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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

民間主導で地方創生に新たなムーブメントを――私たちが「未来まちづくりフォーラム」を開催する理由

持続可能なまちづくりを通し、日本の未来を協創することを目指す「未来まちづくりフォーラム」が20日、パシフィコ横浜で開催される。主催は、イオンやNECネッツエスアイ、NTTドコモ、エプソン販売、オカムラ、JTB、 PwCコンサルティング、LIFULLの民間企業8社に加え、まちづくりに関連する団体や大学関係者で構成する「未来まちづくりフォーラム実行委員会」だ。民間主導で、さまざまなセクターを巻き込む「新たな地方創生」に挑戦する実行委員会に開催意義について話を聞いた。

笹谷秀光・未来まちづくりフォーラム実行委員長(以下、笹谷):地方創生に関するさまざまなイベントがある中で、未来まちづくりフォーラムと他との違いは「民間主導」ということです。

未来まちづくりフォーラムは、自治体や企業など持続可能なまちづくりを志すさまざまなアクターが集まる場です。本日は、そうした場を創るために集結した実行委員会のみなさまにお越しいただきました。未来まちづくりフォーラムへの参画の狙いと、当日、どんなお話をされるか聞かせていただきたいと思っています。

それぞれの企業は、異なるやり方でビジネスを用いて地方の輪の中に入り、新たな価値を生んでいます。「売り手よし、買い手よし、世間よし」という「三方良し」、英語ではマイケル・ポーターの提唱するCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)を推進し、新たな価値を社会課題の解決の中で生みながらビジネス化しています。

共通テーマは「コラボレーションの仕方」。私の言い方では「協創力」です。そして、発信力も大切です。発信の仕方も含め、良きことを外に広める力を発揮いただきたいと考えています。

まずは、LIFULLの渡辺さんからお話を聞かせてください。

テーマは「協創力」

渡辺昌宏・LIFULL地方創生推進部 部長(以下、渡辺):LIFULLは社会的課題の解決を、ビジネスモデルを構築しながら持続可能なかたちで行うことを目指しています。その中で、日本の大きな社会課題の一つ「空き家問題」に取り組んでいます。

「空き家の再生」に軸を置き、新たなライフスタイルを提案するさまざまな事業を展開しています。空き家情報のプラットフォーム化や空き家活用の資金調達支援、空き家活用のプロデュース、空き家活用の人材育成とマッチングなどです。

空き家をデータベース化するために、全国の自治体の皆さんと連携し、空き家の物件情報の掘り起こしを行い、2017年に「全国版空き家バンク」というメディアを構築し、今では580自治体が参画するまでになりました。

空き家を利活用する人たちのニーズがデータベース化され、空き家所有者の課題もデータベース化されてきています。また自治体には空き家の相談窓口機能が存在しますが、これまで自治体が標準化できていなかったことをマニュアル化することで、所有者と利活用希望者のマッチング率を上げることに取り組んでいます。

今、課題、利用ニーズ、解決しているもの、そして空き家が世の中にどう活用されているのかというデータベースを貯めています。これらのデータベースを活用し、最終的には生産性が上がるかたちに繋いでいこうということに取り組んでいます。

笹谷: LIFULLと自治体の役割はどう分かれているのでしょうか。

渡辺:われわれは、利用者に分かりやすく空き家の情報を提供するための『全国版空き家バンク』をつくり、空き家の利用者を増やすための集客を担っています。

一方、自治体は空き家を所有する方々の相談機能窓口を開設し、相談された物件を空き家バンクにデータベースとして登録することをしています。利用者が「こういう空き家を使いたい」と言った時に、われわれのメディアを使って、物件と利用者のマッチングを行っています。

田口真司・エコッツェリア協会(一般社団法人大丸有環境共生型まちづくり推進協会)事務局長(以下、田口):まさに空き家は大きな課題で、都市にも相当数あるのに都市の人はあまり気づいていません。取り組みを発信して、課題を皆さんに気づいていただくのが重要かなと思っています。肌身で気づき始めたら、もう遅いと思います。人口減少が進む中で、家という大事な資産を放置している状況を変えていかないといけません。

空き家は上手くプラスに転じれば、本当に色んな資産になると思います。古民家を使って酒蔵をやろうという話なんかを聞くこともあります。都市の人も地域の人も皆が楽しみながら、空き家という資産を一緒に使って、企業にもビジネスチャンスが生まれるということを目指したいと思っています。

渡辺:データベースを軸にしたサービスをどんどん創り、空き家の再生エコシステムの構築を目指しています。未来まちづくりフォーラムでは、福島県磐梯町の佐藤淳一町長をお招きして「デジタルガバメント×関係人口が挑戦する共創型社会の実現」をテーマに取り組み事例について話します。

笹谷:ありがとうございます。NTTドコモもICTを主軸にやっていらっしゃいます。

テクノロジーと地方創生

山本圭一 地域協創・ICT推進室 第二・第一担当課長(以下、山本):弊社は、未来まちづくりフォーラムの前進である「まちてん」から参画しています。きっかけは、私が東日本大震災の復興支援に携わり、そこで活動していたことが実は「まちづくり」「地方創生」だとアドバイスをいただいたことです。

復興支援を行う時にいつも思っていたことがあります。ボランティアやお金で支援することは簡単ですが、そこに根付いてサービスを設計するなど持続的支援ができていないということです。ビジネスを通して地域課題を解決する方法をとらなければいけないのではないか――。そう思うようになりました。

社内でも少しずつCSV、SDGsといわれるようになり、企業に対する社会からの要請も強まる中で、私が所属する「地域協創・ICT推進室」が立ち上がりました。ドコモのICT技術を使い、医療や観光、金融、農業、教育など幅広い地域課題の解決に貢献することに取り組んでいます。

未来まちづくりフォーラムに期待することは、イオンさんをはじめとする同じように参画するパートナー企業のみなさまや自治体、来場される企業のみなさまと協創するきっかけをつくることです。

笹谷:ドコモでは「ドコモの地域協創」というサイトをつくり、全都道府県制覇型のきめ細かな地域展開して、各自治体や地元企業とのコラボレーションについて発信を行っていますね。

山本:サイトでの情報発信の効果は大きいです。「ドコモの地域協創」をテーマに全国をまわり、展示も行い、ICTを活用した持続可能な社会づくりの実現について考えるセミナーを行っています。参加人数も増えています。

ただ、われわれだけでは何もできません。「パートナー企業とわれわれ」というパートナー協創を大事にしています。「パートナー+D」と呼んでおり、われわれが後ろに寄り添うという意味合いがあります。

今回の未来まちづくりフォーラムでは、「まちづくり× 5G・IoT」をテーマに大分県、前橋市、横須賀市の方々をお呼びして、5Gに関連した自治体との協創を紹介していきます。今年は5G元年ですから。

笹谷:ICTというと、サイバー空間と現実空間を融合させたシステムによって、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会「Society5.0」を目指す動きがあります。その良い事例がセイコーエプソンだと思います。

乾式オフィス製紙機「ペーパーラボ」は紙の未来を変える商品ですよね。SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」や目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標4「質の高い教育をみんなに」などさまざまな目標に関連するものです。

高橋俊介・エプソン販売 産業機器営業部 産業機器営業三課 課長(以下、高橋):ペーパーラボは、オフィスの中で使用済みのコピー用紙を新たな紙に再生する機械です。特徴は水を使わないこと、そして使用済みの紙を綿のような紙繊維レベルまで分解するため、機密情報も完全に抹消できます。また、リサイクルペーパ―よりさらに質の良い紙ができ、厚紙や色紙をつくることが可能です。まさにテクノロジーの神髄です。今年は、ペーパーラボを未来まちづくりフォーラムの会場でも展示させていただきます。

協業の取り組みはこれからさらに進めていきたいです。ドコモさんのように、協業相手を上手く見つけたいと思います。未来まちづくりフォーラムはまさに自治体と企業やさまざまなセクターがコラボレーションしていく場ですから、そういう相手が見つかれば良いなと思っています。

笹谷:ペーパーレス化が進む中で、個人的には、紙が必要な場面もあると思います。自社で資源循環を実現するというのは大変なイノベーションです。今回の未来まちづくりフォーラムでは、一関市の勝部修市長をお迎えしてセッション「世界を観る眼で一関を拓く~黄金が奏でる持続可能なアクションプラン~」を行います。

高橋:一関市と協業させていただく理由は、市長がSDGsの目標年である2030年のその先を見据えてさまざまな取り組みを行っているからです。どうすれば市民が自分ごととして捉え、未来に向けた取り組みを行ってくれるのか。勝部市長は自らの在職期間に留まらず、先々を見通したビジョンを持っていらっしゃいます。

東京オリンピック・パラリンピックで入賞者に授与されるメダルを小型電化製品に含まれる金属からつくる「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」があります。これは元々、一関市と青森県八戸市、秋田県大館市が提案したものです。一関市では以前から、使用済みの小型家電回収に積極的に取り組んでいます。岩手日日新聞によると、2013年度から2019年度の回収量は金メダル約115個分に相当するそうです。

一関市はSDGs未来都市ではありません。でも2015年に「一関市資源・エネルギー循環型まちづくりアクションプラン」を策定するなど、すでにさまざまなSDGs達成に向けた本物の取り組みを行っています。その一環として、昨年末にペーパーラボも導入していただきました。

笹谷:素晴らしいですね。これから「SDGs仲間」がどんどん増えていき、それがビジネス全体に波及するようにしていっていただければと思います。

では、PwC Japanはどのような思いで未来まちづくりフォーラムに参画しますか。

ソーシャル・インパクトをどう創出するか

下條 美智子・PwCコンサルティング 公共事業部(以下、下條):弊社もさまざまな地方創生に関わるプロジェクトに携わっています。事業会社のみなさまと異なるのは、お客様の困りごとを解決するコンサルティングが主なところだということです。復興支援や地域の人材育成など色々なプロジェクトを経験してきました。SDGsの中でも、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」が特にコンサル会社がコミットでき、力を発揮できる目標だと思っています。

PwCは「官民連携」と「コレクティブインパクト」に重きを置いています。私たちは内閣府の地方創生や官民連携プラットフォームの分科会を主導しており、地域で得た教訓などを日本国内に発信することに力を入れています。

弊社は、地方創生はもちろんですが、これからは社会的価値を重んじる時代が来ると前々から発信しています。役員も含め社員が地方や社会的課題の起きている現場に出向いて、フィールドスタディーを行っています。未来まちづくりフォーラムの前日に行われる「全国SDGs未来都市ブランド会議」では、その中で出会った宮城県女川町とセッションを組みます。

笹谷:フィールドスタディーは素晴らしいですね。ハーバード・ビジネススクールの人たちも被災地にフィールドスタディーに来ていると聞いたことがあります。業務の中でそれをやっているんですよね。

下條:そうですね。フィールドスタディーやプロボノは数年前から行っています。それを母体に、今後は経済的価値と社会的価値を共存させるビジネスモデルを成立させていこうと、今年度から「ソーシャル・インパクト・イニシアティブ」を立ち上げて、私が主導しております。

地域社会の課題ももちろんですが、色々な課題に対するソーシャル・インパクト(社会的インパクト)の向上を目指してマネジメントを行い、さらにソーシャル・インパクト・マネジメントを普及させ、コレクティブインパクトを創出していくことに取り組んでいます。

須田善明・女川町長は自治体を運営するのではなく経営するという視点を持たれています。女川町が持っている資産や資本をどういうソーシャル・インパクトを生み出すために活用するか。セッションでは、PwCと女川町が一緒に取り組んだ「社会的価値の見える化」について話します。

笹谷:PwCは世界のネットワークがあるので世界のいろんなベストプラクティス、情報が入りやすいですね。セッションが非常に楽しみです。

未来まちづくりフォーラムのオープニングトークには清水勇人・さいたま市長が登壇して、「人と人を絆で結ぶ『スマートシティさいたまモデル』」をテーマにお話しします。

その後のスペシャル・シンポジウムでは、SDGs未来都市・山口県宇部市の久保田后子市長や滋賀銀行の高橋祥二郎頭取をお迎えし、PwC野口功一常務執行役員や田口さん、オカムラの薄良子フューチャーワークスタイル戦略部 共創センター 所長/ Work in Life Labo. 所長にご登壇いただき、「SDGs未来都市と関係者協創の最前線―関係者連携による「協創」で日本一/オンリーワンを目指すには―」をテーマに議論を進めていきます。

下條:今回、金融機関が未来まちづくりフォーラムに参画してくださるのは非常にいいことだと思っています。いよいよこういう課題に金融機関も取り込まれる世の中になってきたなと思います。内閣府は金融機関によるSDGsを考慮した金融支援「SDGs金融」を提唱しています。これからの地方の動きは金融機関の動きを無視して成り立たないと考えています。そういう点でも、一般企業がもう少し危機感を持って進めていく際の示唆になると思っています。

田口:みなさんのお話を聞いていて、素直に嬉しいという感情が芽生えました。欧州には、民間も一般市民も行政もみんなで未来の社会をつくる、あるいは社会的課題の解決をするための「フューチャーセンター」があります。一方、数年前まで、日本では売上高の拡大やROE(自己資本利益率)、ROI(投資利益率)といったことの方が話題になり、遅れていると感じていました。しかし、日本は加速度的に変わってきました。地方と連携することも当たり前になってきました。未来まちづくりフォーラムも当たり前のこと、ど真ん中のことを言い続けていたら、人や情報が集まってきました。

笹谷:未来まちづくりフォーラム、全国SDGs未来都市ブランド会議には、地方創生のためのプラットフォームに必要な「産官学金労言」の全てが集まります。特に、滋賀銀行と肥後銀行という地方銀行の頭取が二人も登壇します。そして、内閣府をはじめ総務省や文部科学省など7府省庁のほかに全国知事会、全国市長会、全国町村会から後援していただいております。

「未来まちづくりフォーラム」をぜひプラットフォームとして活用いただき、時間いっぱいセッションを準備していますから、名刺交換をして常にネットワーキングをしながら、出会いを生んで、テーマである「日本創生SDGsモデルをつくる」という覚悟で参加いただきたいと思います。


取材場所の提供:エコッツェリア協会 3×3 Lab Future(https://www.33lab-future.jp/

第2回 未来まちづくりフォーラム
2020年2月20日(木) 10:00 ‐ 18:30 パシフィコ横浜(SB 2020 Yokohama会場内)
参加費 (税別):5,000円 事前登録制
https://www.sustainablebrands.jp/event/sb2020/special-miramachi.html

主催:未来まちづくりフォーラム実行委員会 / 協賛:イオン株式会社、NECネッツエスアイ株式会社、株式会社NTTドコモ、エプソン販売株式会社、株式会社オカムラ、株式会社JTB、PwCコンサルティング合同会社、株式会社LIFULL
特別協力:サステナブル・ブランド国際会議 横浜 / 後援:内閣府、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省、全国知事会、全国市長会、全国町村会、一般社団法人CSV開発機構、全国地ビール醸造者協議会(JBA)、一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク、一般社団法人チームまちづくり、エコッツエリア協会(一般社団法人大丸有環境共生型まちづくり推進協会)

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小松 遥香 (Haruka Komatsu)

Sustainable Brands Japan 編集局デスク。アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。