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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

渋谷マルイ、木造商業施設に建て替えへ 出店者もサステナビリティに取り組む企業に特化

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丸井グループの旗艦店「渋谷マルイ」が木造商業施設に生まれ変わる。同社が27日に発表した。2026年に新しくオープンする店舗は、構造の約6割に木材を使用し、鉄骨造の建て替えと比較すると約2000トンのCO2排出量が削減できる見込み。リードデザイナーは、サステナビリティを設計方針の中核に据える国際設計組織「フォスター+パートナーズ」が務める。同店舗は建て替え後、再生可能エネルギー由来の電力を使い、出店者もサステナビリティに取り組む企業に特化するなど「最高水準の持続可能技術を採用し、環境負荷軽減を促進する、よりサステナブルな施設を目指す」としている。 (小松遥香)

東京・渋谷の繁華街にある渋谷マルイは1971年に誕生した。渋谷では近年、大規模な再開発が進み、駅の改良工事や商業施設の建設、リニューアルが続いている。

脱炭素社会の実現に向けて、国内でも木造高層ビルの建設が増え始めているなか、丸井グループは「日本初のサステナブルな本格的木造商業施設」を目指し、渋谷マルイをリニューアルする方針だ。

同社広報室は、今回の方針について「丸井グループの考える『将来世代の未来を共に創る』の実現に向けた取り組みを象徴するもの。こうした取り組みを通して、当社グループのミッション『すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会を共に創る』の実現に向け、歩みを進めていく」と話す。

新たな店舗は地下2階から地上9階建てで売場面積は2800平方メートル。耐火木材などを用いて構造の約6割に木材を使うほか、デザインにおいても、日本の伝統的な建築技術に着目し、太陽光の活用や天然素材を使用するという。同社によると、現在のところ、国産木材や持続可能な調達が行われた認証木材を使用するか、建設工事に再エネを使用するかは未定で、施工業者についても未定という。

丸井グループは2030年度までに事業活動で消費する電力の100%を再生可能エネルギー(以下、再エネ)にする目標を掲げており、リニューアルオープン後の渋谷マルイにも再エネを導入する。出店者についても「サステナビリティを意識した、環境負荷の軽減や社会貢献に取り組む取引先に特化し、お客さまに新しい体験を提供する」と発表している。

新店舗は、世界45カ国以上で都市計画や公共インフラ、オフィスの設計を手掛け、環境・社会への影響に対して責任ある設計を指針に掲げる英国最大手「フォスター+パートナーズ(Foster+Partners)」がリードデザイナーを務める。同社のシニアエグゼクティブパートナーのデイビッド・サマーフィールド氏は以下のようにコメントをしている。

「世界的に有名な渋谷のスクランブル交差点から目と鼻の先にある、このような画期的で持続可能なプロジェクトに取り組めることをうれしく思う。木造構造は、建物の炭素を大幅に削減すると同時に、来訪者にあたたかくオープンな体験を提供する」

渋谷マルイの現在の店舗は今年8月28日から一時休業する。

小松 遥香 (Haruka Komatsu)

アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。一般企業で働いた後、出版社に入社。2016年から「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。前Sustainable Brands Japan 編集局デスク。