• 公開日:2018.04.12
ミレニアル・Z世代が持つ価値観にどう対応するか
  • 辻 陽一郎

SB 2018 Tokyo

左から、マーケティングクリエイティブディレクターの吉水氏、エンゲージメント・ファーストの萩谷氏、「Be inspired!」の平山編集長、H&Mジャパンのオルティス氏

1980年から1995年生まれの「ミレニアル世代」は、前回、2017年のサステナブル・ブランド国際会議で参加者が最も印象に残ったキーワードだ。今年は1996年以降に生まれたZ世代も取り上げ、「企業は彼らの新しい価値観にどう対応するのか」をテーマに議論した。 (辻 陽一郎)

パネリストは企業のCSV戦略のコンサルなどを手掛けるエンゲージメント・ファーストの萩谷衞厚チーフ・シェアード・バリュー・オフィサー(CSVO)、H&Mジャパンのアンジェラ マリー オルティス企業社会的責任CSRマネージャー、若者向けにソーシャルグッドな情報を発信するウェブメディア「Be inspired!」の平山潤編集長の3人だ。ファシリテーターは、マーケティングクリエイティブディレクターの吉水由美子氏が務めた。

萩谷CSVOはまず、自社の調査結果から、多世代と比較したときのミレニアル世代・Z世代の特徴を説明した。

一つは、社会的課題への関心が非常に高いということ。企業の社会課題の貢献度合いが購買行動に影響を与え、エシカル認証やガイドラインに沿っている企業を応援したり、多少高くてもエシカルな商品を購入したりする。影響力の高いメディアには、インターネット上の投稿記事や口コミ、企業のSNSなどが挙がったという。

一方、オルティスCSRマネージャーは「両世代の違いも重要」と指摘する。ミレニアル世代はシェアード・バリューや人的な価値を重視する。Z世代は、そうした価値観を持ちつつも成功して利益を上げたいという野心のある考え方がある。

「関係構築型」のマーケティングへ

92年生まれでミレニアル世代の平山編集長は、若い世代で社会問題に関心のない人たちをターゲットに、世界中で起こる社会変革のストーリーを発信する。

「海外では社会問題を考えることがイケていることから、今は当たり前、スタンダードになっている。日本は2歩遅れ。ファッションや音楽を通じて、ポジティブに社会問題を解決できるということを伝え、ソーシャルグッドがクールなことだと変えていきたい」と話した。

吉水氏は「これまでは『欲望喚起型マーケティング』だったが、これからは顧客と一緒につくっていく『関係構築型マーケティング』になっていく」と語った。

従来のマーケティングでは、企業が消費者に上から情報を提供する発想だった。だが、これからは企業と消費者が縦ではなく横の関係になり、発信者と受信者が価値観を共有し、共創していくことが重要だ。

written by

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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