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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

麺も具材もスープも植物由来、とんこつ風ラーメン登場:「一風堂」が限定販売

植物由来の“とんこつ風”ラーメンが登場――。博多発祥のとんこつラーメンブランド「一風堂」が麺もスープも具材もすべて植物由来の食材のみで作ったとんこつ風ラーメンを開発し、2月に国内の45店舗で期間限定販売している。肉や乳製品など動物性食材に頼らないプラントベースの食品は近年、持続可能性の観点からも欧米を中心に広がり、日本でもコンビニや大手量販店などで大豆ミートを中心に植物性の食材にこだわった商品を取り入れる動きが出ている。そんな中、豚骨ならではの濃厚なスープに分厚いチャーシューが売りのラーメンの世界にも100%植物性の商品が現れたことのインパクトは大きく、消費者の関心を集めている。(廣末智子)

濃厚な豆乳に昆布だし、ボルチーニ茸を隠し味に
インゲン豆ペーストでチャーシュー風トッピングも

話題のラーメンは、「プラントベース赤丸」(税込み価格1100円)。一風堂の定番豚骨ラーメンである「赤丸新味」をプラントベースに改変したもので、濃厚な豆乳に昆布だしやボルチーニ茸を隠し味に加えたスープと、卵を使用せず、通常の小麦粉よりも栄養価が高いとされる全粒粉を配合したストレートの細麺を採用。またインゲン豆ペーストと小麦タンパクなどを合わせて肉のような食感を出したチャーシュー風トッピングなどを盛りつけた一品となっている。

一風堂を中心に国内外で飲食店舗の運営やコンサルティングなどを行う力の源ホールディングス(福岡市)によると、2008年から海外に進出し、2020年9月末時点で、米国やアジアを中心とする世界14カ国に133店舗を展開する中で、ベジタリアンやヴィーガンである、または宗教上の理由などから、「豚骨ラーメンを食べない、もしくは食べることのできない」人たちが多く存在することを実感。また日本国内でもそうした食のスタイルを取り入れる人が一定おり、在日外国人も増加していることなどを背景に、数年前からプラントベースのラーメンの商品化を構想した。

社内の食品開発チームが、植物性油脂と大豆タンパクの研究を60年以上続けている不二製油(大阪・泉佐野)とタッグを組んで、動物性原料・香料を一切使わない100%植物由来のスープの開発に着手した。豆乳から作ったスープベースがまろやかさを演出し、それに対して何をどう配合したらコクや旨味のある豚骨スープのようなスープが作れるかをさまざまな食材で試行錯誤を重ねた結果、約3年がかりで、生の豚骨スープと同じような複雑な乳化状態と濃厚なコクと旨味を実現することに成功した。完成したスープベースは新技術「MIRACORE(ミラコア)」として、現在、不二製油グループ本社が商標登録を出願中という。

該当の商品は、今月から国内157店舗のうち45店舗で限定販売を開始(なくなり次第終了)。約1週間を経て、売り切れになった店舗は出ていないものの、消費者の反応は予想以上に好評で、「プラントベースとは思えないほど濃厚な味」「これまで豚骨ラーメンは食べられなかったけれど、これなら食べることができた」「ベジタリアンではないが、関心を持って食べてみたら想像以上に美味しかった」といった声が寄せられているという。

同社の経営戦略本部広報グループの中村緑さんによると、ターゲットとなる年齢層としては特に想定していないが、持続可能な社会の実現について教育を受け、高い意識を持っている若年層をはじめ、「ふだんは豚骨ラーメンを食べている方にも、一つの食の選択肢として、その日の気分や体調に合わせてプラントベースのラーメンを選んでいただきたい、という思いがあります」という。「プラントベース赤丸」の販売は、同社のサステナビリティ戦略の一環でもあり、今回のラーメンを一風堂で定番化するかどうかは未定なものの、ゆくゆくはプラントベース専門のラーメンブランドを国内外に展開することも検討しているそうだ。

代替肉でカルビやハラミの焼肉も プラントベース商品続々

なおこうしたプラントベースの食品については、同社以外にも外食産業でも取り入れる動きが進んでおり、代替肉製品の開発・製造販売を行うネクストミーツ(東京・渋谷)と焼肉ライク(同)は昨年、大豆を用いた焼き肉用の代替肉を共同開発。「一人で行ける焼肉のファストフード」をコンセプトに全国展開する「焼肉ライク」の全店舗で植物由来のカルビやハラミを提供している。

廣末智子(ひろすえ・ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーに。SDGsを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。