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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

ブランディングの本質に迫る:企業が語るべき、リアルで一貫性のあるストーリー

左からレゴの大山氏、Goodvertising Agencyのコルスター氏、電通の間宮氏、LIFULLの川嵜氏

情報に時差も表裏もなくなった現代において、ストーリー性のない広告が人々を魅了することは難しくなった。ブランディングやファン獲得に欠かせないは、誠実なストーリーテリングと言えそうだ。サステナブル・ブランド国際会議2020横浜では「ストーリーで語るサステナビリティ」をテーマにセッションが行われた。(やなぎさわまどか)

サステナブル・ブランドの足立直樹プロデューサーがファシリテーターを務めた本セッションでは、各業界のストーリーテラーたちがパネリストとして登壇し、それぞれの取り組みを紹介した。

電通でSDGsやサステナビリティを重視した広告を手掛けているプランナーの間宮孝治氏は、世界的な広告賞の一つ「カンヌライオンズ」にもSDGs部門ができたことを紹介。同社が携わったヤフージャパンの「防災ダイバーシティー」は同SDGs部門で入賞している。国内でも業界の垣根を超えた広告電通賞があり、新たにSDGs部門ができたという。間宮氏は「SDGsのエッセンスからどんなストーリーを宿すか。企業理念と事業の間に生まれる『SDGsストーリー』を心掛けて提案している」と話した。SDGsの登場で国内企業も自社のグッド・ストーリーが語りやすくなっている、と近年の潮流を紹介した。

カンヌライオンズのSDGs部門で審査員を務めるコミュニケーションの専門家でGoodvertising Agencyのトーマス・コルスター氏もデンマークから来日し、登壇。自身も約20年前にコピーライターとして広告業界に入ったが、10年ほど前からはメッセージの方向性を、社会にムーブメントを起こすことに切り替えたという。「ただ商品を売るためのブランド戦略を行うのではなく、包括的に捉えること。みんなにとっていい暮らしとは何か、どこに尺度をおいた社会なのかを考えている」と語った。「環境問題はいま取り組まなければ成功しません。一人ひとりが変化の一環であるべき」と、個人の意識にも訴えた。

LIFULLの川嵜鋼平CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)は「買い物が投票のようになる時代が来る」と言う。企業がパーパス(存在意義)を見つめ直すことや、PRやコミュニケーション戦略だけでなく研究開発、人事、CSR、CSVなども含めてブランドが「リアルで一貫性を持った」ストーリーを展開していくことが重要と語った。そして、既成概念にとらわれず、自分らしく生きることを後押しするCM「しなきゃ、なんてない。」を紹介した。川嵜氏は「ブランドはユーザーがつくる時代になっている」と話し、「しなきゃ、なんてない。」にハッシュタグをつけてSNSに投稿してもらう仕掛けをつくり、顕在化した社会課題を解決する新たな事業づくりを行っているという。事業が多岐にわたる同社は、創業当時から「利他主義」を社是に掲げる基盤があり、社会課題を解決することで人々の人生を豊かにしようと努めている。

世界中で人気のブロック玩具「レゴ」を販売するレゴの日本法人からはオペレーション部ディレクターの大山亜砂美氏が登壇。デンマーク語で「よく遊べ」を意味する社名やそれに伴う社風、中でも、将来を担う子どもの感性を豊かに保つためのコーポレートポリシーや、それに伴うマーケティングについて紹介した。サプライチェーンにもさまざまな工夫を行い、製造過程で再生可能エネルギーを利用し、二酸化炭素の排出量削減のためのパッケージサイズの縮小や、使われなくなったレゴを回収・洗浄し再利用する循環型の取り組みも行う。また、5年前にはR&Dを新設し、サトウキビ製プラスチックなどサステナブルな素材への移行を進めている。2030年には新商品がすべてサステナブル素材に変わる予定で、一部はすでに販売が始まっている。「2032年にレゴは100周年を迎えますが、100年前のレゴと新素材のレゴも一緒に使って遊べるように作る」という、同社の根源的なサステナビリティの考えを伝えた。

やなぎさわまどか

神奈川県出身。ナチュラリストの母により幼少時代から自然食や発酵食品で育つ。高校在学中から留学など度々の単身海外生活を経験。都内のコンサルティング企業に勤務中、東日本大震災で帰宅難民を経験したことをきっかけに暮らし方を段階的にシフトする。現在は横浜から県内の山間部に移り、食や環境に関する取材執筆、編集、翻訳通訳のマネジメントなど。