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パシフィコ横浜、食品廃棄物から発電し電力自給ーー国内MICE施設で初

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横浜市の総合イベント施設「パシフィコ横浜」はこのほど、施設内で排出した食品廃棄物をメタン発酵して発電し、その電力を隣接する臨港パークへ供給する循環型エコシステムを導入した。国内のMICE施設では初めての取り組み。食品廃棄物の収集・運搬は、電池交換型EVパッカー車で行い、民間事業者によるEVパッカー車の導入も国内初という。同施設ではこれまで、施設から排出する廃棄物の約90%をリサイクルしている。今回のシステム導入で年間リサイクル率を約1%向上する見込み。(サステナブル・ブランド ジャパン=沖本啓一)

MICEとはMeeting(企業ミーティング)、Incentive Travel(報奨・研修旅行)、Convention(国際会議)、Exhibition/Event(展示会/イベント)といったビジネスイベントの総称。

パシフィコ横浜(正式名称:横浜国際平和会議場)は2017年から、新電力事業を手がけるアーバンエナジー(神奈川・横浜)の「創電割(そうでんわり)」を導入し、廃プラスチックなどの産業廃棄物を燃料として発電した電力を臨港パークに供給している。年間リサイクル率100%を目指す中で同施設から排出される食品廃棄物に着目し、調整を行ってきたという。

食品廃棄物から発電し、エネルギーを供給するシステムは今年8月に導入した。パシフィコ横浜の全施設内で排出した食品廃棄物を収集してリサイクル工場でメタン発酵、発電し、その電力をアーバンエナジーが買い取る。廃棄物の量に応じて電力料金を割り引く「創電割」により、パシフィコ横浜が管理する臨港パークに電力を供給する仕組み。その一部は、食品廃棄物を収集・運搬するEVパッカー車の充電にも活用する。

施設から排出する食品廃棄物排出量は年間約20トンを予定する。食品廃棄物からの発電量は、電力使用量約8700kWh(契約電力の約4%)に相当するという。廃棄物総量に対するリサイクル率は約90%を達成しているが100%を目指すとし、今回の食品廃棄物への取り組みにより年間リサイクル率約1%の向上を見込む。

パシフィコ横浜はごみのリサイクルに限らず、インフラ、イノベーション、食、災害時などの多様な観点からサステナビリティへの取り組みを進めている(パシフィコ横浜のサステイナブルへの取り組み)。広報担当の庄司奈弓氏は「テナントなどの管理になるが、パシフィコ横浜として食品廃棄物そのものを削減することの必要性も感じている。国内最大級のMICE施設として、引き続きサステナビリティへの取り組みを強化していく」と力を込める。

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

フリーランス記者。2017年頃から持続可能性をテーマに各所で執筆。好きな食べ物は鯖の味噌煮。