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NECネッツエスアイがサーモンの陸上養殖事業参入、山梨・西桂町と地域活性化協定

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NECネッツエスアイ(東京・文京)は、世界的に需要が高まるサーモンの陸上養殖事業に参入する。2021年の操業開始に向け、養殖場を建てる山梨県西桂町などとこのほど地域活性化協定を結んだ。同社の陸上養殖ではICTやAIの技術を活用。養殖槽の環境を管理することで抗生物質や成長剤などの薬を使わず、水をろ過し循環利用することで山間部や砂漠でも養殖ができるという。将来的にフランチャイズ化し、国内外への拡大を狙う。西桂町もサーモンを活用した地域産品を開発していく計画だ。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局)

同社は2021年までの中長期経営計画の柱として、新規事業の創出を掲げる。今回の陸上養殖事業への参入もその一環。生産するのはトラウトサーモン(ニジマス)。これにあわせて、陸上養殖を行うNESIC陸上養殖(西桂町)と養殖場の設備設計やフランチャイズ化の支援を行うネッツフォレスト陸上養殖(東京・文京)の2社を設立した。

富士山を望む西桂町は良質な水資源が豊富。中央自動車道が通っており流通の利便性も高い。使用した地下水をろ過して循環利用する養殖施設は、山間部や砂漠などでも生産ができ、立地場所を選ばない。水循環など養殖槽の環境を管理することで、海上養殖で問題視されている抗生物質などの薬剤を使用しないという利点がある。

さらにAIを用いて魚の体長・体重測定を行い、水温や酸素量、餌の量を自動制御することで、育成環境を整え、海上養殖に比べ短期間で出荷できるという。テクノロジーの活用によって、労働時間を削減することもでき労働環境も改善される。陸上養殖では、サーモンに脂が乗りすぎることなく適度だという。

NECネッツエスアイの牛島祐之社長は、「異常気象の影響を受けない、発展的な生産ができる。養殖の技術は確立されているものの、大量生産する上で人手がかかる。われわれの取り組む監視技術を用いることで安定的に生産をし、規模を拡大できる。国内での経験を重ね、これまでサーモンの養殖ができなかった海外での展開も目指す」と話した。

2020年6月から養殖場の建設に着工し、操業がはじまるのは2021年10月。出荷は2022年8月からを予定している。将来的には、西桂町で年間500トンの生産を行う計画。フランチャイズ化などを進めて、10年後を目途に累計300億円の売上高を目指す。

現在、全国各地でサーモンの養殖が拡大しており、さまざまなご当地サーモンが存在する。そんな中、地域活性化協定に参画している山梨県の長崎幸太郎知事は、「きれいな水や環境が経済に直結する時代がやってきているのではないか。その先頭を山梨県が走り、成功事例をつくれたら他の地域や将来にとっても大きなインパクトになる。山梨県は古くから、清らかな水を利用したマスの養殖が盛ん。今回の参入は、県内の内水面漁業に大きな活力をもたらすだろう」と語った。

西桂町の小林千尋町長は「人口減少、高齢化を抱える中、町の資源である地下水を活用し、地元企業・富士ピュアの優れた地下水管理技術を用いて、本事業が行われる。地域雇用の創出のほか、養殖場を食育の場として見学することで交流を深め、特産品を生み出し、魅力あるまちづくりに結び付けたい」と話した。