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社会課題の見える化を大きな力に 宮城・女川町めぐる社会的インパクトマネジメント

地方創生はもちろん、社会的価値が重んじられる時代、自治体や住民を中心に企業や組織が同じ方向を向いて地域課題の解決に関わる姿勢が求められている。「第2回未来まちづくりフォーラム」の特別セッションでは、宮城県女川町の復興支援を通じて編み出された「社会的インパクトマネジメント」の手法を巡って2人のアクターが思いを語った。(廣末智子)

登壇したのは、PwCコンサルティング合同会社公共事業サービス部リードパートナーの宮城隆之氏と、特定非営利活動法人アスへノキボウ代表理事の小松洋介氏。PwCは、コンサルティングの立場からさまざまな地方創生プロジェクトに参画、社会的課題の現場に出向くフィールドスタディーを行う中で女川町とつながり、同町の復興の中間支援組織であるアスへノキボウとの接点も生まれた。

セッションのテーマは「持続可能な自治体であり続けるために〜社会的インパクトマネジメント〜」。社会的インパクトマネジメントとは、経済的価値と社会的価値を共存させるビジネスモデルで、いわゆる社会的課題を見える化して、そのロジックを明確化させることに優先順位を置いたもの。PwCは今回、東日本大震災で町の人口の7割が流出し1割の人が亡くなったところから復興の歩みを続ける女川町をベースに、そのメカニズムを可視化した(具体的には全国約1800の自治体をクラスタリング分析し、女川町と共通の社会構造を持つ地方公共団体を統計的に導出)。

震災直後から同町の復興に関わっているアスへノキボウの小松氏は、「地方創生を行う上では、どういう出来事があってなぜこうなったのかを見える化することが大事。そこが暗黙知であっては駄目だ。女川はなぜ復興を成し得て今面白い町になったのかということの共通認識ができた価値は大きい」と、PwCの分析によって、女川の復興過程のロジックがはっきりしたことを評価。「女川で何か一緒にやりたいという企業に対しても、こういうデータがあれば具体的に組みやすくなる。地域をつくる上で大きな力になる」とデータの有効活用への期待が聞かれた。

「SDGsについて学ぶフェーズは終わり、今はまさに実装段階に入っている」と、PwCの宮城氏。データの可視化を進めた理由について、「少子高齢化や労働力不足といった社会問題は地域によって現状や深刻度合いが千差万別であり、ある地方公共団体で有効だった施策が他で有効であるかどうかは確かでない。その難しさを紐解いていきたい」という思いがあったことも述べた。

今後のSDGsの取り組みについては「自分たちの持っているリソースや資産を使って地域貢献したいという企業や人を集めて同じ方向を向いてやっていくことが大切。日本の地方における取り組みを世界が注目しているところもあるので、大きな目標を持って展開していきたい」(宮城氏)「企業の大小など関係ない。最小単位は一人の人。同じ目的を持つ人たちが一緒に組んで何か変化を起こせるというのがこれからの社会の面白いところだと思う」(小松氏)と、SDGsの17番目である「パートナーシップで目標を達成しよう」に一致して取り組んでいくことを確認した。

廣末智子(ひろすえ・ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーに。SDGsを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。