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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

第2回SB-Jフォーラム分科会「N2X連携:社会課題の解き方(Solving)続」

サステナブル・ブランド ジャパンの法人会員コミュニティ「SB-Jフォーラム」は19日、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社との共同企画、全3回の「SB-Jフォーラム分科会」の第2回目を開催した。分科会テーマは「N2X(NPO/NGOと企業)連携:持続可能な成長のためのクロスセクター連携を考える」。第2回は「N2X連携:社会課題の解き方(Solving)続」と題し、前回整理した社会課題解決の取り組みが陥る「悪循環」をもとに「好循環」へと転換する方法について探った。

ファシリテーションを務めたサステナブル・ブランド国際会議 サステナビリティ・プロデューサーの足立直樹氏は「社会課題の解決をしているつもりが、知らず知らずのうちに問題を助長していることがある。無意識に課題に加担している場合と、解決策による課題の助長という場合があり、それを自覚できないことが問題解決を難しくする」と前回の内容を振り返った。

その複雑性を視覚化、整理した前回に続き、第2回では「好循環への転換」がテーマだ。デロイトトーマツコンサルティングの金辰泰Social Impact Office Managerによる解説、講演と、参加者のワークショップによって変化の方法を探る。

金氏はまず「認識を統一したい」と2点を呼びかけた。

・現在が「儲けばかり考えていたのでは儲からない世界」であること
社会課題を解決するビジネスをしないとサステナブルな成長はあり得ない。

・NPO/NGO(以下、NXO)こそが社会課題解決の先駆者であること
マジョリティを優先する政府官公庁や、利益を優先する企業よりも、社会課題に向き合ってきたのはNXO。彼らと連携しなければ「ソ-シャルビジネスは嘘になる」とさえ言える世界になってきた。その理由は社会課題が広大で複雑だからということに尽きる。

「儲けばかり考えていたのでは儲からない」

SDGsの大きなポイントは、途上国だけでなく先進国を含め、企業が協力主体ではなく構造主体と明記されていることだと金氏は解説する。つまり、QCD(品質/コスト/納期)で判断する世界観は消失している。

一方、マクロの観点で見れば日本の国際競争力順位は2019年に30位、一人当たり名目GDP順位は2017年に25位。これらの指標は下落の一途を辿っている。しかし新しい物差しとして「SDGs達成度ランキング」では15位と、光明がみられる。「SDGsはグローバル経済の中で日本が復活する福音になる」と金氏は力を込めた。­­

「ビジネスで社会課題を解決するという大義のもとに競合相手を含む他企業や、NXOと連携をする必要がある。競争のレバーはQCDではなく大義の力。それを振りかざしてルールを形成する力が重要になっている」(金氏)

NXOこそ社会課題解決の先駆者

リターンファーストの世界観ではNXOは「償いのCSRの触媒」だったとも言えるが、今のインパクトファーストの世界では、ゲームチェンジャーとしてNXOの役割が拡大しているという。

さまざまなアクター、セクターの人が集まらなければ社会課題は解決していかない。「コレクティブインパクト」の重要性が叫ばれるようになったように、企業の力だけでなく連携の必要がある。

「企業の行動に正当性が伴わなければ、ソーシャルインパクトを目指して取り組みをしてもパーパスに求心力が生じずリソースが得られなかったり、遠心力が伴わずなかなか成功しない」(金氏)

企業にとってNXOの魅力とは何だろうか。「専門性という点では、企業の開発部署は吟味をする。ネットワーク接続性では、企業の渉外部署がお金を積んでも会えない政府の高官などともNXOならば会えるという羨望の世界。何よりも企業が渇望するのがその『正当性』だ」と金氏が解説した。

NXOとの連携で正当性を補完するため大企業もNXOをウォッチしているという。NXOがどんなキャンペーンをしているのかをモニタリングするツール「SIGWATCH」なども登場し、コカ・コーラ社をはじめ多くのグローバル大企業が実際に利用している。

行動主体として企業に何ができるか

金氏が所属するデロイトトーマツコンサルティングも行動主体である企業としての取り組みを始めているという。例えばデジタル・サービス・オーガニゼーション(DSO)だ。NXOの重荷となる業務を外注化やロボティクス化し、ワーキングプア層、例えば移民や難民、一人親に対して仕事として振り分けるプロジェクトだという。

「NXOのもつ作業のうち約8割を外注化、約4割を機械化できるのではないかと試算している」と金氏は話す。このプロジェクトにはクライアントはいない。

「いまの社会においてデザインとは基本的に問題解決のためにあり、パーパスに従うと言われている。全ての製品は買われない限りフィクションだという考え方もある。買われることで、経済社会によって製品が活用された世界が現実となる。このような観点で世界を良くしていくことが必要になるのではないか」(金氏)

新たな視点で課題を考えるワークショップ

ワークショップでは児童労働、海洋プラスチック、地方創生の3テーマにわかれ、前回同様テーマに沿ってNPO法人ACE、WWFジャパン、美しい村連合からそれぞれ課題の解説、現状の分析などが提示された。

現状を踏まえ、課題に関わる各ステークホルダーが好循環をもたらすようどのように変化するべきか。結果を導き出すための、リソースの増加や組織力の向上といった「施策」を考えることがワークショップの目的だ。

児童労働の課題を扱ったチームは「認証制度や関税を上げるという方法では価格が上がる。エシカルな消費をする市場が構築されていない限り、企業にとってはリスクがありチャンスが少ない状態になり『児童労働に関わらない=撤退』という選択をしてしまう。結果的に児童労働に関わる企業の製品が多くなるのでは」と悪循環を分析。

インフラの整備やテックを活用した一次産業への移行など「そもそも児童労働が起こらない環境、構造をつくり、中長期的には課題認知の拡大が重要」と道筋を見出すなど、参加者は新たな視点で社会課題解決に向き合った。