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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

「協創力」で日本創生モデルつくる――未来まちづくりフォーラム①基調講演

オープニングスピーチを行った内閣府特命担当大臣(地方創生)の片山さつき氏

企業、官公庁、アカデミックが一体となって持続可能なまちづくりを考える「未来まちづくりフォーラム」が3月7日、SB2019Tokyo会場内で開催された。基調講演では内閣府特命担当大臣(地方創生)の片山さつき氏などが登壇。地方創生にとどまらず包括的な国内の課題や地域課題の解決に向けて、官民学の連携をさらに広げた幅広い共創の必要性や、現状の実例、分析が語られた。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局)

地方創生は「揺るぎない方針」片山さつき氏

同フォーラムの前身は地方創生まちづくりフォーラム「まちてん」だ。省庁を始めとした関係団体との連携を強め、バージョンアップしての開催となった。基調講演のオープニングトークには、片山さつき・地方創生担当相が登壇した。

片山氏は「成果をしっかりと(政策に)活かす、重要なフォーラム」と今フォーラムを評価。昨年に続き今年も新たにSDGs未来都市を選定し、「5-6月頃には発表できる考え」と政策の進捗を報告した。特に正道的な取り組みを実施している事業提案には財政支援を行うなど、「各方面から総合的に支援をしてまいりたい」と行政から後押しする姿勢を示し「情報支援、人材支援、財政支援が地方創生の三本の矢。国と地方と民間が一体となって地方創生のさらなる深化を図っていくことは揺るぎない方針」と力強く語った。

「官・民・学」+「金・労・言」のパートナーシップを

笹谷秀光・未来まちづくりフォーラム実行委員長
阿部守一・長野県知事

片山氏に続き登壇した、SDGs未来都市に選定されている長野県の阿部守一知事は「東京目線だけではなく、地方の目線を共有し、都市も地方も元気になるモデルを考えてほしい」と参加者への期待を述べた。

また、笹谷実行委員長は「ハードウェア、ソフトウェアだけでなく『ハートウェア』が重要」と語り、センス・オブ・プレイス(まちの個性)とシビック・プライド(市民の誇り)がポイントだと述べた。SDGsを活動基盤としたまちづくりの連携・協働の解説では官民学に金融、労働、メディアを加えた「官・民・学・金・労・言」での強力なパートナーシップの必要性を訴えた。

地域と地球の課題「答えはある」小宮山宏氏

力強い言葉でキーノートスピーチを行う三菱総合研究所の小宮山宏・理事長

キーノート・スピーチを行ったのは小宮山宏・三菱総研理事長。小宮山氏によれば、グローバル規模で20世紀以降、GDPは8倍、人の寿命は31歳から72歳に伸び、文明は成功している。一方で地球の二酸化炭素濃度が増加し、人間が地球を顕著に変え始めた。モノ需要が成熟した先進国は、地球の持続可能性と個人の自己実現を達成する社会を目指すことを小宮山氏は提唱する。そこで日本はどのように舵を切り、ビジネスを創るのか。

「日本は加工貿易だと学校で習うが、資源輸入、製品輸出、というのは、人口比10%の先進国が工業を独占していた20世紀のモデル。これからは成り立たない」(小宮山氏)と指摘。自給自足の社会こそが「日本の本質的な社会」と訴えた。

一例として木材資源を自給に切り替えれば、地域に50兆円の新しいビジネスが生まれる試算だという。「サステナビリティとは地球と社会と人間の持続への問い。答えはある」と小宮山氏は断言する。「技術も体制も揃っている。問題は動かないことだ。どうやって動かすのか、誰が動くのかがポイントだ」と問題提起。「まちづくりは横展開が難しい。どうやって成功例をネットワーク化していくのか。腹に落ちるまでよく考え、前に進みましょう」(小宮山氏)とフォーラムの意義を再確認した。

SDGsの本質は「心に響くこと」

左からファシリテーターの笹谷秀光・実行委員長、阿部守一・長野県知事、太田昇・真庭市長、田中里沙・事業構想大学院大学 学長、村上周三・省エネルギー機構理事長

基調講演のスペシャル・シンポジウムでは産官学からスペシャリストが登壇し、各分野の視点から連携のヒントを探った。この中で、阿部守一・長野県知事は、「大学や学生を地域の資源としてどう活かすか、大学側も考えてほしい。企業には行政に積極的に入り込んでほしい」と、官の立場から産、学分野に求めた。

岡山県真庭市は、市内の80%が森林で「里山資本主義」を掲げSDGs未来都市に選定された。太田昇・同市長は、木材を有効利用する市の事例を披露。バイオマス発電はビジネスとしても成功しており、永続の活用を見込むという。冷暖房をバイオマス発電に依存し、建材に木材を大量利用する施設の建設など、実効的な施策に取り組む。「(都市部でも)日本は地殻変動でできた国だという観点での都市構想を」と述べた。

村上周三・建築環境・省エネルギー機構理事長はSDGs未来都市の選定過程や意義を詳細に解説。優良自治体を認定しピークを高くすることで、裾野を広げるというビジョンを語った。「SDGsを市民社会へ定着、底上げすることは自治体だけでは難しい。関心度が非常に高い地域の金融機関にも参加してもらい、自治体がフィールドを提供する水平連携を進めることが重要」と話す。

「学」の視点では事業構想大学院大学の田中里沙・学長が登壇。「トップ同士での連携、関係づくりも大事だが、(個人が)自分の身の丈で議論をし、考えることでSDGs的な社会のあり方が全体の共通の理想の姿だと気づく」と分析。「自分が地に足をつけ、かつ誰かに支えられているという意識がSDGsの根本だ。その意識を持ちながら成長していきたい」と決意を語った。この言葉を受けて村上氏は「自分で汗をかき、自らの力で考える組織体制をつくってほしい」と参加者に呼びかけ。笹谷実行委員長は「地域に行ってみたいなと思わせる、つまり心に響くことがSDGsの本質だ」と基調講演を締めくくった。