• 公開日:2025.01.06
  • 最終更新日: 2025.03.27
欧米で6000万人以上が使う買い物アプリ 企業に安全な原材料への変更を求める機能を追加へ
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Image credit:Yuka

急成長を遂げるフランス発の買い物・健康アプリ「Yuka」はこのほど、企業に対して安全な原料に変えるようリクエストできる新機能を発表した。欧米を中心に10カ国以上で利用されているYukaは、食品や化粧品のバーコードを読み取ると、原材料がもたらす健康や環境へのマイナスとプラスの影響や、商品の安全性を100点満点で何点か瞬時に示してくれるアプリ。より良い買い物の選択肢を提示してくれ、6000万人以上が利用している。(翻訳・編集=小松はるか)

新機能によって、同アプリの利用者は、企業・ブランドが製品設計を改良できるようカスタマーサービスチームにメールを送ったり、Xに投稿したりすることで、有害な添加物を使用している食品やパーソナルケアを製造販売する企業に意見を直接伝えることができる。

Yukaは、商品の詳細な健康評価や原料分析を表示するほかに、有害な物質を特定し、安全な代替品を紹介する機能を用いて、消費者がより多くの情報に基づいて意識的な選択ができるようサポートする。

Yuka社の共同創業者の3人。左からフランソワ、ブノワ、ジュリー Image credit:Yuka

アプリと同名の企業Yukaは2017年、ジュリー・シャポン氏、ブノワ・マーティン氏、フランソワ・マーティン氏の3人がフランスで共同創業したスタートアップだ。

米国ではユーザー数がすでに1600万人を上回り、Yukaは食品や化粧品業界の透明性をさらに高めることに継続的に注力している。そうすることで、消費者が商品を購入するたびに、自らのウェルビーイングを優先した、より健全でより多くの情報に基づく選択ができるようにしている。同アプリは財政面でも100%独立しており、提供される情報は企業や製造業者からの影響を受けておらず、消費者のウェルビーイングを追求することだけを考えてつくられている。

問い合わせの方法は?

スマホ画面の下部に問い合わせの選択肢が表示される Image credit:Yuka

Yukaの利用者は、最も高い危険性を示す赤色のラベルがついた有害添加物を1つ以上含む製品をスキャンすると、「企業に呼びかける」ボタンをクリックして、そうした添加物をなくすよう要求するメールを送ったり、Xに投稿することができる。

メールを選択した場合、企業のカスタマーサービスのメールアドレスが宛先に入ったメール画面が立ち上がる。メールには製品の添加物に関連するリスクの要点の解説や、企業に原料の変更を検討してもらう文章が入力されており、利用者は迅速かつインパクトのある行動を求めて、そのままメールを送ることもできるし、自らメール文面を調整することもできる。

Xを選ぶと、「私が使う製品に有害な添加物を入れないで」と呼びかける意味のハッシュタグ「#NotInMyProduct」が事前に挿入された投稿画面が立ち上がる。利用者はより多くの人に自らの懸念を共有でき、同じ考えを持つ人たちと連帯できる。

創業者の一人であるジュリー・シャポン氏は「私たちはただの受け身な消費者ではありません。真の変化の担い手になることもできるし、ブランドに対して経済的な利益より消費者の健康を優先するよう求める権利もあります。新機能を使うことで、利用者は害のある原材料を回避するだけでなく、有害な成分を避け、市場に求める変化も積極的に推進できます」と話す。

Yukaはこの分野の進展に貢献している。2024年に米国で行われた調査では、回答した94%がYukaを使い始めてから有害添加物の印が付いた商品の購入をやめたと回答。腸内細菌を乱す甘味料、心血管疾患のリスクを高める乳化剤、子どもの多動性を促進する疑いのある食用色素、高いがんリスクのある亜硝酸塩のような保存料など、健康を脅かす添加物はサプライチェーンから永久に禁止されるべきだ。

Yukaは欧州で多くの製造業者が商品を改善する後押しをしてきた。例えば、消費者やYukaの利用者からの圧力によって、仏スーパーマーケットチェーンIntermarché(アンテルマルシェ)は900点の製品から142の問題のある添加物を排除した。Yukaは現在、とりわけ食品の規制が厳しくない、またさらに厳しくなくなりそうな米国市場で、自社の役割を推進する使命を果たそうとしている。法規制の有無などに関わらず、今回発表した新しい機能によって、Yukaは企業・ブランドが健康を優先する変化を推進し続けられるように消費者を支援していく考えだ。

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