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SDGsをどう経営に統合するか

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SB 2018 Tokyo

左から、EY Japanのマクリッシュ氏、損保ジャパンの関氏、パナソニックの福田氏

2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)。認知度は高まってきたが、活用方法としては事業と17目標のアイコンを関連付けるにとどまっていることが多い。サステナブル・ブランド国際会議では、その次の段階として、SDGsをどのように経営に統合していけば良いのかが議論された。 (オルタナ編集部=吉田広子)

「日本でもSDGsという言葉を目にする機会が増え、関心を持つ企業も増えている。一方で、経営に統合するのは簡単ではない。統合するとはどういうことか。課題や展望を聞いていきたい」

ファシリテーターの黒田氏

セッション「SDGsをどう経営に統合するか?」の冒頭で、CSOネットワーク(東京・新宿)の黒田かをり事務局長・理事は登壇者に投げかけた。

EY Japanのヘザー・マクリッシュFAAS事業部気候変動・サステナビリティサービスシニアマネージャーは「サステナビリティはジャーニー(旅)のようなもの。終わりはなく、続けていかなければならない。企業の動きとしては、まだコミットメントに欠けている印象がある。KPIを開示し、エンゲージメントを高める必要がある」と話した。

日本経済団体連合会は2017年11月、企業行動憲章を改定し、SDGsを前面に出した。改定タスクフォースの座長を務めた、損害保険ジャパン日本興亜の関正雄CSR室シニア・アドバイザーは、「SDGsはアイデアやヒントの宝庫。17の目標との関連性を考えるだけではなく、169のターゲットレベルで見ると、より具体的に見えてくる。SDGs を『SBDGs(ビジネス開発目標)』ととらえよう」と呼びかけた。

パナソニックは2018年3月、創業100周年を迎えた。同社の福田里香ブランドコミュニケーション本部CSR・社会文化部部長は「創業以来、一貫して事業を通じて社会の発展に貢献することを目指してきた」と話す。近年の事例として、福島に構える植物工場や、「エイジフリー」の理念のもとで手掛ける介護・福祉機器の開発などについて紹介した。

加えて、本業とは別の企業市民活動として、世界の無電化地域にソーラーランタンを寄贈する「ソーラーランタン10万台プロジェクト」を紹介。創業者・松下幸之助が「貧困はなくさなければならない」と考えていたことから、企業市民活動では貧困の解消を軸に進めている。

黒田事務局長は「貧困は市場経済の外にあることが多く、事業と結び付けるのが難しい。本業と企業市民活動を経営に統合していくという考え方に感銘を受けた」と語る。

多くの日本企業は、必達になることを懸念し、長期目標を公表しない傾向がある。これに対し、ヘザー・シニアマネージャーは「情報公開することで外部からのプレッシャーがかかる。これは目標を達成するために必要なこと。より良くするためには挑戦することが重要で、すべて失敗ではない。投資家やステークホルダーは、企業がどちらの方向に進もうとしているのかを見ている。私はコミットメントすることで、前に進むことを信じている」と力を込めた。

吉田 広子 (よしだ・ひろこ)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長
大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。

「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。