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ファーストリテイリング、ILOと連携 労働課題の根本的解決を目指す

グローバル旗艦店のひとつ、ユニクロ上海店

ユニクロなどを展開するファーストリテイリングは4日、国際労働機関(ILO)とパートナーシップを締結したと発表した。同社が生産拠点を置くカンボジアなどの7カ国で労働市場と社会保障制度の比較調査などを実施し、失業した際の支援強化といった労働者の保護水準の向上につながる政策対話を促進する狙い。今年9月からの2年間で約1億9千万円の資金を拠出する。同社の柳井正会長兼社長は「サプライチェーンの枠を越えて、労働課題の根本的な解決に貢献することを目指す」とコメントしている。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)

ファーストリテイリング(以下、同社)と世界の労働問題に取り組む国連の専門機関ILOは、アジアで労働者の社会保障の充実と労働環境の整備に取り組むことを目的としてパートナーシップを締結した。同社が今年9月からの2年間で拠出する約1億9千万円の資金は、ILOによるアジア各国を対象とした労働市場と社会保障制度に関する調査と、インドネシアでの雇用保険の導入などの失業時の労働者支援を強化するプロジェクトに投じられる。

ILOが調査を行うのはバングラデシュ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ミャンマー、ベトナムの7カ国。グローバルに243ある同社の取引先縫製工場のうち233はこの7カ国に立地する、主要な生産拠点だ。このうちインドネシアではかねてより同社とILOが労働市場などの調査を進めていたため、ほか6カ国に先駆けて具体的なプロジェクトに取り掛かる。

インドネシアで展開するプロジェクトでは、雇用保険の創設に向けて政府、労働者団体、雇用者団体の三者間協議を促進する。同時に、失業者向けにIT産業など新興成長産業へのキャリア転換を支援するトレーニングプログラムの開発と、再就職支援の充実を図る。

同社では2004年「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」を策定し、取引先縫製工場のモニタリングを実施するなど、サプライチェーン上の労働環境や人権問題を重要課題と位置づけ、かねてより積極的に取り組みを実施している。今回のパートナーシップではさらに一歩踏み込み、サプライチェーンの枠を超え、アジア各国での政策対話までをも促すことが狙いだという。

柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長

柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長は「サプライチェーンの枠を越えて、アジア地域における社会保障の充実と労働環境の改善に向けて働きかけ、アジアで働く人々を取り巻く課題の根本的な解決に貢献することを目指す」とコメントを発表した。

また宮本三知子・ILO ジャカルタ事務所代表はパートナーシップ締結を受けて「縫製産業に従事する女性などの、産業構造の変化の影響で失業する労働者に対し、雇用が伸びている産業への移行を支援するプロジェクトは、労働者の家族の生活や子どもの教育を守ることにつながる。特に女性失業者への支援は、そうした効果が高いことが知られている」と発表している。

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

Sustainable Brands Japan 編集局。フリーランスで活動後、持続可能性というテーマに出会い地に足を着ける。好きな食べ物は鯖の味噌煮。