• 公開日:2018.09.28
ネスレ、佐川急便と共同で消費者参加型宅配サービス

個人宅や宅配ロッカーなどの「エコハブ」と呼ばれる配送拠点に消費者が自分で商品を取りに行くことで、流通の負担軽減やCO2の削減、地域コミュニティの活性化を目指す

ネスレ日本は9月26日、佐川急便と共同で新たな宅配サービス「MACHI ECO便」を10月1日から開始すると発表した。コーヒーなど同社商品の定期購入者を対象に、複数人分の商品をまとめて拠点に配送する。流通業界の人手不足が深刻化するなか、消費者が拠点に取りに来るなど配送の一部を担うことで流通の省力化やCO2排出量を削減し、同時に商品の受け渡しを通じた地域コミュニティの活性化を目指す。(オルタナ編集部=堀理雄)

拠点は「エコハブ」と称し、個人宅や店舗などで配送の中継点を担当してもらう協力者を募る。個々のユーザーは近くのエコハブまで荷物を取りに行くか配送してもらうかを選べる。取りに行く場合には5%の割引がある。エコハブとなったユーザーは、対面で商品を手渡すか配送ロッカーを設置し、ネスレから謝礼金を得る仕組みだ。

エコハブまでの配送は佐川急便が担い、その先を消費者が担うことで、流通の省力化やCO2排出量を削減し、同時に商品の受け渡しを通じた会話や交流など、地域コミュニティの活性化を目指す。中継点となるエコハブは、現在、東京都内で100カ所(うち14カ所が宅配ロッカー)、大阪府内で30カ所。来年末までに全国へ広げていくという。

ネスレ日本で提供するコーヒー飲料や健康食品を、EC(通販)サイトを通じオフィスや自宅などで定期的に購入・利用しているユーザーは約90万人。その定期購入を支えるのは、宅配サービスだ。

近年成長を続けるネスレのEC事業の配送を委託してきたのはヤマト運輸だったが、アマゾンなど通販サイトの荷物量が増加したことに伴い、ネスレ日本との契約は打ち切ることになったという。

「来年末までに全国に展開したい」と述べる高岡社長(9月26日、都内で)

9月26日に取り組みを発表したネスレ日本の高岡浩三社長によると、近年40~50%の成長を続けてきたEC事業の今年の売上高は、配送コストの増大によって25%増に鈍化する見込みだ。その上で、「商品や売り方ではなく、配送・サプライチェーンが一番の問題。それは同時に社会的な問題でもあり、我々の戦略として課題に取り組みたい」と述べた。

新サービスを始めるにあたり、「株式会社MACHI ECO」を設立。今後ネスレの商品だけでなく、理念に共感する他企業の商品も扱うことを想定しており、2025年末までにサービス利用者100万人を目指すとしている。

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