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高校生の力で地域を、社会を変えていこう ――第4回SB Student Ambassador ① 四国・北海道ブロック大会

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SB Student Ambassador

サステナブル・ブランド ジャパン編集局

サステナブル・ブランド ジャパンは、今年で4回目となるSB Student Ambassador(SA)ブロック大会を9月から11月にかけて全国9地域で開催した。毎年2月に行われる「サステナブル・ブランド国際会議」に全国の高校生を招待する日本旅行との共催プログラムの一環で、会議への参加を目指す高校生らの事前学習の場となるものだ。今年は全国166校から1019人が参加し、さまざまな社会課題の解決に向けて、学校や学年を超えて交流し、新しいアイデアを生み出そうとチャレンジする姿が見られた。ブロック大会での学びをもとに各校は来年2月21・22日の「SB国際会議2024東京・丸の内」への出場権を懸けて論文作成に挑む。

ここでは各ブロック大会の様子を5回に分けて紹介する。まずは四国・北海道の2大会編から。

■基調講演   西側愛弓・coxco 代表取締役、NPO法人 DEAR ME 代表理事

『好き』が社会を変える まっすぐに取り組み、挑戦を

SA大会のオープニングは、高校生と同じ世代のオピニオンリーダーの基調講演から始まるのが恒例だ。今年の四国・北海道大会では、「『好き』が社会を変える」というタイトルを掲げ、アパレルブランドのcoxco(ココ) 代表取締役で、ファッションを通して貧困問題の解決に取り組むNPO法人 DEAR ME(ディアミー)の代表理事も務める西側愛弓氏が語りかけた。

「大学生の時、私はアルバイトでお金を貯め、世界各地を一人旅しましたが、その中で貧困を直視することになりました。例えばニューヨークやパリの中心部に足を踏み入れると、ブランド品を身にまとい、華やかに歩く人々がいます。しかし、一歩裏通りに足を踏み入れると、ぼろぼろの衣服を身に着けた子や、衣服をまとっていない子たちに出会う。それは私にとって大きな衝撃でした」

自身の活動の原点を、そう振り返る西側氏。その後、ファッション産業が貧困問題や環境破壊の大きな要因になっていることを知り、18歳の大学3年生だった2015年、フィリピンの貧困地域に住む子どもたちをモデルにしたファッションショーを開催する。しかし、そこで気づいたのは、「ファッションショーが子どもたちの生活を実際に変えることはない」という現実だったという。

そこで、西側氏は、「彼らがただ夢を描くだけでなく、夢に向かって努力できるようにする」ための方策を模索。その一つの形が、今年2月、マニラで開校した、服飾技術やビジネスマナーを学ぶための学校「coxco Lab」だ。

ファッションを通じた社会課題の解決に果敢に挑む西側氏だが、高校時代は「将来やりたいことが明確にあったわけではなかった」という。その上で、「自分の大好きなファッションを追求していった結果、自分が変わり、出会う人が変わり、それによって人生が変わった」と強調し、会場の高校生に、自信を持って好きなことを貫く大切さを伝えた。

「社会を変えるために『特別な誰か』になる必要はありません。好きなことにまっすぐに取り組むこと、失敗を恐れずに挑戦する勇気こそが重要です」

四国大会 9 24 日、松山大学で開催、 13 100 人参加=

各ブロック大会にはSDGsの各目標の達成を意識して事業に取り組む地元企業などがパネリストとして登壇する。四国大会では、事務機器の販売やソフトウェア開発などを手掛けるオフィスパートナー(高知市)、道後プリンスホテル(松山市)、YKKAPの3社が、それぞれ「(学生と企業の)マッチング事業から生まれる『持続可能な地域社会の実現』」「道後から全国へ サステナブルな湯宿の挑戦」「住まいと環境(窓から考えるサステナビリティ)」と題して講演し、高校生はそれぞれ自分の関心があるテーマを一つ選んで受講した。各教室では、高校生がアイデアをまとめやすいよう、松山大学の学生がメンターとして参加した。

■卒業後も地元で活躍する若者を増やすには ―オフィスパートナー―

学生と企業がもっとつながり、お互いを知ろう

オフィスパートナーは、学生の約7割が県外出身者という高知大学の学生に高知の企業の魅力をもっと知ってもらおうと、大学のすぐそばに、学生と地元企業の接点となるカフェを開設。その場所で年間を通して学生と企業の交流会や勉強会を開き、学生がスポンサー企業を取材して情報発信するといった事業も行っている。

そうした活動に込めた思いを、同社代表取締役の田村勝介氏は、「大学生に高知には魅力的な企業がたくさんあることを知ってもらい、地域で活躍する若者を増やして、愛する地域の発展に寄与したい」と強調した。

この話を受け、高校生はチームに分かれて「学生が地方に残って働き続けるための施策」をテーマにディスカッション。あるグループは、「学生が地元の中小企業の情報を十分に知らない」という課題を指摘し、その解決策として、学校で企業や職業に関する授業を取り入れたり、高校生に職場体験の機会をもっと設けることを提案。別のグループも「中小企業の側がもっと積極的に学生にアプローチをすることが大切。そうすることで企業は学生の生の声を知り、企業の魅力を学生に伝えることで人材確保にもつながる」と話し、学校と企業が今以上につながり、学生と企業がお互いを知ることが、ひいては地域の発展につながっていくということをそれぞれに感じ取っていた。

■2泊では物足りない、魅力ある観光地に―道後プリンスホテル―

若者や外国人旅行者に響く愛媛ならではの旅を提案

地元愛媛を代表する観光地からは、道後プリンスホテルの執行役員本部長、織田祐吾氏が登壇。同ホテルが、サステナブルツーリズムを見据え、愛媛県での宿泊滞在日数を2泊以上に伸ばすことを目指し、そのためにバックキャスティングの手法をとっていることを学生たちに紹介した。バックキャスティングとは、現状や過去の実績から未来を予測するのではなく、「理想の姿」を先に描いてから現在に至る道筋を逆算する思考法である。同ホテルではこの思考法に基づき、観光客に1泊や2泊では足りないほどの魅力を愛媛に見出してもらおうと、道後温泉としまなみ海道を連結し、周遊滞在型の誘客を目指すとともに、宿泊者が食材の生産者を訪ねるツアーを企画しているところだ。

このツアーをさらに磨きをかけるべく、高校生たちは、若者や外国人旅行者を主要なターゲットとし、彼らに響く旅のコンテンツを考えるワークショップを進行。例として、廃棄予定のみかんを、松山空港などにあるみかんジュースの蛇口に利用したり、みかんを柚子湯風に温泉に浮かべるなど、地元ならではの発信方法を提案した。これに四季折々の農作物の収穫体験や砥部焼の体験、鯛めしの食べ比べなども組み入れることで、南予地方にも足を延ばし、1年を通じて2泊3日以上の滞在が期待できるという算段だ。

このアイデアを織田氏は、「非常に難しいテーマを自由な発想でまとめていただいた」と評価した上で、フィードバックとして、観光地は、多く挙げれば挙げるほどその価値が薄れてしまう可能性があることからも、道後温泉としまなみ海道に絞り込み、深掘りすることの重要性を指摘。高校生にとっては実践的な知見が得られる場となった。

■窓を起点に考える「住まいのサステナビリティ」とは―YKK AP―

例えばトイレに「天窓」を。生活の困り事から発想

一方、住まいを通したサステナビリティに取り組むYKK APからは、サステナビリティ推進部部長の三浦俊介氏が登壇し、二酸化炭素排出量の削減に対して、「窓」を起点に家庭でできる対策を提案した。2030年までに国が定めた46%の削減目標に対して、家庭部門ではさらに高い66%の削減が求められており、それを実現するための鍵になるのが窓だという。

窓はエネルギーの節約に重要な役割を果たす。三浦氏は、この窓の活用が、日本は世界の中でも遅れていると指摘。例えば、日本で主流のアルミ窓は断熱性の効果が薄く、夏季には窓から74%の熱が入り、冬季には50%の熱が外に逃げていると説明した。さらに日本では窓が高断熱でないことによって、浴室でのヒートショックによる死傷者や、結露によるカビやダニの発生によって生じるアレルギー疾患が多いなど、人間の健康面でも窓は大きな社会課題を抱えている。

三浦氏の問題提起を受け、高校生は「未来の家づくりがどのように進化すれば環境を守れるのか、私たち一人ひとりがどのように貢献できるのか」をテーマに討論を行った。その中で、あるグループは「トイレ」に焦点を当て、天窓を取り入れることで太陽光を利用し電気代を減らしたり、高性能な換気扇を利用して風通しを改善する方法を提案し、「一人ひとりにできることはたくさんある」と呼びかけた。これに対し、三浦氏は、「住まいのあるべき姿について考える難しい課題だったが、自分自身の困り事を社会課題と結びつけて分析し、解決策を導き出すという本質的な捉え方をしてくれた。そのこと自体に価値がある」と評価した。

●北海道大会 =10月1日、札幌大学で開催、22校 110人参加=

北海道大会は10月1日、札幌大学で開かれ、22校から110人の高校生が参加した。企業からはオーディオ機器のオンキヨーと、イベント運営のセレスポの2社が登壇。また北海道庁から北海道経済部ゼロカーボン推進監の今井太志氏が「ゼロカーボンの取り組み」と題して講演した。

カーボンニュートラルを地域活性化につなげていこう

今井氏は世界が2050年カーボンニュートラルを目指している動きを高校生に改めて説明し、「環境問題としての切り口だけでなく、地域活性化につなげていくことが重要だ」と強調。北海道では現在、電力の70%が石炭火力だが、「これから、2030年、2040年に向けては、風力がエネルギーの主力になっていく」と展望を語り、家畜の糞尿バイオマスなど地域の資源を合わせて活用することで、「地域が潤い、地域に活躍の場が広がっていく」と続けた。

さらに今井氏は、これからの社会は循環型になっていくことについて、生ごみや使用済みの紙おむつ、家庭の廃油や服といった身近なごみ問題を例に話し、「ごみではなく、資源として再利用していく世界へとどんどん進んでいかねばならない。生活に密接に関わるところに変わらなきゃいけない要素がある。それが世界の環境を救い、私たちの暮らしを豊かにすることにもつながる」と高校生に訴えた。

■音で世界を変える―オンキヨー―

音と声の連携で交通事故の防止を 「高校生だからこそできる」

オンキヨーはこれまで、オーディオ文化が発展する中で家庭内へのスピーカー設置をメイン事業とし、オーディオ機器の開発事業を拡大してきた。しかし、スマートフォンやパソコンの普及によりライフスタイルが変化し、売り上げが低迷した結果、事業を停止せざるを得ない状況に陥った。その後、新会社として音楽に限らず、収録・解析といった、これまでに培ってきた技術を活用し、新しい商品やサービスの開発に取り組んでいる。

その一例として、同社の経営企画部経営企画課課⾧の近藤裕介氏は、音楽を酵母に聞かせて発酵を促進させ、味を変えるなどのビジネスモデルが生まれていることを紹介。ただし、自社内のアイディアだけでは実装が難しいため、「課題を聞き取る仕組みや、課題を解決するために技術を連携させていくための仕組みを、自治体や他の企業、大学などと一緒にやってつくりあげていくことが大切だ」と強調する。
オンキヨーの持つ音響の技術とテクノロジーを活用し、「交通事故を減らしたい」という社会課題の解決に挑むのが、振動を感知するセンサーによって交通量を可視化することで道路改善に貢献するというアイデアだ。この話を受け、学生たちも交通事故を防ぐためにできることをグループに分かれてディスカッションした。テーマは「音で世界を変える」。大事なのはアイデアを出す前に、社会課題を発見し、解像度を高めて分析することだ。

代表チームは、交通事故の原因となる人的要因のうち、スマホをめぐる不注意に着目し、ラインなどのメッセージやカーナビを音声で読み上げる機能を車に搭載することを提案。「音と声を連携させることで事故が防げるんじゃないか。まだ運転もしていない高校生だからこそ、こういうアイデアを考えて企業に呼びかけたり、企業と企業の結びつきをつくったり、影響力を与えることができるのではないかと思っている」と力強く発表した。

■イベントは社会課題を解決する力になる―セレスポ―

余った食品を途上国に寄付も――学園祭でSDGsを考える

セレスポでイベントのサステナビリティを推進するチームのリーダーを務める犬塚圭介 氏は、さまざまな種類のイベントについて、「必ず目的があり、さまざまな人が参画し、自己表現ができる。終わりが来るからこそ、新しいことにチャレンジできる」と話す。だからこそ、SDGsやさまざまな社会課題に対して「イベントはそれらを解決する力になり得る」というのだ。

その上で、犬塚氏は、スポーツツーリズムやパラリンピックを盛り上げるための仕掛けや、家庭にある賞味期限が近い食品を持ち寄り、イベントでの廃棄物を減らすことを目指したフードドライブの活動などを紹介。さいたまスーパーアリーナでの直近のイベントでは、生花の代わりに造花を使用したり、木工パネルの代わりに布を使ったりなど、コスト削減やリサイクルの効率化にもつながる工夫を施したことを披露した。

犬塚氏の話を受け、学生たちは「SDGsを意識した学園祭を考える」というテーマのもとにディスカッションを進行。その結果、学園祭での出店で余った食品を途上国に寄付することや、ステージ発表での異文化交流の企画、プラスチックの使用を避け、紙だけでつくったうちわを使用するなど、さまざまな観点からのアイデアが挙げられ、代表チームは、「SDGsの1番の目標である『貧困をなくす』をいちばんに意識した。参加するすべての人が楽しんで交流できる学園祭にしたい」と笑顔で発表した。

高校生たちの発表を受け、大会にメンターとして参加したNestのメンバーで慶應大学4年生の吉田悠馬氏は、「飛躍したアイデアではなく、自分たちが明日からできる範囲でできることを考えていた点が良かった」とコメント。基調講演を行なった西側氏も、最後に、「今回みなさんが考えたアイデアはどれもフレッシュで素晴らしいものであり、あとは実行するか否かのみです。社会課題に対する企画や思考は学んだと思うので、次は明日からでも自分にできることを探し、それを実行に移す挑戦をしてほしい」と述べ、1日かけて行われた大会を締めくくった。

本年度行われた「サステナブル・ブランド国際会議 学生招待プログラム 第4回 SB Student Ambassador ブロック大会」の詳細はこちら

高校生の力で地域を、社会を変えていこう ――第4回SB Student Ambassador
②西日本・東日本ブロック大会
https://www.sustainablebrands.jp/community/column/detail/1218800_2557.html
③東北・中国ブロック大会
https://www.sustainablebrands.jp/community/column/detail/1219050_2557.html
④北陸・東海ブロック大会
https://www.sustainablebrands.jp/community/column/detail/1219051_2557.html
⑤ 九州ブロック大会
https://www.sustainablebrands.jp/community/column/detail/1219150_2557.html


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