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横浜からSDGsの近未来を考える

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「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」の2日目には、「SDGs(持続可能な開発目標) Future City YOKOHAMA」と題した基調講演(プレナリー)が行われた。昨年6月に「SDGs未来都市」に選定された横浜市は、SDGsの視点から「環境を軸に経済や文化芸術による新たな価値を創出し続ける都市」の実現を目指している。同市は来年日本で開かれるSB国際会議の会場となることが決まっており、目指すべき協働の取り組みについても話し合われた。(オルタナ編集部=堀理雄)

登壇したのは横浜市の荒木田百合副市長と、同市に本社を置く日産自動車の星野朝子専務執行役員。横浜市に本部を置く関東学院大学の小山嚴也副学長がファシリテーターを務めた。

荒木田副市長は、子育て環境などの福祉サービスの整備やシニア世代のスキル発揮といった施策を紹介。また臨海地区への企業誘致や、スタートアップ支援を通じたイノベーションの創出、観光を通じた活性化などの分野に力を入れていると述べた。

「SDGs未来都市に選定されたことを受け、持続可能な街づくりの取り組みをさらにステージアップしていきたい。世界の潮流である脱炭素化に向けて『Zero Carbon Yokohama』(ゼロカーボン横浜)を目標に掲げており、環境を軸に経済や文化芸術による新たな価値、賑わいを創出し続けていく」(荒木田副市長)

横浜市では、SDGsの取り組み推進に向け、昨年「SDGsデザインセンター」を設立した。「SDGsの視点からニーズとシーズを結びつける横断的な取り組みで、ネットワークを強めていきたい」と荒木田副市長は力を込める。

横浜市に本社を置く日産自動車は、「日本電動化アクション『ブルー・スイッチ』」を掲げ、電気自動車の普及を通じて社会の変革、地域課題の解決に取り組んでいる。

登壇した星野専務執行役員は、災害時に電気自動車が蓄電池としての役割を果たす点を紹介。「地震や台風の被害、火山などの自然災害への備えは重要な社会課題。災害時の避難所での給電に、日産の販売会社の電気自動車を活用するといった取り組みを全国の自治体や企業と進めている」

昨年9月に北海道で起きた大規模な地震と広域での停電「ブラックアウト」の際、同社の電気自動車から給電する仕組みを持っていた一戸建て住宅では停電状態を免れ、近所に冷蔵庫を貸し出すなどの事例も多くあったという。

荒木田副市長は「グループホームにお住いの高齢者など災害弱者とされる方が、災害時にその『自動車の形をした蓄電池』があることで、避難せずに生活を続けることができるかもしれない。日ごろ送迎に使う自動車などを電気自動車に変えていくことも検討したい」と応じた。

小山副学長は、「SDGs未来都市である横浜を出会いの場として、新たなイノベーションが起こることを期待している」と話した。