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  • 公開日:2017.07.10
  • 最終更新日: 2025.03.21
SB国際会議2017デトロイト特集

    SB国際会議2017デトロイト報告(1)森 摂

    基調講演をするコーアン・スカジニア氏

    「グッドライフ」で地球規模の課題解決

    「サステナブル・ブランド(略称SB)国際会議2017デトロイト」が2017年5月22─25日の4日間、米デトロイトで開催された。来年5月まで、世界11都市で順次開催するSB2017の年間共通テーマ「グッドライフの再定義」のもと、多くの講演やワークショップなどが開かれた。SBが2017年の開催地にデトロイトを選んだのは、2013年に財政破たんし、社会的課題が山積している同市の姿を見てもらうことで、SBの新テーマ「グッドライフ」を参加者と共有したいという主催者の意図があった。

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    SB国際会議2017デトロイト報告(2)社会からの要請強く
    SB国際会議2017デトロイト報告(3)「グッドライフ」、地球規模で議論を

    SB国際会議2017デトロイト ハイライト(1)

    パション・マレー氏

    わくわくするようなセッションが満載のサステナブル・ブランド国際会議2017デトロイトが2017年5月22日―25日、米ミシガン州・デトロイトで幕を開けた。デトロイトをはじめ各地から集まったパネリストは、「グッドライフ」を再定義しようと取り組むオピニオンリーダーや研究者、チェンジメーカーたちだ。
    復活を遂げた街「デトロイト」で、地元起業家が開催宣言
    サステナブル国際会議が、2013年に財政破綻したデトロイトで開催されることは必然だったと言っても良いだろう。この街こそ、まさに「グッドライフ」をどう再定義するかについての事例となる場所だからだ。

    開会宣言をしたのは、地元の起業家であるパション・マレー氏だ。彼女はここデトロイトで食品廃棄物問題に取り組むため、堆肥製造会社デトロイトダートを創設した。

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    SB国際会議2017デトロイト ハイライト(2)

    ナディア・ゼクセンヴェイエヴァ氏

    改革を起こし続けるためにブランドがすべきこと

    投資家であり教育者、文筆家でもあるナディア・ゼクセンヴェイエヴァ氏は、企業の改革を請け負うコンサル企業WE EXISTで企業改革を担当している。彼女はまず、カザフスタンで過ごした思春期がいかに暗黒の日々だったかについて話した。

    彼女の祖父が子どもの頃、政府の計画的飢餓「ホロドモール」で同国の人口の40%が殺された。そして、連邦が崩壊する過程で、「貨幣なし、警察なし、法律なし」という国家が生まれた。国民は、そうした状況を変える必要性に直面した。混沌の中で、自殺した人も多くいた。

    私たち人間というのは、変化が必要な状況で、どんな約束をされても、先の見えない未来に巻き込まれるより、いくらひどくても慣れ親しんだ今にしがみつきたいと考える。ゼクセンヴェイエヴァ氏は、人間は先天的に変化を恐れると語った。そして、変化を拒むことが、生命全体に影響を与え、悪い影響を及ぼすことを証明した。

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    SB国際会議2017デトロイト ハイライト(3)

    消費者と「グッド・ライフ」――今、ブランドに求められること
    サステナブル・ブランド国際会議2017デトロイトのブレイクアウトセッションには、ブランド戦略を手掛けるBBMG社のラファエル・ベンポラッド氏が登壇した。同氏は、消費者の考え方が変化してきていると指摘。消費者は、自らの需要を満たしつつも、害を及ぼさず、社会や地球といった大きなものとのつながりを生み出してくれる企業に関心を持っているというのだ。

    この変化の背景には、米国の現政権が掲げる将来像に人々が疑問を抱いていることがある。人々は、政府の代わりに「グッド・ライフ」を定義し、さらに進化させてくれる企業を求めているのだ。

    しかし、中立の立場が存在しないこの二極化した時代に、企業はどのように消費者や将来の従業員に対してブランドの魅力を知って貰うことができるのだろうか。

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    SB国際会議2017デトロイト ハイライト(4)

    消費者・インフルエンサー視点でグッド・ライフを再定義

    「グッド・ライフを再定義する」。これはブランド広告のキャッチコピーでもなく、自己啓発本のタイトルでもない。これは、世界中で開催されるサステナブル・ブランド国際会議で3年間かけて話し合われ、取り組まれるテーマなのだ。

    では、一般的にどういう意味なのだろうか。どうすれば消費者は、このコンセプトに価値観を揺さぶられ、魅了されるのだろうか。

    サステナブル・ブランドと米世論調査機関ハリス・ポールは5月末、米国の消費者が「グッド・ライフ」にどのようなイメージを抱いているか調べた調査結果を公表した。「グッド・ライフ」について、そしてブランドが「グッド・ライフ」にどう貢献できるかについて調査した。

    調査は2つの手法を使って実施された。まずは定性的手法を取り、アメリカ人に「グッド・ライフ」を自分の言葉で定義して貰った。そして次に、定量的手法で、最初の方法で集めた言葉を重要だと思うもの順にランク付けして貰うよう1000人に調査をした。

    「グッド・ライフ」を再定義するために、二つの大きな課題を調査することから始めた。

    1)「グッド・ライフ」が消費者にとってどんな意味を持つかを再定義すること。そして、2)世界中のブランドがどのようにして3年間で「グッド・ライフ」を再定義し、リデザインし、実践していくのかを再定義した。

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    SB国際会議2017デトロイト ハイライト(5)

    ファッション業界とグッド・ライフ
    このセッションでは、「ファッション業界を再デザインする」をテーマに、どうサステナブルな取り組みを実践し、ファッション業界が抱える社会的課題をどうビジネスチャンスにしていくかが話し合われた。

    サプライチェーン上には多くのビジネスチャンスがある。ファッション業界は、生産から輸送、不動産から廃棄物の管理までさまざまな産業が関わり成立している。同業界は、2.5兆ドル規模で世界人口のうち約1.5億人が日々働いており、サプライチェーンで働く人の8割は女性だ。

    世界の二酸化炭素排出量の1割はファッション業界から出されており、世界の産業廃水排出量の2割も同業界が占めている。さらに、製品のライフサイクルの最終段階で、85%の繊維は廃棄され、その総量は年間210億トンに及ぶと言われる。

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    SB国際会議2017デトロイト ハイライト(6)

    SB国際会議2017の最終日、デトロイト市のサステナビリティ責任者のジョエル・ヒアーズ氏は「アメリカで最もサステナブルな市になれるよう取り組んで行くことにわくわくしている」と話した。
    2013年に財政破綻したデトロイトは、サステナビリティの取り組みを次々と進めている。この街では先月、50年ぶりに路面電車「QLine」が走り始め、自転車シェアリングサービス「MOGO」も誕生したばかりだ。市内には、世界最長のLED街灯を使った通りがある。

    今後さらに色々な取り組みが始まるだろう。デトロイト市は6カ月以内に、より詳細なサステナビリティ実施計画を立てていく計画だ。ヒアーズ氏は最後に、「出席者の方々にデトロイト市のパートナーになって欲しいとお伝えするつもりはない。それよりも、サステナビリティの名のもとに一致団結していきたい」と力を込めた。

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