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オープンな地域共通プラットフォームを 武蔵野市とさいたま市が取り組むスマートシティ

「第2回未来まちづくりフォーラム」を締めくくるセッションは、先端テクノロジーを駆使し、住民の生活の質を高める持続可能なまちづくり「スマートシティ」がキーワード。いち早くその可能性に着目し、官民が連携して独自のプロジェクトを進める東京都武蔵野市と埼玉県さいたま市の事例を通して、自治体と企業がどのように連携しながら事業を構築していけばいいのか、また、どういった形のプラットフォームが必要とされているのかといったことを学んだ。(廣末智子)

エネルギーの地産地消どうやって?

人口14万6871人(令和2年1月1日現在)の住宅都市、東京都武蔵野市では、2018年度から3カ年かけて「武蔵野エネルギー地産地消プロジェクト」が進行中。具体的にはごみ焼却場(武蔵野クリーンセンター)の廃熱を活用して周辺の公共施設や小中学校でのエネルギーを融通し、地域全体で需給最適化を目指す事業で、CO2排出量を年間1000トン削減し、災害に強いまちづくりを進めることを目的としている。早くから太陽光発電を積極的に取り入れるなど環境問題に力を入れてきた同市ならではの次世代を見据えたスマートシティ戦略だ。

武蔵野市の朝生氏
NECネッツエスアイ 遠藤氏

もっともこのプロジェクトの根幹をなすのが、NECグループによる、蓄電池とエネルギーマネジメントシステムである。電力は通常貯めておくことができず、昼間の電力使用量が多い時間帯には不足し、夜間の電力使用量が少ない時間帯には余ってしまうため、蓄電器の導入は不可欠。さらに発電量の最適化や、周辺施設の省エネ化を進めるには、マネジメントシステムが重要な役割を担う。そこでNECは、施工コストの削減や周囲の景観との調和なども考慮して、一体型の蓄電池システムを採用するとともに、CEMS(Community Energy Management System)やBEMS(Building Energy Management System)といったエネルギー管理システムをつくりあげた。これが武蔵野市の電力の地産地消を支えているのだ。

セッションでは、武蔵野市とNECが今後も連携してSDGsに取り組むことを確認。「こういうプロジェクトはなかなか自治体だけではできない。やはり公民連携の強みを感じるところだ。これからもさまざまな制度や手法を組み合わせてCO2の削減を図っていきたい」(朝生剛・武蔵野市環境部環境政策課スマートシティ推進担当課長)「CO2削減ということでは自分でつくった電気を自分で使うというのが一番削減になる。(プロジェクトは)持続可能な社会への貢献ということで非常に有意義だと感じている」(遠藤大介・NECネッツエスアイ エンジニアリング&サポートサービス事業本部エナジーソリューション事業部課長)とそれぞれに手応えを語った。

データは漏らさないという時代ではない

一方、オープニングの基調講演で、さいたま市の清水勇人市長が語った、SDGs未来都市さいたまの取り組みも再度、テーマに上った。話題の中心は、「スマートシティさいたまモデル」の一環で、個人情報を地域サービスに活用するための、情報銀行のプラットフォームづくり。これをめぐり、情報を収集し、提供する側の自治体と、情報をビジネス創造に生かす側の企業が意見を交換した。

さいたま市の有山氏
フェリカポケットマーケティング 納村氏

具体的には、市民の健康診断結果や血液データといった「要配慮個人情報」を含むヘルスケアデータや購買データなどを情報銀行で組み合わせ、各種サービスに利用する仕組みが論点に。さいたま市都市戦略本部未来都市推進部の有山信之氏は、「公民学がそれぞれの目的に沿った形でいかにスマートシティに近づけていくかということでさまざまな事業をやっているが、その中でも肝になる事業。パーソナルデータに経済的価値がつけば住民だれにでもワンストップで共通のサービスが提供できるようになる」と期待を表明。これに対してイオングループのフェリカポケットマーケティング社長の納村哲二氏も「もうデータは漏らしませんという時代ではない。官民みんなでデータを有機的且つ安全に流通させる、そういったデジタル基盤が必要だ」と応え、「やる気さえあれば、小さな自治体にも中小事業者にも先端技術とビジネスモデルの恩恵をもたらす、オープンな地域共通のプラットフォームづくりが大切」と、最先端ICTを利用したオープンプラットフォームの形成を官民で進めることの重要性を訴えた。

イオン 原田氏

イオングループは、デジタルを活用した地域の生活支援プラットフォームの構築に力を入れており、進行役を務めたイオン地域エコシステム・プロジェクトリーダーの原田野分氏は冒頭、「イオンは近江商人の流れを継ぎ、三方良しの精神を色濃く反映したDNAを宿している。デジタライゼーションの進む世の中にあって、地域産業としての次代の小売業の形を考え、地域貢献に取り組んでいきたい」と決意を話した。

廣末智子(ひろすえ・ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーに。SDGsを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。