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里山支援で企業とNPOの協働が加速ー無印やトヨタ

日本の原風景である美しい棚田が連なる千葉県鴨川市の釜沼集落。普段は静かで小さな集落だが、都会から来た家族や若者で賑わう時がある。良品計画くらしの良品研究所が行う「鴨川棚田トラスト」のイベントである。これは、田植えから稲刈りまでの稲作を体験し、地域の産物を味わい、地域の人と交流し、棚田保全に参画してもらうというものだ。

2014年、この地域で以前から里山の保全活動しているNPO法人うずの提案から協働がスタートした。背景には、日本の多くの農山村が直面する、高齢化、後継者不足、米価の低迷といった問題がある。
この数年は農作物を荒らす獣害もこれに加わる。全国の耕作放棄地は滋賀県の面積に相当する40万ヘクタールを超え、年々増加している。これは、農地が失われるだけでなく、脈々と続いてきた地域の文化や人のつながり、さまざまな里山のもつ機能も失うことにつながる。

良品計画とNPOうずは、3年目の今年から、棚田だけでなく、畑、果樹園、雑木林、炭焼き小屋、古民家などがある里山全体を価値ある社会の共有財産として保全するため、「鴨川里山トラスト」と名称変更して活動の幅を広げている。
活動は、これまでの有機米作りに加え、味噌やしょうゆ、自然酒作りと日本の食文化や手仕事を通して里山の暮らしを体験する多彩なプログラムが加わる。

ローカルはグローバルにつながる

日本でも珍しい雨水だけで耕作する鴨川の天水棚田

無印良品は、国内で312店を直営する一方で、海外店舗も340店舗を超えるなどグローバル展開を進めている。国内では地方の社会的課題にも注目し、自社のウェブサイトで「ローカルニッポン」というコンテンツを展開するなど、日本の様々な地方に注目し関わりを強めている。

「我々は『グローカル』と表現しているが、グローバルはローカルの集合体。地域が元気になることで全体が活性化する」と同社の高橋哲・事業開発担当はローカルに注目する理由を語る。

同社では社員が鴨川にサテライトオフィスを設けて働くという動きも出てきている。「地域の情報が入手しやすくなり、課題も見えてくる」と高橋氏は説明する。

今後は、鴨川市や南房総市といった地域全体に対して、NPOとの連携に加えて自治体も巻き込み、耕作放棄地や荒れた山林の再生と活用、廃校活用など地域活性化につながるさまざまな提案を行っていきたい意向だ。

里山を支える人を生む「なりわい塾」

トヨタ自動車も愛知県の北東部に位置する里山、豊田市旭地区をフィールドに、NPO法人地域の未来・志援センター(愛知・名古屋市)と展開する協働プロジェクト「豊森(とよもり)」を展開している。

この中核となるプロジェクト「豊森なりわい塾」は今年で6期目。農山村の自然に根ざした暮らしに関心がある層へ参加を呼びかけ、フィールドワークと座学を組み合わせた講座を1年間毎月実施し、地域の課題解決を担う人材の育成を行っている。

修了生からは、地域での就農だけでなく、森林資源を活用するビジネス、里山カフェや、木製家具の工房の立ち上げなど里山を活性化する多彩な『なりわい』が生まれ、農山村での新たな生き方を選択した人も多い。

トヨタ自動車ではこの取り組みが「農山村の自然や人とのつながりの重要性を学び、都市と地域とをつなぐ活動を率先して計画する受講生が多くみられるなど成果を挙げている」とする。

里山の過疎化や農業の衰退といった問題に対して、都市と農山村をつなぎ、里山の資源や農の文化を継承していくこれらの活動は、企業と地域との連携を深め、地域の未来を担う人を生み出す仕掛けとして機能している。

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箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。

http://gogreen.hippy.jp/