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誰もが一緒に働ける社会の実現のために。ペーパーラボを活用した「Osaka Metro」のD&I事例

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左から天谷氏、榎本氏、井口氏、中島氏、坂野氏、澤田氏

大阪市交通局の民営化により2018年に発足した大阪市高速電気軌道(以下、Osaka Metro)は、中期経営計画に掲げる「都市型MaaS構想(e METRO)」の推進を通じ、鉄道運行に限らない幅広い分野でのSDGs貢献を目指している。そのうち、事業所のペーパーレスとD&I(ダイバーシティー・アンド・インクルージョン)の推進、従業員の働きがい向上に寄与すると同社が期待しているのが、エプソンの乾式オフィス製紙機「PaperLab(以下、ペーパーラボ)」だ。その運用を委託されているのが、特例子会社の大阪メトロビジネスアソシエイト(以下OMBA)である。

Interviewee 
大阪市高速電気軌道 (Osaka Metro )
井口寛重(いぐち・ひろしげ) 総務課長
榎本和央(えのもと・かずひろ) 総務課係員
天谷英二(あまたに・えいじ) 総務課係員
Osaka Metro ビジネスアソシエイト
澤田昌久(さわだ・あきひさ) 取締役管理本部長 
坂野隆(さかの・たかし) 業務部業務課長
中島怜央(なかじま・れお) 業務部業務課係員

障がいがある社員の集合配置から特例子会社へ移行

──まずはペーパーラボ導入の経緯を教えてください。

自社のペーパレスの課題について語る井口氏

井口:実際にペーパーラボを導入したのは2021年の2月です。鉄道会社は、設計図など紙を使う仕事が多いので、ペーパレスが課題となっていました。

榎本氏はペーパーラボを一目見るなり「面白い製品」と直感

榎本:初めてペーパーラボを知ったのは、2019年7月ごろです。私の上司がとあるセミナーに参加したところ、プログラムの一つとしてペーパーラボが紹介されていました。私は上司が持ち帰ったパンフレットを一目見るなり「面白い製品だ」と直感しました。当時、私は総務課でCSRに関する仕事をしており、CO2削減をはじめ環境にやさしい取組みや、障がい者の社会参画につながる取組みなど、さまざまな取組みを探していたところ、一石二鳥、二つの社会課題を同時に解決できる製品と考えたからです。

澤田:民営化した当初、企業に求められる障がい者雇用率に大幅な不足が出ていました。榎本がペーパーラボを知った頃、私は本社で人事企画課長の職についていたのですが、ハローワークなどと相談しながら、障がい者の雇用を増やそうと努力していたのです。そんな時、当時の総務課長から、「社内で出た使用済コピー用紙を再生する機械があり、その運用を障がい者が行っている会社がある」と聞き、これはまさにうってつけだと、私からも導入を積極的にお願いしました。

──ペーパーラボはOsaka Metroが導入し、その運営を特例子会社であるOMBAが任されています。特例子会社の設立の経緯について教えて下さい。

Osaka Metro本社に掲示されている“古紙回収ルール”を手に説明する澤田氏

澤田:当初は本社の契約社員として少しずつ障がい者雇用を始め、所属配置した部署でそれぞれ仕事をしてもらっていました。その後、Osaka Metroの再雇用社員を指導管理者として配置のうえ、「サポートセンター」という形で集合配置し、Osaka Metroのオフィスサポート業務を一手に引き受けてもらうことにしました。それが2020年度のことです。そのセンターを移行する形で、2022年10月にOMBAを設立しました。

──現在はどのような業務を行っているのでしょうか。

坂野氏は、交通局時代に広報業務などを担当

坂野:大きく分けて4ジャンルあります。1つ目が「オフィスサービス」で、オフィスでの印刷、データ入力、物品の仕分け発送などです。2つ目が「クリーンサービス」。本社の会議室や駅の券売機などの清掃・消毒を行います。3つ目が「審査業務」です。これは、払戻し乗車券やICカードの仕分けなどです。そして4つ目がペーパーラボによる「製紙業務」です。社内の古紙を回収して、再生紙を作ります。

スタッフの仕事ぶりについて語る中島氏

中島:障がいがあるスタッフは、精神障がい者や知的障がい者28人です。実務に当たっては5人ほどのチームに分かれ、さまざまな作業を持ち回りで行っています。人によっては苦手な仕事もありますが、お互い助け合いながら、どのチームが担当しても、依頼された仕事をこなせる体制を整えています。

どうせ再生するなら普通の紙と遜色ないものを作ろう

──4つの業務ジャンルのうち、「製紙業務」について詳しく教えて下さい。

中島:まずはOsaka Metro本社ビルで古紙を回収します。回収は毎週月・水・金曜日に行います。14人くらいでチームを作り、本社ビルの2階から13階までの各フロアに設置している「専用回収ボックス」を、2人1組で回収します。

澤田:回収ボックスは「古紙用」と「シュレッダー用」に分かれており、ペーパーラボに使用する紙は「古紙用」に入れてもらっています。入れてよいのはA4とA3の使用済みコピー用紙のみ。それ以外の紙くずや新聞紙などは、大阪市の取り決めなどに従って個別に処分してもらいます。ただし、使用済みコピー用紙のうち、機密文書などは「シュレッダー用」の箱に入れてもらっています。ペーパーラボの原料として使えば、一度細かい繊維に分解されるので、シュレッダーにかけるのと同じ効果が得られるのですが、回収してから再生するまでに1カ月ほどストックするので、その間に万一でも紛失しないよう、分けて回収しています。なお、ストックしておくのは、古紙の回収量に関係なく、定期業務として毎日一定の作業が行えるようにするためです。

左にあるのが回収ボックス。スタッフが考案したオリジナルキャラクター“ラボちゃん”が描かれている

中島:回収したら、ストックしてある古紙を、回収時期の古いものから再生していきます。1日の稼働時間は平均5.5時間です。ただし、そのまま機械に挿入すると詰まりやすくなり、そうなると機械が止まり、復旧に時間がかかりますので、ホッチキスやパンチ穴の部分をハサミで切り取るといった地道な下準備が必要となります。

坂野:カラーで印刷した紙を大量に原料として使うと、できあがったラボ紙──私たちはペーパーラボで再生した紙をこう呼んでいます──が黒ずんでしまうことがあります。そうならないよう、比較的印刷部分が少ない白っぽい紙と混ぜ合わせて使うようにしています。その配分は、オペレータースタッフの勘で、まさに職人技です。

慣れた手付きで作業するスタッフ。写真左側に写っているのがペーパーラボ

澤田:再生したラボ紙は、再びコピー用紙として使ってもらうのですが、品質が悪ければ使いたいとは思わないでしょう。ですので、なるべく普通のコピー用紙と遜色の無い物を納品したいと考えています。

坂野:作業は大変ですが、「同じやるならそこまでやろう」とはっぱをかけながら、皆で力を合わせて頑張っています。

本社のペーパーラボ担当として業務を支えている天谷氏

天谷:Osaka Metroの総務課としては、ペーパーラボの実質的な導入元であり、設置場所として本社地下2階の一角をお貸ししている立場です。本体の管理者として、備品の補充や、故障した場合の修理依頼などのサポートを行っています。

──本社と特例子会社が連携して運用しているのですね。ところで、ペーパーラボの操作を知的障がいのある方に十分理解してもらうのは大変ではなかったですか。

坂野:ペーパーラボを操作するスタッフは2~3人で、毎日交代制としています。障がいがあっても確実な仕事ができるよう操作方法は全て写真付きでマニュアル化しています。最初は先輩社員が指導するのですが、あとは自分たちで教え合ったりして、スキルの向上に努めてくれています。

澤田:Osaka Metroには交通局時代から“おっしょはん(お師匠さん)”という伝統があります。仕事は先輩が新人に教えて指導期間が終わっても面倒を見るという文化です。ミスをすると「おっしょはん誰や?教え方が悪いんちゃうか」と言われたりします。その伝統をOMBAでも踏襲しています。

坂野:つまり、自分が教えられたようにわかりやすく伝えようということ。それが徹底されていますので、皆さん飲み込みが早いですよ。

「一緒に働く」が障がい者雇用のコンセプト

“ラボ紙”で作った卓上カレンダー。確かにリング部分も紙だ

──コピー用紙以外の活用方法やアップサイクル品について教えて下さい。

中島:身近な物としては、電話対応メモや、卓上カレンダー、名刺などです。それらを各フロアにお配りして、「ご自由にお使い下さい」とご案内しています。

坂野:アップサイクル品の完成度にもこだわっています。例えばカレンダーは、月の暦の紙をつなぐリングの部分も100%ラボ紙です。

井口:運転士用のダイヤ表(列車発着時刻表)も作ってもらっています。このダイヤ表は、ダイヤ改正があるたびに作り直す必要があり、以前は社員が作っていました。今はきれいにラミネート加工までして提供してくれるので、非常に助かっています。

榎本:ペーパーラボを導入した当初は、ここまでのアップサイクル品ができるとは思っていなかったので、正直驚いています。

アップサイクル品の数々。手に持っているのがダイヤ表の表紙

澤田:Osaka Metro本社や現場事業所社員が行っている作業系業務を、これからも私たちにどんどん任せてもらい、Osaka Metro社員が、本来やるべきお客様への対応や企画立案などの業務に注力していただける環境づくりを行っていきたいと考えています。

──今後、ペーパーラボを使って取り組みたいことはありますか。

坂野:もっとたくさんの種類のアップサイクル品を作って、お客様に直接お渡しできたらいいですね。例えば、お子様用に「電車カード」などを作って、日常の業務の中で駅係員や運転士がお渡ししたら、きっと喜んでくれると思います。また、カレンダーも今は試験的に社内でのみ使っていますが、ノベルティ品として取引先にもお渡しできるようになれば嬉しいです。

中島:個人的に心配しているのが、このままペーパーラボで古紙の再生を進めていくと、やがて材料になる古紙が社内から無くなってしまうのではないかということです。ペーパーラボで再生した紙をさらに再生することは可能ですが、品質が落ちてしまうので、当社では1回限りとしています。そこで、社外からも紙を回収できれば、そうした心配が無くなり、障がいがある社員の仕事を持続的に確保できるのではないかと考えています。

井口:OMBAさんのそうした対外的な活動は、Osaka Metroグループ全体のSDGsの取り組みを知っていただける良い機会でもありますので、私どもも積極的にサポートしていきたいと考えています。

ペーパーラボの前で記念撮影。今後も連携して取り組むことを誓った

澤田:Osaka Metroグループとしては、障がい者雇用のコンセプトを「一緒に働く」としています。本社から遠く離れた場所ではなく、なるべく同じ場所で一緒に働くことが、真のD&I実現につながると考えているからです。そうした意味でも、ペーパーラボは大きな役割を担ってくれています。この運用ノウハウを生かして、今後はグループとして事業の多角化を進める中でさまざまな分野で障がい者が働ける場所を開拓していきたいと思っています。

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エプソン販売ではエプソングループの長期ビジョン「Epson 25 Renewed」にもとづき、環境負荷の低減に注力し、お客様の課題解決に繋がるソリューションの提案をしています。そして、事業を通じてお客様やパートナーの皆さまと共に「持続可能でこころ豊かな社会の実現」を目指しています。

すべては「お客様の笑顔」のために。

製品というモノに、お客様の願いや、想いを含むコトを添えて提案する。私たちは、そんな姿勢を大切にし、永続性のある価値を創出する企業でありたいと考えています。

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