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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

サステナビリティ×イノベーション×ヒトでつくる「未来に輝く都市ブランド」:第2回全国SDGs未来都市ブランド会議①

いま全国の都市やコミュニティで産官学金労言が連携し、協働する地方創生の取り組みが進められている。2020年に初開催した全国SDGs未来都市ブランド会議には150を超える自治体が参加した。第2回となる今回は、2月25日にリアルとオンラインのハイブリッドで開催し、持続可能なまちづくりに向けたSDGs達成への取り組みをその地域のブランド価値に結びつけるための議論が繰り広げられた。また、企業と自治体の成功事例を通じて国内外への普及促進を訴えた。(岩崎 唱)

SDGsの大きな流れは日本社会を変えるチャンス

開会にあたり、司会進行を務める青木茂樹・サステナブル・ブランド国際会議アカデミックプロデューサーから、「地域をどのように活性化していくかが長年のテーマになっています。しかしさまざまな補助金や国による制度設計がありながらも、なかなかエンジンをかけるタイミングがなかったのではないかと思います。いま、世界をまとめるストーリーとしてSDGsという大きな流れがあります。SDGsが、目指すべき経済や社会のフラッグシップとなっているのは事実。この流れに乗っていくことが、これから日本の社会を変えていく重要なタイミングではないでしょうか」と語りかけた。

2018年に内閣府地方創生推進室がSDGs達成に向けた取り組みを提案する都市を選定し、支援する「SDGs未来都市」の制度ができ、すでに全国で約90都市が選ばれている。青木氏は「皆さまの取り組みの参考になり、何かヒントを持って帰れるようなセッションになってほしい」と挨拶した。

パラダイムスイッチとコンテクスト転換が重要

一般社団法人地域デザイン学会理事長の原田保氏は「パラダイムスイッチとコンテクスト転換の2つが重要だ」と語り、4つの重要な要素について説明した。「いちばん大事なのは、目的としての社会課題から、手段としての社会課題にパラダイムチェンジすることだ。社会課題を経済価値発現のための手段として、企業が最大の価値を獲得する。SDGsはそのトリガーとなる」と語った。

そしてパラダイムチェンジをするにはコンテクスト転換が必要と述べ、コンテクスト転換には価値転換、主体転換、関係転換、行為転換があることを指摘した。「社会課題解決に向けて、大企業の中核の業務を担うセンタープレイヤーに主体となってもらいたい。社会のためになるということを手段として、自社の経済価値の最大化をめざしてほしい。これが重要な主体転換」と訴えた。また、啓発する対象からビジネス共創する対象への関係転換や、社会価値から経済価値への価値転換、社会活動から経済活動への行為転換をしていく必要があると述べた。

3つ目に社会課題と地域創生に対応するモデルが必要であるとし、原田氏が地域デザインのために考案したISETモデルを紹介した。IはMake Identity、SはMake Sympathy、EはMake Episode 、TはMake Tribeを意味し「Identityがないところに運動は結集できないので、まずIdentityをつくろう。その上でみんなが参加するためにSympathy(共感)。Sympathyを得ただけでは動き出さないので、その人が動きたいと思うEpisodeをつくり、その上で人々を束ねるTribe(部族:都市部族)をしっかりつくっていくことが重要」と解説した。

最後に、経済の成長は都市化とともに進んでいることを挙げ、都市化が遅れると経済成長が滞ることを指摘。「都市は価値創出のためのエンジン。クリエイティブなビジネスや人が集まる都市をさらに大きくする必要があります。グローバル競争下においては複数の大都市をつくることが大切ですが、日本は東京に一極化しているのが問題」と述べた。

SDGs未来都市とは 内閣府の狙いと自治体への期待

話し手:北廣 雅之 内閣府 地方創生推進事務局 参事官
聞き手:青木 茂樹 サステナブル・ブランド国際会議 アカデミックプロデューサー

SDGsを一つの手段として取り組んでいったときに、どのような地域社会や都市が生まれるのか。SDGs未来都市の制度設計に携わってきた内閣府地方創生推進事務局の北廣雅之参事官と青木氏がオンラインで「SDGs未来都市が描く日本の未来構想と地方自治体への期待」をテーマに対談した。

青木:どのようなことを考え、SDGs未来都市の制度をつくり、推進しているのでしょうか。

北廣:地方創生推進事務局は、人口減少に歯止めをかけ、地域経済の活力維持・活性化することで持続可能なまちづくりを進めています。地域創生については、まち・ひと・しごと創生総合戦略で方針が定められ、SDGsを横断的な目標として掲げ、新しい時代の流れを地方創生実現の力にしていこうと考え、Society 5.0による地域のデジタル化促進も併せ、持続可能なまちづくりしようとしています。

具体的に、2024年までにSDGs達成に向けた取り組みを進める自治体を60%以上に引き上げることを目指しています。SDGsの3つの側面である経済・社会・環境を統合して新しい価値を創出し、持続可能なまちづくりを進めるポテンシャルの高い都市を未来都市に選定しています。その中でお手本になる取り組みはモデル事業として補助金を交付しています。選ばれた自治体は、シビックプライドをもってSDGsに取り組んでおり、ちょうど企業におけるCSRのように、SDGs達成に向け取り組むことの価値が広く認知されてきていると感じます。

青木:まさに自立して、シビックプライドをもったまちづくりが始まっているわけですね。それには官民連携ということも重要かと思いますが、どのような仕組みがあり、またどのような課題があるとお考えですか。

北廣:地方創生SDGsの取り組みは、地方公共団体だけでなく官民が連携して取り組むことが重要だと考え、2018年に官民連携の場として地方創生SDGs官民連携プラットフォームを立ち上げています。具体的な活動内容は、自治体と企業のマッチング支援。課題としては、自治体からの課題の提案が少ないことです。民間企業ですと新しいビジネスを立ち上げる際に、社外連携などオープンイノベーションにより課題解決をスピーディに進めていくことが一般的ですが、自治体はそういうやり方に慣れていないようです。内閣府では、自治体向けに課題設定をテーマにしたセミナーを開催するなど官民連携を促進しています。

青木:確かに官と民ではマネージメントの仕組み、段取りの仕方などが異なることも多いかと思います。さて、SDGs未来都市に選定されるには、どのようなことが必要なのでしょう。

北廣:いちばんのポイントは、官民連携も含め、具体的な取り組みが書かれているかということです。単に施策を書き並べるのではなく、3側面からの取り組みによって相乗効果を生み出す工夫がなされているかが大きなポイントになっています。

青木:民間企業が使える、例えばSDGs金融のような支援策はあるのでしょうか。

北廣:地域が自立していくには、資金がちゃんとまわっていく仕組みづくりが必要です。自治体だけではなく地域の金融機関と連携して自律的好循環をつくることが重要と考えています。そのための地方創生SDGs金融フレームワークが示され、フェーズ1として地域事業者のSDGs達成への取り組みを見える化し、フェーズ2で地域金融機関と地域事業者の連携を促進、フェーズ3で地域金融機関と機関投資家・大手銀行・証券会社などとの連携を促進しています。まずは自治体を中心とした登録認証制度を構築するため2020年10月に地方公共団体のための「地方創生SDGs登録・認証等制度ガイドライン」を公表しています。

青木:制度設計の背景や地方を創生していこうという国の政策がよくわかりました。ありがとうございます。