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「RE100」加盟3社が語る再エネ100%への道筋と課題

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SB2019Tokyo

セッション「電気を選ぶことで再エネを増やそう」

事業運営を再生可能エネルギー100%(RE100)で調達することを宣言した日本企業3社が「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」に登壇し、その道筋やそれぞれが抱える課題を語った。「RE100」イニシアチブに加盟する企業は世界で166社、国内で17社となり、その数は拡大しつつある。米国アップル社のようにすでにRE100を実現した企業がある一方で、国内企業がRE100を目指すにはどのような課題があり、道筋があるのだろうか。RE100に加盟したアスクル、大和ハウス工業、ソニーの担当者が語った。(箕輪弥生)

2030年までにRE100を目指すアスクル

アスクルはリコー、積水ハウスに次いで国内企業として3番目にRE100を宣言した。しかし、加盟した2017年当時、同社の再エネ導入率はゼロだった。にもかかわらず、トップの強い意志もあり、2030年までにRE100を実現するという意欲的な目標を掲げている。

同社は契約する電力小売り会社を再エネで供給する企業に変更し、グリーン電力証書を購入するなどして、2018年には25%を再エネでの供給で賄った。今後2025年までにすべての物流センターを、2030年までに子会社なども含めすべての事業を再エネで稼働させる未来を描く。

同社では、早期配送を実現するために物流センターには自動走行ロボットなどの物流機器が多数あり、大きな電力を使う。この電力を再エネに変えていくと共に、将来的には物流を担う子会社の配送車も電動化を視野に入れる。

東俊一郎アスクルCSR・総務部長は「国内での再エネの価格が高いことや、FIT(固定価格買取制度)で販売する電力はRE100のエネルギーとしてカウントされないことなど規制が多く、難しい目標だが、加盟したことで再エネ導入について提案をいただく機会が増えた」と話す。

自社で作る再エネで100%を目指す大和ハウス

大和ハウス工業は2018年3月、アスクルに次ぎ4番目にRE100に加盟した。近年、自然災害が拡大し、住まい、暮らしという同社の基盤の部分が脅かされているという危機感がつのる中で、「環境負荷ゼロ」に挑戦しており、その戦略のひとつが再エネの導入である。

同社は2007年から風力発電所を稼働するなど発電事業も早い段階から行っており、RE100に加盟する国内企業のうち、唯一自社で作った再エネで100%にしようと考えている企業だ。2018年度には自社で使う電力の7割を自社で発電した再エネで賄えるまで拡大した。

しかし、FITで販売した再エネは、現在はRE100のエネルギーに適用されないことから、2030年までは再エネ設備を拡大し、その後FIT切れを含めて順次自家消費に切り替え、2040年にはすべての事業を再エネで行う道筋を描く。

小山勝弘 大和ハウス工業環境部長は「RE100という企業連合を通じて再エネのムーブメントを起こしていきたい」と話す。さらに小山部長は「再エネビジネスはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、蓄電池のマーケット拡大にもつながる」と事業へのシナジー効果を期待する。

まず省エネを、そして足りない分を再エネで――ソニー

ソニーは2018年9月、RE100へ加盟し、2040年までに100%再エネ化を目指している。ソニーグループは、以前から「Road to Zero」という製品のライフサイクルから発生する環境負荷を限りなくゼロにしようという長期的ビジョンを掲げてきた。「RE100」への加盟はそれを実現するためのひとつのマイルストーンだ。

同社では欧州の事業所ではすでに再エネ100%を実現し、米国でも2030年に達成の予定だが、電力を多く使う半導体事業を抱える日本での達成はハードルが高いという。そのため、グリーン電力証書や水力で発電された電力証書「アクアプレミアム」を購入するほか、国内製造拠点に太陽光発電装置を設置している。

鶴田健志 ソニー品質環境部ゼネラルマネージャーは、その道筋について「具体的には2030年以降FIT切れの再エネを活用して加速させるイメージ」と説明し、「まずは省エネをして、それでもだめなところは再エネをいれていく」と省エネの重要性を強調した。

同社は国内で経済的かつ安定的に充分な量の再エネが供給されるよう、RE100加盟の他企業とともに再エネ市場や政府への提言もしていく意向だ。大和ハウス工業の小山環境部長も「加盟企業による政府への提言の動きが出てきている」と話す。

欧米に比べて規制が多く、コスト高が否めない日本の再エネだが、影響力の高い企業が連携してRE100を目指し、政府へさまざまな提言をし、マーケットを作っていくことで国内企業の脱炭素への道筋が開かれていくのではと期待される。そういう意味でも登壇した3社はそのパイオニアの役割を担っている。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。JFEJ(日本環境ジャーナリストの会)会員。

http://gogreen.hippy.jp/