• ニュース
  • 公開日:2017.09.22
  • 最終更新日: 2025.03.21
持続可能な消費は美しい――ロレアルが啓発
    • NewsDeeply

    ロレアルは、サステナビリティに関する大きな目標を掲げており、森林伐採をゼロにする取り組みや2020年までにCO2排出量を60%減らすことを目指している。さらに、化粧品業界の巨大企業でありながら、消費者に環境に責任を持つ行動を取るように求めていこうとしている。(翻訳:梅原 洋陽)

    「サステナビリティ・プログラムで最も重要な鍵を握るのは、消費者であることが多いのです。企業が行なっているさまざまな取り組みを相殺するほど、消費者はシャワーの際に水を使います」とロレアルの商品部門・サステナビリティ・ディレクターのジョナサン・マーハー氏は訴える。

    知名度のあるブランドや製品を抱える、世界最大手の化粧品企業としてロレアルは変化を起こせる立場にいるとマーハー氏は語る。

    「私たちはブランドを通して、多くの個人とつながりを持っています。消費者がよりサステナブルなライフスタイルを築けるように、影響を与えて行く必要があります」

    マーハー氏はロレアルのサステナビリティへの取り組みをNews Deeplyに語った。

    ――サステナビリティ・プログラム「Sharing Beauty with All――美のすべてを、共に次世代へ」の概要と、2020年に掲げる目標を教えていただけますか。

    ジョナサン・マーハー氏:「Sharing Beauty with All――美のすべてを、共に次世代へ」は、私たちの考える低炭素ビジネスモデルに向けての戦略です。この業界の中で変革を起こすことができるなら、世界一の美容企業として私たちが引き起こすべきです。

    環境負荷や気候変動がどのように私たちの業界やサプライチェーン、資源調達に影響を与えているかにも注目しています。私たちは美容製品やパーソナルケア製品をつくっていますが、私たちの製品が与える影響を重く受け止めています。影響を緩和するためのさらなる努力が必要だと考えています。

    「Sharing Beauty with All――美のすべてを、共に次世代へ」は、私たちのバリューチェーンを構成する4つの柱でできています。

    革新性のある持続的発展:成分の調合から包装に至るまで、サステナビリティ方針に基づいて製品をつくっています。新製品や改良した商品の82%は、以前よりも環境に配慮し、社会的に良い影響を与えるものです。2020年までに全ての商品がそうなるよう目指しています。

    生産における持続的発展:二酸化炭素や水の使用量、廃棄物量の明確な削減目標を定めており、それは世界中のどの施設でも同じです。例えば、工場や流通センターでの水使用量を2005年から40%削減してきました。2020年までに60%減らすことが目標です。

    持続的発展:幾つかの要素があるものの、メインはサプライチェーンです。広告代理店から輸送会社に至るまでさまざまですが、私たちが「戦略的サプライヤー」と呼ぶサプライヤーに対して、細かい目標を設定しています。それぞれのサプライヤーが独自の環境目標を掲げ、進捗状況を報告してもらいます。私たちの直接取引の74%(原材料・梱包など)は戦略的サプライヤーとの間で行われています。2020年までに100%にしたいと考えています。

    持続可能な暮らし:この柱が最も難しいということが分かっています。私たちの製品やそのライフサイクル、製造工場やサプライチェーンについてお話ししてきましたが、消費者の重要性は計り知れません。他の全ての領域において前進しても、消費者のもつ力には及ばないかもしれません。私たちの46%のブランドが持続可能な消費を啓発する活動を行なっています。2020年までに全てのブランドで展開することが目標です。

    ――サステナビリティはイノベーションの推進力だと話されています。詳しく説明していただいてもよろしいでしょうか。

    マーハー氏:サステナビリティというのはとても面白い触媒です。成分配合やパッケージチームにとってサステナブルであることは困難でありながらも、良い刺激でもあります。新しいやり方や材料、そして技術を身につける機会となっています。

    ブランド部門やマーケティング部門もサステナビリティに取り組むことで、恩恵を受けています。これらの部門に製品の新たな捉え方を教えたところ、彼らも多くのことにワクワクしていました。サステナビリティが持つ可能性やブランドを社会に位置付けられるチャンス、ブランドが果たせる社会的責任、そしてどのようなブランドになりたいかを考えるきっかけになっています。さらには、サステナビリティに取り組むことで起きるイノベーションによって、化粧品業界では革新的な原材料を発見でき、社会的・環境的な付加価値も生まれるのです。

    ――ロレアルが行うように、利益とパーパス(理念)の両方を追求したいと考える企業にはどのようなアドバイスを送りますか。

    マーハー氏:まずはパーパスからです。ロレアルではこの点がとてもクリアです。技術的な課題やビジネス課題は、言い換えると、新たな消費者を生み出すための課題です。目的が利益と結びつくと、両立が可能になるのです。

    突き詰めると、つくった製品は全ての点において秀でているものになるはずです。サステナブルな製品というだけでは不十分です。素晴らしい美容製品であり、パーソナルケア製品でもあるべきです。消費者にとって魅力的で、経済的な視点からもサステナブルであることも重要です。

    SB.com オリジナル記事へ

    News
    SB JAPAN 新着記事

    海の未来は地球の未来そのもの――持続可能な海洋利用の実現に奔走
    2025.04.18
    • ニュース
    • #イノベーション
    • #気候変動/気候危機
    SBTN、水産業向けガイダンスを発表 リジェネラティブな産業への転換を
    2025.04.17
    • ワールドニュース
    • #リジェネレーション
    • #カーボンニュートラル/脱炭素
    • #生物多様性
    aiESGが目指す「しわ寄せのない幸せな世界」 
    2025.04.17
    • ニュース
    • #サプライチェーン
    • #AI
    【ビジネスと人権コラム】第9回「攻め」の人権対応が持つ可能性(前編)
    2025.04.16
    • コラム
    • #人権

    Ranking
    アクセスランキング

    • TOP
    • ニュース
    • 持続可能な消費は美しい――ロレアルが啓発