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SDGsを事業やマーケティングにどう生かしていくか

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SB 2018 Tokyo

左から、日立製作所の増田氏、オムロンの貝﨑氏、日本コカ・コーラの柴田氏


SDGsは、今や多くの企業にとって進むべく指針となりつつある。SDGパートナーズの田瀬和夫CEOをファシリテーターに迎え、先駆的な3社の事例を通じ、事業やマーケティングにSDGsをどのように生かせるかについて、議論が交わされた。(寺町 幸枝)

登壇した日立製作所の増田典生CSR・環境戦略本部企画部担当部長によると、IT(情報技術)とOT(制御・運用技術)を推し進める日立製作所は、2017年のサステナビリティレポートから「SDGsなどの国際的な目標達成に積極的に貢献する」ことを明文化しているという。

自社をBtoB企業ではなく、BtoS(社会)企業と位置づけ、社会的イノベーションに貢献する企業の基盤としてSDGs を取り入れている。社長を議長とした「サステナビリティ戦略会議」を旗振り役とし、「サステナビリティ推進委員会」を中心に、具体的な事業を推し進めている。

オムロンの貝﨑勝サステナビリティ推進室企画部部長は、開口一番に同社の社憲を紹介した。「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」というこの企業理念を実践することこそ、サステナビリティであり、CSRであり、ESGだと説明した。

2017年からサステナビリティへの取り組みや目標達成と、中期経営計画を統合させたという貝﨑部長によると、中期経営計画で、社会的な課題を解決するためにSDGs への貢献を前提に検討するようになったという。注目したいのは、同社はダウ・ジョーンズのESGインデックス「DJSI World」に2017年に選定されたことと、その実績を役員の配当に紐付けたという点だ。

日本コカ・コーラは、世界で共通して「爽やかな瞬間や幸せな気持ちを提供する」というミッションを掲げる。しかし一方で、フランチャイズ企業ゆえに事業戦略として、限定された地域やコミュニティーとの成長を余儀なくされるという制限も存在する。

日本コカ・コーラの柴田充品質・労働安全衛生・環境ガバナンス労働安全衛生・環境サステナビリティ部長によると、この2つの考えがSDGs を捉える上で、重要な柱となっているという。具体的には日本では製品の原料である茶葉の生産活動に従事する女性のネットワーク化と活躍支援を行うといった活動を展開している。

ファシリテーターの田瀬氏

このセッションから見えたことは、社会の変化のスピードが早まっている昨今、2、3年前に立てたプランでは、もう事業が回らないという現実があるということだ。

こうした流れの中で、SDGs を経営理念に取り込み、長期的な視野で企業ゴールを設定し、サステナブルな事業方針を進めていくことが、SDGsへの貢献と企業経営の面での成功に結びつくと考えられるのではないか。

寺町 幸枝(てらまち・ゆきえ)

Funtrapの名で、2005年よりロサンゼルスにて取材執筆やコーディネート活動をした後2013年に帰国。現在国内はもとより、米国、台湾についての情報を発信中。昨年より蔦屋書店のT-SITE LIFESTYLE MAGAZINEをはじめ、カルチャー媒体で定期出稿している。またオルタナ本誌では、創刊号以来主に「世界のソーシャルビジネス」の米国編の執筆を担当。得意分野は主にソーシャルビジネス、ファッション、食文化、カルチャー全般。慶應義塾大学卒。Global Press理事。