな課題を模索したかった」と理由を述べた。グループは、日本旅行やサンフロンティア不動産にヒアリングし、「地域の良さを観光客に伝えられる環境がない」という課題を発見。さらに空き家問題に取り組むSoler Crewにヒアリングして、空き家を活用し地域の特産である日本酒をメインにした、地域住民と観光客が出会える居酒屋を作ることを提案した。

常廣氏
(SB国際会議資料より)

山梨市を取り上げたグループは、「交通・宿泊施設」「ブドウ農家の発信力」「収穫期の人手」とあらゆるものが不足している地域の課題と、首都圏に暮らすZ世代が抱える「なんとなく過ごしている」「なんでもありすぎる」「コミュニケーションに飢えている」という課題を同時に解決できる旅のプランを考えた。グループ代表の常廣珠実氏は、ブドウの収穫とワイン造りをメインにし、時間をかけることを大切にしたくなる「首都圏の大学生一泊二日ツアー」や「首都圏の農大生のインターン受け入れ」「学生による空き家開発プロジェクト」を笑顔で紹介。企画内容はリーフレットにまとめ、会場で配られた。

山口氏
(SB国際会議資料より)

教育グループは「well-being」を研究テーマにした。「良好な状態」を意味するwell-beingには、医学の領域である「医学的well-being」、感情の領域である「快楽主義的well-being」、そしていきいきと暮らし人生の意義を感じている「持続的well-being」があるという。

グループではこの「持続的well-being」にフォーカスし、「1人1人が違う『definition(定義)』を持つもの」と考え、相手のwell-beingを尊重して支え合う社会の実現を、ワークショップを通じて探った。その結果、well-beingの獲得には「他者や社会に貢献し、自分は必要とされているという自己需要感を持つことが不可欠だと気づいた」と、教育グループ代表の山口笑愛氏は説明した。

最後に入江氏は1期生の成果を称えつつ、「共創は面白いが難しい。第1期は時間がなく、理論を立てて終わってしまったが、第2期は実装するフェーズまで持っていきたい」と今後の展望を述べ、セッションを終えた。