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国際

ネスレなどが相次ぎ使用鶏卵を全て平飼い卵に移行

国際NGO「ザ・ヒューメイン・リーグ・ジャパン」は採卵鶏のケージフリーを大手企業に働きかけている

飼育動物に適切な福祉基準を設ける「アニマルウェルフェア」を重視する動きが欧米で強まっているのを受けて、グローバル企業では平飼い飼育(ケージなし飼育)で生産された卵の仕入れに移行する決定が相次いでいる。ネスレをはじめ、フォーシーズンズ・ホテルズや西洋フード・コンパスグループは、2025年までに鶏卵を使用する全ての製品について、国内でも平飼い卵のみの使用にする目標を昨年末から今年6月にかけ相次ぎ発表した。(箕輪弥生)

日本では、いまだに97%以上の養鶏場で小さなケージで密飼いされるバタリーケージによる採卵が中心だ。しかしEUは2012年にバタリーケージを禁止し、ニュージーランドや米国のカリフォルニア州をはじめとする複数の州でも産卵のためのバタリーケージを段階的に廃止している。

これは、過密な環境で飼育され、ストレスにさらされた動物は、免疫が弱まり病気になりやすいことや、環境保護や食品安全性の面からも自由に動ける環境で育った動物の方が健康的だという考えからだ。特にEUでは、動物の福祉と食品の安全性の間には密接な関係があるという考え方が一般的だ。

このような世界的なバタリーケージ廃止の流れに対応し、ネスレは、製品の原料として直接供給される全ての卵と卵製品について、日本を含め2025年までに平飼い卵のみの使用にすることを発表している。

フォーシーズンズ・ホテルズ&リゾーツは国内のホテルでも2025年までに平飼い卵のみの使用にすることを目標としている。さらに、フードサービス業界大手、西洋フード・コンパスグループも2025年までに平飼い卵の調達に変えることを発表している。

EUに比べて対応が遅れていた米国でも、マクドナルド、ハインツ、ケロッグ、キャンベルスープ、スターバックスコーヒーなど300社以上の企業が平飼い卵の調達を宣言している。

この理由について、米国で発足し、採卵鶏のケージフリー運動を展開している国際NGO「ザ・ヒューメイン・リーグ・ジャパン」の上原まほ氏は、「2年前は、ほとんどがケージ飼いだった米国だが、2016年から大きく変わった」と話し、「平飼い卵への移行が投資の指針になり、戦略的なビジネスチャンスだと企業側の認識が変わったことが大きい」と説明する。

8月には、米国、カナダなどのオリンピック経験選手から2020年の東京五輪でケージフリーの卵を使用してほしいという嘆願声明が出されるなど、国内でも平飼い卵への移行は無視できない流れとなってきている。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・マーケティングプランナー・NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「エネルギーシフトに向けて「節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。