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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

P&G、低出生体重児と家族を支援するキャンペーン実施

小さな命が健やかに育つ環境を、どう守り、未来に希望をつなげていくか。持続可能な社会に向けて最も大切と言える命題の一つとして、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(以下、P&Gジャパン)は乳幼児用紙おむつブランド「パンパース」を通じて向きあっている。今年1月にスタートした、一人ひとりの子育てに寄り添う「あなたらしい子育てが、いちばん。」プロジェクト。今月からは、低出生体重児とその家族を支援する新たなキャンペーン「ちいさな奇跡に、いちばんの贈り物を」を展開中で、一部のNICU(新生児集中治療室)に、低体重で出生した小さな赤ちゃんのために設計、開発された紙おむつを寄付することから活動を始めている。(廣末智子)

P&Gは全世界で早い段階から、環境や社会問題の解決につながる商品設計を進めており、2018年4月には、2030年までに達成を目指すサステナビリティ戦略「Ambition 2030」を策定。ブランドとして消費者の暮らしにどう貢献できるか、という目標を掲げる中で、日本法人においてもパンパースのプロジェクトが具現化した。

今だからこそ、子どもとの時間大切に

パンパースは1977年に日本に上陸。赤ちゃんにとっての快適さをいちばんに、子育てのしやすさに配慮した新商品を発売し続け、国内の一般家庭に紙おむつを普及させた。昨今の少子高齢化の中でも幼児用紙おむつ市場でナンバーワンのシェアを確立している。今回のプロジェクトは、長年、消費者の声を聞く中で、今の日本社会では、子育てを取り巻く環境がまだまだ整っておらず、常に周りの目を気にしなければならない、思い通りの子育てができない、といった悩みを持つ人が多いことから、その人らしい子育てを応援する目的で始動。「あなたらしい子育てが、いちばん」すなわち「自分の赤ちゃんが幸せになるために、最もいい子育てをしてほしい」という考え方が基本にあるという。

具体的には赤ちゃんを連れての外出や旅行をもっとしたいという希望が多かったため、「赤ちゃんとのおでかけ応援」事業として、すでに全国の道の駅などに約100台のおむつ替え台を寄付した。もっともプロジェクト開始とほぼ同時にコロナ禍での外出自粛が始まったため、5月からは「あなたらしい子育てが、いちばん」に「おうちでも。」という言葉を加え、インスタグラムのライブ配信で子育て相談を行うなど、気軽に外出できず、また在宅ワークなどが多い中での子育てを支援。この間、「家事や仕事をしながら1日中家で子育てをするのは本当に大変」という切実な声が上がる一方、「コロナ禍の今だからこそ、子どもと一緒にいられる時間を大事にしたい」というポシティブな声も多く寄せられているという。

最も小さくか弱い赤ちゃんにフィットするデザイン

そうした中、今月から始まった新たな取り組みが「ちいさな奇跡に、いちばんの贈り物を」キャンペーンだ。具体的には今年12月31日までの期間中、パンパースの「肌へのいちばん」シリーズの対象商品の出荷量に基づき、算定した一定量を、低出生体重児専用に設計された「パンパースのはじめての肌へのいちばんシリーズ病産院向けおむつ」の寄付に充てる。

低出生体重児とは体重2500グラム未満で生まれた赤ちゃん。早産(妊娠22週〜37週未満)で生まれた赤ちゃんが多いが、妊娠期間は十分であっても体重の低い赤ちゃんもいる。人口動態統計によると、日本では出生数が減少する中、全体の出生数に占める低出生体重児の割合は、1980年には5.2%だったのが2010年には9.6%になるなど(それ以降はほぼ横ばい)増加傾向にあり、ユニセフなどの調べによる2015年のいくつかの先進国の出生数に占める低出生体重児の割合(7%前後)と比べても高めで推移している。

世界的な低出生体重児の支援を目的に、P&Gは、社会貢献の一環として、低出生体重児向けの紙おむつの開発に力を入れてきた。2002年には世界初の低出生体重児向けパンパースを米国で導入。日本でも、2007年から病産院向けに低出生体重児用パンパースを販売しており、2017年には体重が約450グラムしかない、最も小さくてか弱い赤ちゃんにフィットするようデザインした商品も加わった。さらに今春には国内外150人以上のNICU(新生児集中治療室)の看護師の意見を取り入れ、体重1000グラム未満児向けと500グラム未満児向け商品をリニューアル。そうした積み重ねが今回のキャンペーンにつながった。

質の良い眠りが体と臓器、脳の発達を促す

低出生体重児にとって、その小さな体によりフィットした紙おむつを使うことのメリットはどれほどのものか。愛知医科大学病院・周産期母子医療センター部長の山田恭聖医師は、「低出生体重児は、1日のうち最大90%を睡眠に費やし、質のいい眠りにつくことで体や臓器の成長が促され、発達途中の脳も引き続き発達を続けることができる」と説明。その上で、「本来、胎内で良質な睡眠を邪魔されることなく成長するはずの時期に、NICUに入院となった赤ちゃんには、睡眠を妨げる多くのストレスがある。中でも、頻回なおむつ替えやおむつかぶれは発達のために必要な睡眠を邪魔してしまう可能性があり、あまりお尻を持ち上げなくても交換できる、吸収力が高く長時間の装着でもかぶれないなどの特徴が備わったおむつを利用することが重要だ」とその意味合いを強調する。

6割「もっと抱っこしてあげたかった」

キャンペーンに先立ち、P&Gジャパンでは、この5年以内に低出生体重児で、NICUに入院経験のある子どもを持つ母親と父親計516人にアンケートを実施。その結果、8割以上が「入院中、赤ちゃんと触れ合う時間がもっとほしかった」、6割以上が「入院中のわが子を、もっと抱っこしてあげたかった」とする回答を得た。今後はそうした調査結果を踏まえ、NICUに入院している赤ちゃんとその家族がより快適な時間を過ごすことができるよう、「ママ・パパがお子さんと触れ合う時間をサポートするための設備やアイテムをNICUに寄付する予定」で順次、行っていく。紙おむつの寄付は第1弾の位置付けだ。

P&Gジャパン ブランドコミュニケーションズの武田佑介シニアマネージャーは、「昨今においては、消費者の方々に製品を届けるのはもちろんのこと、社会や、消費者の暮らしにどう貢献できるかがブランドに求められていると考えています。パンパースは、すべての赤ちゃんの明るく健やかな成長に貢献したい。そのためにはママ・パパが楽しく子育てしていくことが重要です。子育てにはみんなそれぞれ、違った正解があると考えており、一人ひとりに自分の赤ちゃんが幸せになるためのいちばんいい子育てをしてほしい。その一環として、低出生体重児とそのご家族へのさらなる支援をしていきます」と話している。

廣末智子(ひろすえ・ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーに。SDGsを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。