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コミュニティ・ニュース

高校生の力で地域を、社会を変えていこう ――第4回SB Student Ambassador ③ 東北・中国ブロック大会

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SB Student Ambassador

サステナブル・ブランド ジャパン編集局

社会課題解決に向け、高校生が企業にアイデアを提案するSB Student Ambassador(SA)大会。サステナブル・ブランド ジャパンと日本旅行が毎年共催で開いているもので、全国各地で行われるブロック大会は、この日初めて出会う高校生らが、地域企業が抱える課題やビジョンを踏まえて独自のアイデアを考える学びと交流の場だ。参加者は大会後、各校で論文を作成し、選考に残れば、来年2月21・22日に行われる「SB国際会議2024東京・丸の内」に招待される。ここでは、10月7日に行われた東北大会と、28日に行われた中国大会の様子を紹介する。

■基調講演     高倉葉太・イノカCEO

好きなことを軸に、五感で感じたことを大事に

「高尚なことは要らない。好きなことへの熱量が世界を変える」。両大会の基調講演に登壇したイノカの高倉葉太CEOは高校生たちに力強く呼びかけた。IoT技術とAIを活用して海洋環境を人工的に再現する「環境移送技術」を開発し、サンゴの人工産卵も成功させている同社。水槽内でのサンゴ飼育技術を確立することで従来難しかったサンゴの生態系研究を加速させ、サンゴに影響を与えない日焼け止めの開発や、サンゴの成分からがん治療薬を生み出す試みなど、多くの企業と連携しながら海洋生態系の活用・保全に力を入れている。

だが、高倉氏は最初からサンゴや海を守りたいという気持ちが原動力だったわけではないと明かす。東京大学在学中は、「大きな会社を作りたい」という気持ちが先行し、実際に起業もしたが「本当に自分のやりたいことなのか、しっくり来なかった」。そこで自身の趣味だったアクアリウムをテーマに据え直し、自分の足でリサーチを続ける中で、研究者や水族館でも飼育が難しい海洋生物を自宅の水槽で育てているアクアリストと出会い、「アクアリストが持つ技術をもっと発展・活用できるはず」と確信した。そして生きたサンゴを飼育できる水槽をオフィスなどに設置する事業を展開する中で、研究領域としての可能性を発見し、そもそも「みんながもっと海に興味を持ち、好きにならない限り、海を守ることはできない」と気付き、教育事業もスタートしたという。

強調するのは、「僕は真面目でいい人だから海を守りたいんじゃない。好きなことを軸にして、進んでいくうちに社会の課題が見えてきたり、仲間が増えてくる」という、自分の足で活動してみることの重要性だ。「技術やスキルは手段であって目的ではない。五感で感じたことを大事にして」と訴え、高校生たちにエールを送った。

● 東北大会 = 10 月 7 日、東北工業大学で開催、 11 校 64人参加=

東北工業大学八木山キャンパス(仙台市太白区)に東北3県11校の高校生が集まった東北⼤会。同大学ではグリーン教育を全学部で必修にするなどサステナビリティの学びを重視しており、渡邉浩文学長が「本学のスローガンは『未来のエスキース(構想)を描く』。皆さんにも今日、それぞれのエスキースを考えていただければ」と激励し、開幕した。

基調講演を経て、午後は企業とのテーマ別ワークが行われた。イベントの企画運営を手掛ける大清プロダクション (福島市)、マイナビ宮城支社(宮城・仙台)、福島民報社(福島市)、藤崎(仙台市)の4社がテーマを提供。⾼校⽣たちは⾃分の関⼼に応じてテーマを選び、企業の現状と課題を学んだ上で、未来につながるアイデアを出し合った。

■イベントを通して実現できる地域のサステナビリティとは ―大清プロダクション―

多くの世代を巻き込み、文化の継承を

スポーツ、音楽、企業PR、展示会などの運営を幅広く手掛ける大清プロダクションでは、イベント運営を通してSDGs実現に取り組んでいる。資材のレンタルによる環境負荷の軽減や自然エネルギーの活用、働きやすい労働環境による地域雇用の創出がその例だが、そもそもイベントを実行する背景には「地域の歴史文化を詰め込んだイベントにはストーリーと価値があり、人を感動させることができる」という信念があるという。

神野吉二・仙台支社長は「(イベントは)ただお金をもらってやるのではない。主催者の方と話し合う中でSDGsに関する取り組みを提案させてもらっているし、参加者にも体験を通して気づきを得てもらい、SDGs社会の実現の一歩となれば」と期待を込めた。

高校生はグループワークの中で、イベント運営の中で実現できるサステナビリティについて話し合った。ごみ問題に着目したグループからは「祭りの会場を動き回るロボットごみ箱を導入することで、人件費の削減にもつながる」といったアイデアが出たほか、「タイムスリップ」をテーマにしたユニークなアイデアも。多くの世代をイベントに巻き込み、文化を継承していくために、自分とは異なる世代で流行した集合写真ポーズを体験できる「フォトラリー」ブースを作るというもので、高校生ならではの自由な発想力が発揮された。

■「地方に住み、働き、生きる」ということとは―マイナビ―

都市部に負けない地域固有の魅力を押し出そう

マイナビは、人材ビジネスと生活情報ビジネスを両軸として、都市圏だけでなく地方の維持・発展を目指している。小池正徳・宮城支社長は東北地域の現状について、高齢化率・生産年齢人口の減少率ともに全国の水準を上回る危機的な状況にあることを説明。他地域と比べて東京圏への転出が多いことも指摘され、同社の調査では「都会のほうが便利」「志望する企業がない」といった理由で地元就職やUターン就職が敬遠されていることが明かされた。

メディア事業の中で「地方に住み、働き、生きる」という選択肢を広げようと試みている同社だが、2022年卒・2023年卒ともに「働きたいと思う企業が多くできる」「給料がよい就職先が多くできる」が実現すれば地元就職を視野に入れるとしたアンケート結果もある。小池氏は「地元に住んでいる皆さん自身に、『ここで暮らしていくには、もっとこうなったらいいな』というところを考えてもらいたい」と議論を求めた。

高校生からは、「地方の短所ではなく、地元の人は当たり前すぎて気付いていない長所を伸ばすべき」など、地域固有の魅力を押し出すアイデアが複数集まった。伝統工芸を体験できるイベントを企画し、YouTubeやTikTokといったソーシャルメディアで発信すべきという意見があったほか、「地域のために何かしたい人が多いのが地方の特徴。そうした人たちをもっと巻き込むべき」として、キャラクターを活用したPRや都市部と往復しやすい交通手段の改善など、企業が主体となって地域活性化を進める重要性も指摘された。

■どうしたら若年層が新聞を読みたくなるか―福島民報社―

新聞をコンパクトにまとめては?生活にもっと接点も必要

創刊131年を迎えた地方紙・福島民報社は、サステナビリティへの意識を社内から高めていくべく立ち上がったという「ふくしまSDGsプロジェクト」を紹介。同社がハブとなり、福島県の産学官民の連携を土台に地域課題を解決する取り組みだ。SDGsに関する出張教育プログラムを県内の各種学校に提供しているほか、サステナブルな話題を重点的に取り扱うニュースメディアのリリースなどを手掛けてきた。2022年に実施した「ふくしまSDGs博」では専門家や著名人による講演やトークショー、地域企業・学校のブース出展、地元高校のダンスステージなどを盛り込み、内閣府「2022年度地方創生SDGs官民連携プラットフォーム一般部門」の優良事例に県内で初めて選出されたという。

一方で、大欠英樹・仙台支社長は「若年層の活字・新聞離れは全国の新聞社の共通課題」と指摘し、「どうしたら新聞を読みたくなるのか?また、SDGs実現に新聞社が貢献できることは何か?こういったアイデアを教えてほしい」と高校生たちに問いを投げた。

高校生からは「新聞はほとんど読まないし身近ではない」「新聞は大きくてかさばるのに文字が小さい」など、率直な反応が集まった。こうした課題に対しては、新聞をコンパクトサイズにまとめつつ、「ふくしまSDGsプロジェクト」のイベントカレンダーを大きく展開するという提案のほか、紙面には大きなQRコードのみを印刷し、記事内容はQRコードから遷移する動画でチェックできるようにするという斬新なアイデアも。さらに、生活の中で身近に新聞と接点を持つために、店で買った商品の包装紙や紙袋に新聞記事を印刷するといった別視点の意見も発表された。

■人が集まるプラットフォームとしての百貨店に―藤崎―

ネットショッピングとの差別化を図り、体験価値を提供する店舗を提案

一方、創業1819年の百貨店である藤崎からは、高橋由佳・人事部人事キャリア担当課長が登壇。「SDGsという言葉よりずっと前から、目の前の地域、人の未来を当たり前に考えてきた企業」と理念を説明した上で、近年は特にまちづくりに力を入れているといい、障がい者向けの買い物サポートや高齢者向けの移動販売、地域のストーリーを伝える独自の商品開発などを手掛けていることが紹介された。

今後は本館の建て替えも検討しているといい、高橋氏は「人が集まる場が大事であり、百貨店は目的じゃない。人が豊かになるプラットフォームとなることが使命。まちが持続していくためには好循環を生むことが大切。未来につなげるまちづくりのサイクルを一緒に考えたい」と呼びかけた。

高校生から多く集まったのは、フロアごとに個性豊かなテーマを定めるアイデアだ。あるグループは、基調講演とも絡め、アクアリウムを設置した海のフロア、内装にも植物を活用した園芸フロアなどを用意した上で、店員との交流や試食会など訪れた人が体験できる価値を提供し、ネットショッピングとの差別化を図ること提案した。また、人とのつながりを生むことに特化し、芝生広場を囲む形で各店舗や食堂・サウナ・ゲームセンターなどを配置するといった新本店の詳細なレイアウト図を披露したグループも。今後、本館建て替えに際しアイデアが実装される可能性も感じ取れるディスカッションとなった。

● 中国大会 = 10 月 28 日、広島大学で開催、 27校 176人参加 =

中国大会は広島大学東広島キャンパス(広島県東広島市)で開催され、3県27校から高校生が集まった。越智光夫・広島大学長、髙垣廣德・東広島市長による開会挨拶で幕を開けた大会では、イズミ(広島市)、エフピコ(福山市)、広島テレビ(広島市)、広島トヨペット(広島市)の4社がテーマ別ワークに登壇。参加した176人の高校生たちは、広島大学の学生メンターも交えてディスカッションに臨み、多くの新鮮なアイデアを披露した。

■地域に密着したスーパーならではのSDGs目標とは ―イズミ―

子ども用のマイバッグ開発、フェアトレード商品買うとポイントが付く

西日本を中心に100店舗以上を展開するスーパー、イズミからは松永純一・マーケティング本部顧客サービス部SDGs推進課長が登壇した。同社では「youme MIRAI Action」として、脱炭素、資源循環、自然共生についてそれぞれ2030年、2050年までの目標を明記している。

例えば、スーパーならではの課題である食品ロスについては、2030年に50%削減(2018年度比)、2050年には80%削減(同)を目指す。これに向け、恵方巻など季節商品の予約販売や、適正な発注に向けたAI活用、地域と協働したフードドライブ事業も展開しているという。松永氏は「地域、お客さま、テナント、社員それぞれに向けてSDGsを達成しようとしている。皆さんだったらどんなことに取り組むか、考えてほしい」と呼びかけた。

ディスカッションでは「地産地消」を提案したグループが多かったが、その着目点はグループごとにさまざまで、▷生産者との距離の近さを生かし、廃棄されやすい訳あり商品をスピーディーに扱うことで食品ロスを削減する▷地元に密着したお店作りを通し、交流を生む▷長距離トラック輸送を減らしCO2を削減する――など、個性が表れる発表となった。他にも、幼児期からマイバッグに親しむため、子供用のマイバッグを開発し、「フェアトレード商品を買うとポイントが付く」などゲーム感覚でお得にSDGsを体感できる仕組みも提案された。

■プラスチックを使いながらも環境負荷を下げるには ―エフピコ―

「教育の中でもっとトレーのリサイクルを学ぶべき」の声も

一方、イズミをはじめとするスーパー等で使用されるプラスチックの食品トレーの製造販売を手掛けるエフピコでは、全国19カ所の生産工場、3か所のリサイクル工場、10カ所の配送センターなど業界最大手としてのネットワークを生かし、日本国内約2万3000店のスーパーのうち、1万店以上でのトレー回収を自社で担っているという。製造・物流・販売・リサイクル・製品開発・製造と、バリューチェーンの中にリサイクルを明確に位置付けており、小売店への製品配送と使用済みトレーの回収を同時に行う運送システムも確立している点が特徴だ。

同社の冨樫英治・サステナビリティ推進室ジェネラルマネージャーは「海洋プラスチック問題が深刻化しているが、衛生管理上プラスチックが必要になることもある。廃棄物処理を適正に行うために、循環型リサイクルをさらに進めたい」として、店頭でのトレー回収をより普及させるためのアイデアを求めた。

回収ボックス自体の魅力をもっと高めようとした高校生からは、ボックスに人気投票機能を盛り込むというアイデアが飛び出した。「〇〇派」「〇〇派」と書かれたボックスの中から、自分の意見に合うボックスにトレーを入れ、投票を楽しみながら活用を促すものだ。

他には、「使うメリットを生み出す必要がある」と課題設定したグループでは回収ボックスを使うごとにポイントがたまる専用アプリの開発案が、「教育の中でもっとトレーのリサイクルを学ぶべき」としたグループからは学校内の回収ボックスの設置案が、それぞれ披露されていた。

■報道活動こそが放送局のSDGsだ ―広島テレビ―

日常生活の中で進行する社会課題描いたドラマを

日本テレビ系の地方局である広島テレビでサステナビリティ部門を担当する松島慶太・コンプライアンス推進室 室長は冒頭、「放送局は二酸化炭素を削減する企業ではない。自分たちには(SDGsに向けて)何もできないのではないか?という議論もあった。だが、池上彰さんの言葉で考えが変わった」と明かした。池上氏は広島テレビの取材に「SDGsは結局、孫の代まで平和に暮らすにはどうすればいいかを考えることだ」と語ったといい、松島氏は「私たちにできるのは報道活動。数万人単位を感動させたり行動を起こさせたりする、それが放送局のSDGsだ」と断言する。

具体的には、環境・災害・人権など課題を問題提起すること、SDGsに取り組む人・企業・学校を取材し紹介すること、そして広島の放送局だからこそ原爆の惨禍を伝え、核兵器廃絶を発信する平和報道、の3軸を挙げる。ほかにも、子育て支援のイベント企画、県内23全自治体との防災パートナーシップを結んだ上での防災PR、ジェンダー平等のキャンペーン報道なども打ち出してきた。この上で松島氏は、「SDGs達成に向けて何をするかは、自分で探さないといけない。将来の自分を考え、悩むこともSDGsだ」と、進路選択を控える高校生たちに激励を送った。

迎えたグループワークでは、「SDGsを紹介するテレビ番組を考えてみよう」がテーマとなった。あるグループからは「あなたの未来 それでいいの?」と題したドラマ仕立ての番組案が出た。登場人物たちが日常生活を送る中で進行していく社会課題を取り上げる番組で、コメディをメインとしつつも、広島県内のベンチャー企業も登場させて課題解決への取り組みを紹介するというものだ。また、「みんなでつくるSDGs会議」といった番組も提案された。こちらは小学生~高校生がSDGsについて討論するもので、若年層がSDGsを身近に考えるきっかけにしようという狙いも明かされた。

■環境に配慮しながら地域の移動難民を支える ―広島トヨペット―

根本にある過疎高齢化に歯止めを 多様な視点を共有

県内で年間8000台の新車を販売している広島トヨペットからは古谷英明・代表取締役社長が登壇した。古谷氏によれば、県人口274万人超(2023年8月)に対し、自動車は184万台以上が保有され、世帯あたり平均1台以上が普及していることが特徴だといい、「クルマは生活を豊かにしてくれる必需品である一方で、人類の大きな脅威でもある」と強調。環境負荷や交通事故がその言葉の背景だが、自動車販売店の立場からは、人口減少や高齢化といった社会課題が売り上げと存続に直結するという危機感も示された。

これらの現状に対し、「ひと・まち・なかま」に対して行動指針を示したのが「Hiroshima Plus」であり、具体的な取り組みとして高齢者からファミリー層に実施する運転講習や、観光地における新型スクーター導入といったモビリティ改革、災害時を想定した自動車からの給電機能の啓発デモンストレーションなどが挙げられた。古谷氏は今後さらに高齢化・過疎化が進行することにも触れ、「移動難民を減らしつつ環境問題も解決できる方策を一緒に考えたい」と呼びかけた。

こうしたテーマに対し、電気自動車の活用が各グループの発表の軸となった。あるグループからは、クラウドファンディングや補助金の活用により電気自動車を地域タクシー会社に寄付し、高齢者の自宅まで訪問する月額定額のサブスクリプションサービスを提供するというシステムが提案された。また、移動難民向けのバスや移動販売車をEV化して整備する案や、自動車販売店での外国人雇用をさらに推進し、根本にある過疎高齢化に歯止めをかけようというアイデアも披露され、多様な視点が共有されるワークとなった。

本年度行われた「サステナブル・ブランド国際会議 学生招待プログラム 第4回 SB Student Ambassador ブロック大会」の詳細は こちら

高校生の力で地域を、社会を変えていこう ――第4回SB Student Ambassador
①四国・北海道ブロック大会https://www.sustainablebrands.jp/community/column/detail/1218301_2557.html
②西日本・東日本ブロック大会
https://www.sustainablebrands.jp/community/column/detail/1218800_2557.html
④北陸・東海ブロック大会
https://www.sustainablebrands.jp/community/column/detail/1219051_2557.html
⑤ 九州ブロック大会
https://www.sustainablebrands.jp/community/column/detail/1219150_2557.html

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