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いまだに厳しく危険な労働環境の印象が根強く、若い世代や女性にとって、職業の選択肢として視野に入りにくい建設業界。人手不足や働き方改革による残業時間の規制の影響などもあり、現場環境の改善が急務とされている。
そうした建設現場の状況を少しでも変えたいという思いから、モバイルハウス活用事業を展開するオフグリッドフィールドを立ち上げた廣里成隆氏と、モバイルハウスに搭載される自立電源システムの導入に寄与した日立ハイテクの八代孝久氏に話を伺った。
| ・Interviewee 廣里 成隆 オフグリッドフィールド 代表取締役社長 八代 孝久 日立ハイテク 産業・社会インフラ事業統括本部 バッテリーソリューション事業本部 ライフサイクルソリューション部 部長代理 |
オフグリッド型モバイルハウス導入で建設現場の環境課題解決に寄与
竹中工務店とクロコアートファクトリーの合弁会社であるオフグリッドフィールドは、自立電源や衛星通信設備を持つオフグリッド型モバイルハウス等の活用によって建設現場の働き方改革や生産性の向上を図り、建設業のイメージアップに貢献することを目指して設立された。


「まずは現場の環境を整えることで、建設業界への関心や参加意欲につなげたいと考えたことが、オフグリッドフィールド設立の出発点でした。現場では、プレハブなどの仮設事務所を使用するケースが多く、空調やトイレの準備、通信設備の手配、備品の調達などの基本的な環境整備にかなり手間がかかります。本来は施工管理に専念すべき監督者が、こうした周辺業務に時間を割かれてしまい、結果として長時間労働の一因になってしまっているのです。
しかも、そうした仮設事務所は、快適な環境とは言い難いものです。夏場は熱中症のリスクも高まりますし、着替えが可能な個室の確保も難しい。そうした現場の負担を改善し、働く人にとって快適な空間を提供する方法を模索した結果、たどり着いたのがオフグリッド型モバイルハウスでした。空調やトイレなどの設備があり、必要な備品も最初から組み込まれている。そんなモバイルハウスを電話一本で現場に導入できる仕組みをつくったことで、設営の手間を大幅に削減できるようになったのです」(廣里氏)

設営の簡便さだけでなく、断熱構造を持つハウスは夏場でも十分な冷房効果が得られるなど、環境性能の面でも優れているという。熱中症対策を徹底し、安全を確保するために、オフグリッド技術を活用したモバイルハウスは適役だ。

自立電源システムの実装を通じて柔軟な連携と迅速な対応を実感
オフグリッド型のモバイルハウスには、外部電源に頼らずに電力を賄える仕組みが要求される。室内スペースが狭く設置場所に制約がある中で、安価で安全なシステムをどのように構築するかが鍵となる。
「当初は、コストが安価でライトユースでは十分使えるという位置付けの蓄電池とソーラーパネルを組み合わせて試験運用を行いました。しかし、稼働させてみると、充電や出力の安定性に不安があることが分かりました」(八代氏)
日立ハイテクはこうした課題に迅速に対応し、最終的には全ての蓄電池を、車載用の高耐久セルに入れ替えた。
「どんな需要があるのかを見ながら、市場開拓を進めている段階なので、われわれが求めているのは、ある程度の不確定要素を見越してまずは行動してみるトライアンドエラーのスタイル。最初から完璧な精度を求めると、サイズもコストも上がってしまい、オーバースペックに陥りがち。そうした意味では、八代さんの提案力と対応力にはとても助けられました」(廣里氏)
災害対策と交流促進を両立するオフグリッドパーク構想
モバイルハウスの導入においては、災害時における活用という視点も重要だ。オフグリッドフィールドが展開しているオフグリッド型モバイルハウスは、平常時は建設現場の仮設事務所や休憩所として機能しつつ、災害時にはそのまま避難所や支援拠点として利用できるポテンシャルを持っており、ライフラインが途絶えた状況でも、電力や通信が確保できるというのはかなり大きな強みとなっている。
「災害対応の観点でも自立電源や可搬性は大きな利点になりますが、廣里さんが取り組まれている『オフグリッドパーク』の構想には、そうした災害対応に加えて、地域の拠点づくりとしての側面もありますよね」(八代氏)
「弊社ではオフグリッド型モビリティーのレンタル事業および販売事業を展開していますが、オフグリッドパークは、レンタル事業のための駐車施設であると同時に、災害対策やオフグリッド技術を試したい企業さまへの実証場所の提供や、学生や地域住民の体験や学習の場として、また、日常的に利用できるコミュニティスペースとしての役割も担います。人が集う魅力的な空間として、社会への認知を広げる場として活用していきたいと考えています」(廣里氏)

社会課題解決に挑むパートナーと持続可能な未来を描く
オフグリッドフィールドでは現在、展開中のモバイルハウスおよびトレーラーハウスに次ぐ、“第3の車”を企画している。従来のような一品生産ではなく、将来的な大量生産を見据えて、日立ハイテクとも引き続き協業していく計画だ。
「廣里さんのように、社会課題に直接向き合いながら、パートナーと共に具体的にアプローチしていくスタンスのお客さまと協業できる機会は、日立ハイテクにとっても大変貴重です。ソリューションの提供だけにとどまらず、事業構想の初期段階から伴走できる関係性に、大きなやりがいを見出しています。弊社が構築してきたお客さまとのネットワークは国内外で3000社以上あります。そうした強みを生かし、これからもオフグリッドフィールドさんと協業していきたいと考えています」(八代氏)
「私が目指しているのは『まちづくりモビリティーカンパニー』です。災害時に役立つのはもちろんのこと、平常時には人が集まり、交流する場として、地域に開かれた持続可能な拠点をつくっていきたい。日立ハイテクさんとの協業を通じて、これからもこうした新しい価値を社会に届けていきたいと思っています」(廣里氏)
| 廣里氏と八代氏の対談は、日立ハイテクが発行する「サステナビリティブック2025」にも掲載されています。 |














