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ボトムアップでイノベーションを起こすエコシステム

SB2019Tokyo

セッション「人類の4つの生存革命に応える―食と農業、水、サーキュラーと資源、エネルギー・気候変動分野のイノベーションを加速する」では、オンラインネットワークでコロンビアとスリランカを中継で繋ぎ、ファシリテーターのピーター D.ピーダーセン氏(左)と、SOCIALABのリナ・アランゴ氏、NELIS東アジアメンバーのケイティ・コンロン氏で議論を深めた

2050年には水不足人口が52%に達し、海ではプラスチックの重量が魚の重量を超え、気温上昇による危機も予測されている。「人類が生存するにはこれらの課題に対応した革命的なイノベーションを起こさなければならない」。セッション「人類の4つの生存革命に応える」で、NELISのピーターD.ピーダーセン代表理事はそう強調した。社会課題を解決するアイデアを集め、ボトムアップでイノベーション・チャレンジを行うエコシステムを作るという。(辻陽一郎)

NELIS(Next Leaders' Initiative for Sustainability)は、世界の次世代リーダーやサステナビリティ実践者のグローバル・ネットワークを築く一般社団法人だ。メンバーは現在24カ国に渡り、200人を超えている。

社会課題に取り組む企業は世界各地に存在しているが、ピーダーセン代表は「いまのスピード感・規模感では、革命を起こすことはできない」と語る。エコシステムを作ることで「食と農業、水、サーキュラーと資源、エネルギー・気候変動分野のイノベーションを加速する」という。

エコシステムでは、実践知を持つ若手の知見を既存組織の若手に教える学習プラットフォームの構築や、具体的な社会課題解決をテーマにした短期間の「ソーシャルイノベーション・ブートキャンプ」といったプログラムを進めているという。

NELISのパートナーの1人であるリナ・アランゴ氏は、コロンビアをはじめ南米6か国にオフィスを持つソーシャル・ベンチャーSOCIALABのCOOとして、社会課題の解決を進めている。

同社のプラットフォームでは、世界92カ国における約60万人の「クリエイティブ・マインド」をつなぎ、社会課題を解決するベストアイデアを見つけ、オープンイノベーション・チャレンジを行っている。

専門家だけではなく世界中の人の知識や経験を共有し、集合知を通じて解決策を見つけていく手法だ。

SOCIALABでは200以上のチャレンジに取り組んでいる。例えば「アルガナモ」というプロジェクトでは、低所得の世帯向けに、生活必需品などを一括で購入し、それを小分けにして消費する仕組みを作った。

米や豆、洗剤などを必要な分だけ少量買いたいというニーズを満たし、かつ一定量の規模で購入するため割高にならないようにする取り組みだ。最初は小さなアイデアからイノベーション・チャレンジとして始まったが、いまでは企業化して事業を進めているという。

SOCIALABのリナ・アランゴCOOは、「社会課題に対して、最良のアイデアをソリューションに変えていく。古い形にとらわれず、起業家精神を持ってサステナブルなビジネスに転換させていくことが重要だ」と話した。

世界には、まだ知られていないが、社会課題に取り組む企業が多く存在する。こうした会社を発見し、ネットワーク化してボトムアップで高め合っていく――。ピーダーセン代表はこうした狙いを踏まえ、「日本でも国内企業を中心とした100社のエコシステムをつくりたい」と語った。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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