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「循環経済ビジョン2020」が目指す、環境と経済の好循環とは?

経済産業省「循環経済ビジョン2020」

サーキュラー・エコノミー(循環経済)と呼ばれる新たな経済のあり方が世界的な関心を集めている。限られた資源を繰り返し利用することで、資源循環と経済成長の両立を目指すこの概念は、すでにEUが2015年に政策を打ち出し、欧州で大きな流れとなっている。日本でも、経済産業省が5月22日、今後の循環経済政策が目指すべき方向性を示す「循環経済ビジョン2020」を発表した。ただ同ビジョンは理念を明確に定めているものの、欧州に比べて目標設定があいまいで循環経済を強力に進める具体策が乏しく、政策面で課題を残しているといえそうだ。(環境ライター箕輪弥生)

環境活動から経済活動へのシフトが明確に

1999年に制定した日本の「循環経済ビジョン」は、廃棄物やリサイクル対策が中心となり、いわゆる3Rの取り組みを最大化することを狙ったものだ。この取り組みの結果、一般廃棄物が減少し、家電、自動車、容器などのリサイクル率も高まるという一定の成果をあげた。

しかし今回の「循環経済ビジョン」は、前回の環境活動的なものから、経済活動としての循環経済へのシフトを明確に打ち出した。地球温暖化や海洋プラスチックごみ問題などの地球規模の課題を背景に、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄型の線形経済モデルから循環性の高いビジネスへの転換を訴える。

その対応策のひとつが「動脈企業」が「静脈企業」と連携して資源を最適な形で再使用、再生利用することだ。つまり、資源を利用して生産、販売する「動脈企業」が使用済み製品や素材などを再資源化して動脈連鎖に再び投入する「静脈企業」と連動して循環型経済を推し進めるべきだという内容だ。

具体的には①リース、シェアリング、サブスクリプションなどを通じた製品の所有権を維持した形での流通・回収や、②使用済製品の自主回収や静脈産業と連携したリサイクルルートの確立などを通じ、ライフサイクルを通じて資源循環に取り組むこと、とある。

この他、人工知能(AI)を活用した廃棄物の高度選別や、ESG投資による好循環の創出、循環性能を持つ製品へのラベリング(見える化)などが提案されているものの、全体的に国内外の現状分析に力点がおかれ、ビジョンを強力に進める具体策が乏しいという印象は否めない。

具体的な政策の提示で成果をあげつつある欧州の循環経済プラン

これに対し同ビジョンでも示されているように、循環経済の震源地となっている欧州では具体策が豊富に示される。

たとえば、脱プラスチックに関する施策では、2021 年までの使い捨てプラスチック製品の使用禁止やリサイクルプラスチックの飲料ボトルへの使用目標、リサイクルプラスチックを使用する量的目標などが示され、企業や業界団体等に自主的な誓約の提出を呼びかけている。

2020 年3月に新欧州委員会が公表した「サーキュラー・エコノミー・アクションプラン」では、特に持続可能な製品への政策が明確に示されている。

製品には再利用や修理、リサイクルが容易であること、可能な限りリサイクルされた材料を利用すること、長寿命であることなどが求められ、使い捨て製品などは制限される。また、修理や製品寿命を伸ばすために消費者に「修理の権利」を与えるなど製品のライフサイクル全体に対する循環経済の取り組みが強化された。

その内容はより具体的で、たとえば冷蔵庫であれば「修理業者からスペアパーツ提供の依頼があった場合は15 日以内に提供することを義務化する」など製品寿命を延ばすための具体策が盛り込まれるほどだ。

世界の動きに対応し、急がれる国内の循環経済の形成だが、循環経済ビジョン 2020が求める「環境と成長の好循環」を生み出すためにも、具体化を後押しするさらなる施策が求められそうだ。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。

http://gogreen.hippy.jp/