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横浜の企業が進める脱炭素と地域づくり

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堀江氏、山本氏、山岡氏、西田氏 (右上から時計まわり)

横浜市は2018年、温室効果ガス実質排出ゼロ(脱炭素化)の実現を2050年までに目指す「Zero Carbon Yokohama」を打ち出した。同市を拠点に事業を展開するファンケル、太陽油脂、オンデザインパートナーズは、脱炭素に向けて、積極的に他業種と協働し地域での活動を大切にしながら取り組みを進めている。セッションのファシリテーターを務めた山岡仁美氏は冒頭で「取り組みにはリジェネレーション(再生)といった思考の転換も必要。本来の人間や社会のあり方について考え直す時が来ているのではないか」と提起し、セッションは始まった。(松島香織)

ファシリテーター
山岡仁美・サステナブル・ブランド国際会議 D&Iプロデューサー
パネリスト
西田司・オンデザインパートナーズ 代表、東京理科大学 准教授
堀江菜月・太陽油脂 原料購買・CSR推進グループ
山本真帆・ファンケル SDGs推進室 室長

リスクではなくビジネス機会――ファンケルの脱炭素の取り組み

化粧品・健康食品事業を展開するファンケルは、2030年までにすべての包装容器をつめかえにし、また石油由来のプラスチックから代替素材へ切り替えるなど、4Rに基づいてプラスチック使用量削減に取り組んでいる。特に力を入れているのは「FANCL リサイクルプログラム~花と緑を広げよう~」だ。使用済み製品のPET容器を店舗で回収した後、協力会社でマテリアルリサイクルし、加工された植木鉢を買い取り、5月に開催された横浜市のイベント「ガーデンネックレス横浜2022」に寄贈する取り組みを行う。また中間過程の、容器の分別、洗浄、乾燥は特例子会社ファンケルスマイルで行っており、障がい者の雇用創出・自立支援にもつながっている。

今後はプラスチック資源の循環を目指し、化粧品容器のケミカルリサイクルに注力し、容器を容器へとリサイクルする水平リサイクルに注力する。ケミカルリサイクルは分子レベルまで分解するのでさまざまな化学物質として再利用できるが、自社では開発実績がないため、PET開発が進んでいる飲料大手のキリンと協働しているという。SDGs推進室室長の山本真帆氏は「気候変動や脱炭素への取り組みはリスク対応になりがち。企業にはビジネスの機会といった発想の転換や地道な活動が必要になる」と話した。

学校・他社と連携して楽しく前向きにーー太陽油脂

創立75年を迎えた食品加工油脂や石けん・化粧品事業等を展開する太陽油脂は、合成界面活性剤を使用しない石けんや自然由来の原料にこだわり続けてきた。2011年にRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)に、2019年には国内の推進団体「持続可能なパーム油ネットワーク(JaSPON)」に理事企業として加盟。2020年12月製造分より石けんや化粧品すべてをRSPO認証製品に切り替えた。

さらに、パルシステム生活協同組合連合会や凸版印刷と、紙パック素材の容器で産地が特定できるRSPO認証IP(アイデンティティ・プリザーブド)モデルのボディソープ「地球の未来にまじめなボディーソープ」を開発。横浜市内の児童向けのキャリア教育「はまっ子未来カンパニープロジェクト」に参加するなど、学校や他社との協働に積極的に取り組んでいる。今後同社は2030年までに使用電力のすべてを再生可能エネルギーに転換し、2050年の脱炭素化を目指す。原料購買・CSR推進グループの堀江菜月氏は「日々模索している状態だが、楽しく前向きな活動をしていきたい」と笑顔を見せた。

横のつながりや遊びから学んでーーオンデザインパートナーズ

オンデザインパートナーズ代表で建築家の西田司氏は、歩いて15分の範囲で生活が成り立つパリ市の「15分都市構想」を紹介した。日本でも2020年5月、歩行者利便増進道路指定制度が創設され、道路に歩行者の利便増進を図る空間を設けたり、特例区域での道路の占有が緩和されるなど、都市デザインによる地域活性化が期待されている。横浜・関内でも「かんないテラス」というプロジェクトが立ち上げられ、通りで飲食ができるスペースを設けるなどした。

「つながりや循環が生まれる建築と都市には、分野や領域を超えた知恵や経験が集まる。パネリスト2社の脱炭素の取り組みは社内でコストではないと認められている。そうした企業にはさらに人材が集まり、パートナシップにつながっていく」と脱炭素への取り組みが企業価値につながるメリットを指摘した。同時に「縦割りでなく他業種との横のつながりや遊びから学んで、自分をアップデートすることが重要」と取り組みのポイントを挙げた。

松島 香織 (まつしま・かおり)

企業のCSRや広報・IR部署を経て、SDGs、働き方改革(ダイバーシティ)、地方創生などをテーマに取材中。