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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

企業と自治体の連携 日本の未来に必要なあるべき姿とは

「企業と自治体の連携には、自治体トップのビジョンが重要になる」――。18日、「企業と自治体の価値創造」をテーマに開催された「SB-Jフォーラム」には、塩尻市と熊本市、それぞれと連携するセイコーエプソンと日産自動車が登壇した。塩尻市とセイコーエプソンは「地域企業と自治体の連携」について、熊本市と日産自動車は「動く蓄電池『EV』を使った災害連携協定」について話し、企業と自治体の連携の重要性と課題について議論した。

地域企業が取り組む地域創生

「塩尻市はワインと漆器、エプソン、レタスのまち」と小口利幸市長は開口一番そう紹介した。人口約6万7千人の塩尻市には17カ所ものワイナリーがあり、レタスの生産量も通年で全国6位という。現在、林業再生を地方創成の柱の一つに掲げ、木質バイオマス発電に着手している。小口市長は「林業の道はまだまだ厳しいが、雇用も創出でき、循環型社会の実現の一歩になる」と語った。

同市には、『日本一おかしな公務員』(日本経済新聞出版社)を出版し、「大真面目にナンパな地域活性化に取り組む」公務員の山田崇氏がいる。同市長は、山田氏を採用した理由について、「まちづくりのために一人ぐらい変わったやつがいてもいい。そんな変わったことでもしないと、ありきたりのことでは地域創生はできない」と指摘した。

塩尻市は2002年、自治体ではめずらしく、環境を保護し、環境パフォーマンスを向上させるための国際規格「ISO14001」を取得。認証範囲には管轄の保育園や小中学校も含まれている。

市役所ではセイコーエプソンが開発し、オフィス内で紙を再生できる乾式オフィス製紙機「PaperLab(ペーパーラボ)」を導入している。プリンターのリーディングカンパニーとして、印刷された紙の最後まで責任を持つという理念でつくられているペーパーラボ。循環型オフィスを実現する一端を担うだけでなく、機械内で紙の繊維化まで行うため、シュレッダーよりも機密性が高いという利点もある。小口市長は、子どもたちにも見学の機会をもうけていると言い、長野県が誇るグローバル企業が生み出した革新的な機器が教育にも役立っているとした。

このほか、セイコーエプソンと塩尻市は、センサーを使った橋梁・道路などのンフラの安全・効率的管理、プロジェクターを使った教育環境・業務環境の向上などにおいても連携をしている。

地域創生について、セイコーエプソン執行役員 技術開発本部副本部長の市川和弘氏はこう話した。

「企業は誰のものかと考えると、地域創生においては、企業、そこに住む従業員が、地域の社会課題を一緒になって解決することが重要だ。それによって、企業にはファンができるし、地域の人にとってはモチベーションや自慢になったり、やがてそれが人口を増やすことになる」

動く蓄電池「EV」を使った災害連携協定

「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」に選定されている熊本市。SDGs推進に取り組むきっかけになったのは2016年に発生した熊本地震だった。「何ごともなく平穏に生きられると思っていた街が一瞬にして大惨事になった。最初の3日間は、右往左往するばかりで、役所は役に立っていなかった。4000回以上の余震が続き、水道が長期的に断水した」と熊本市環境局環境推進部環境政策課長の桝田一郎氏は振り返った。

地震によって再認識したのは「地域力の重要性」と「ライフラインの強靭化の必要性」。ライフラインを強靭化する一環として、「地域エネルギーの地産地消」「電気自動車(EV)の電力供給に係る官民連携事業」「EVバスの導入促進」に取り組む方針を掲げている。

熊本市は今年7月、日産自動車、熊本日産自動車、熊本日産自動車の3社と「電気自動車を活用した持続可能なまちづくりに関する連携協定」を締結した。

日産は、EVの普及を通じて社会の変革、地域課題の解決に取り組む日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」を推進している。同社日本事業広報渉外部担当部長の大神希保氏は、EVについて「単なる移動手段ではなく、大容量蓄電池を搭載している。台数が増えるほど社会のインフラの一部を担える」と話した。

平常時は、公用車としてEV車「リーフ」を利用することでCO2排出量の削減できる。また災害などの非常時には、同市の販売会社がリーフを無償貸与し、動く蓄電池として活用できる。日産は、自治体との災害連携協定は、現在全国で9件としながらも2019年度内に30件まで増やす方針だ。

大神氏は「企業は商品を持っているので、プロダクトアウトで自社の商品のアピールしがち。しかし、どんな課題を抱えているのかをしっかりリサーチをし、ヒアリングをして、両社のメリットが合致する取り組みを行うことが重要」とし、「首長のビジョンが不可欠。企業はビジョンに貢献できるかを確認する必要がある」と語った。

自治体から見ても、企業との連携のあり方は近年変わってきていると感じているようだ。熊本市の増田課長は「いままでの、発注者と受注者という関係ではなくなってきている。本当にパートナーという感じで、一緒にやっていくのだという風に変わってきている。企業とパートナーシップを組むことで、思わぬ解決策が出てくることがあり、そこから先に色々なものにつながっていくということが最近出てきている」と話した。

小松 遥香

Sustainable Brands Japan 編集局デスク。アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。