講談社『FRaU』、女性誌初のSDGs特集号を発売
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講談社は20日、国内の女性誌として初めてSDGsを全ページにわたり特集した雑誌『FRaU(フラウ)』を発売した。表紙には女優の綾瀬はるかさんを起用し、印刷にはFSC森林認証紙を使用。世界各国の取り組みやビジネスを取り上げ、SDGsが掲げる社会課題の解決につながるライフスタイルを提案する内容となっている。今後はツアーやワークショップの開催も計画しており、SDGsの認知率を上げ行動を促すことで社会を変えるきっかけをつくりたい考えだ。(サステナブル・ブランド ジャパン=橘 亜咲)
「世界を変える、はじめかた」と題したSDGs特集号では、生活者・ライフスタイルの視点で「SDGs」「サステナビリティ」をめぐる世界の動向と国内の取り組みを紹介している。綾瀬はるかさんは環境に配慮したサステナブルなブランドとして知られるステラ マッカートニーの服を着て、「子どもの貧困」や「つかう責任」について語っている。
国内女性誌では初めて全ページを使ってのSDGs特集。同誌プロデューサーの関龍彦さんは、「女性誌を三十数年創ってきた中で、もっとも不安で、懸念点だらけだった」と振り返る。
しかし、「男性向けの経済誌が一冊丸ごとSDGs特集を組んでもソーシャルインパクトには繋がらない。自分ごと化し、地球ごと化するという両方に感度が高いのは男性よりも女性。『FRaU』という女性のライフスタイルをけん引してきた女性誌がやることで、『皆が関わるべきことなんだ』という気づきが生まれればと思った。押し付けるのではなく、『ライフスタイルにSDGsを組み込んだ方が気持ちいい』という読後感を持ってもらえるように創ることを心がけた」と語る。
電通が今年4月に行った調査によると、日本のSDGs認知率は14.8%。諸外国と比べても低く、とりわけ女性の認知率は全世代で男性よりも低かった。20代では、男性の32%が「SDGsを知っている」と回答しているのに対し、女性は9%だった。読者層の女性の認知率が上がることで、社会は大きく変わる。
誌面では、各国のサステナブルな商品や取り組みのほかに、SDGsの国別達成度で世界第1位になっているスウェーデンの都市マルメを事例にアーバン・ファーミング(都市農業)やフード・ロス、サーキュラーエコノミー(循環経済)、パッケージ・フリーといったキーワードを紹介。国内では、北海道・下川町の森林資源を生かした地域活性化の事例や広島・宮城などの企業事例も取り上げている。
SDGsは2015年から2030年までの国際目標だが、その2030年の「未来”希望”図」をベストセラー『生物と無生物のあいだ』の著者・福岡伸一さんや2014年に『ヒップな生活革命』でアメリカ人の消費の価値観が変わってきたことをいち早く紹介した佐久間裕美子さんが執筆するなど読み応えのある一冊となっている。
関さんは、「雑誌を出して終わりとは思っていない。発足した『FRaU×SDGsプロジェクト』では雑誌やウエブ、イベント、セミナー、ツアー、アワードなど様々なコンテンツを世に送り出していく中で、女性のソーシャルインパクトを促していきたい。メディアの役割はSDGs目標17の『パートナーシップ』が中心。2030年のゴールに向け、日本のSDGsのプラットフォームになれるよう活動したい」と説明。講談社は今回の発売に伴い、社内で識者を招いたSDGsセミナーを開催したという。