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「伊勢志摩サミットは成果なし」、NGOが厳しい評価

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「首脳レベルでは市民社会へのプライオリティが低い」とNGO評価は厳しい

国際協力NGOセンター(JANIC)など国内外のNGO約60団体は共同で、5月に開かれた「G7・伊勢志摩サミット」は「期待するような成果はなかった」との評価を発表した。昨年成立したパリ協定や、「持続可能な開発目標」(SDGs)に対して具体的な解決方法の議論が期待されたが、サミットの議論は骨太のコンセプトにかけた。サミットで議論された12の課題に対して5段階で評価したが、いずれも3以下、ESDの取り組みに対しては1の評価をつけた。

JANICと「動く→動かす」が共同事務局を務める「G7サミット市民社会プラットフォーム」は、サミット直前の23-24日、三重で「市民の伊勢志摩サミット」を開催し、市民の政策提言をまとめ宣言文を発表した。しかし、27日に発表された首脳宣言は市民の意見が反映されたとは言えない内容だった。

「動く→動かす」の関澤春佳さんは、「首脳宣言は通常の倍のページ数だった。しかし、各国の具体的なコミットメントが記載されていない内容の薄いもので残念だった」と述べた。

サミットの12の課題に対する評価で3点をつけたのは難民や女性・ジェンダーなど6項目のみ。注目された気候変動に関しては、石炭火力発電の規制に関する議論が期待されたが、まったく言及されなかった。国際社会ではCO2を大量に排出する石炭火力発電は廃止の方向だが、日本は国内外で増設の計画を進めている。

世界全体で格差の問題が広がり日本でも貧困が問題となっているが、関澤さんは「議論のなかで『格差』という言葉が一度も出てこなかった点には驚いた。市民社会と首脳レベルとの間には大きな溝がある」と言う。

「首脳レベルでは市民社会へのプライオリティが低い。以前と比べれば、NGOとの距離も近くなり、声が届きやすくはなってきたが意見を反映するまでには至っていない」。プラットフォームのNGOらは、今回の結果を踏まえつつ、今後も世界の課題に対して地に足をつけた取り組みを続けていく。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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