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サステナビリティ消費で課題解決、楽天が新サイト

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「10回の買い物のうち1回がエシカルな買い物であれば、数千万の市場規模になる」と小林正忠常務執行役員CPO(11月29日、都内で)

楽天は11月29日、エシカル(倫理的)な商品を集めたインターネットショッピングサイト「EARTH MALL with Rakuten」をオープンした。国際的な認証を取得した商品やエネルギー消費が少ない商品など、エシカルにこだわった商品を発掘し紹介する。同社はSDGsの目標12「つくる責任つかう責任」をベースにしたサステナビリティ消費を重要課題と位置づけ、既存の消費スタイルを変える「創造的破壊をしたい」と小林正忠常務は語った。(松島 香織)

サイトで取り扱っている商品はFSC(森林管理協議会)、MSC(海洋管理協議会)、ASC(水産養殖管理協議会)、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)、国際フェアトレード、GOTS(グローバル・オーガニック・テキスタイル基準)のいずれかの国際認証を受けている7000点だ。

サイトで取り扱うエシカル商品。サイトオープンに合わせて開かれたシンポジウムでは、会場から「価格が高い」という課題が出た(11月29日、都内にて)

RSPO認証の食器用洗剤やボディソープなどの日用品から、フェアトレードのチョコレートやアイスクリームなどの食品、GOTS認証のTシャツやトートバッグなどのファッショングッズが揃う。消費者がこれらの認証ラベルが付いた商品を積極的に選ぶことで、認証基準に沿った管理をしている生産者の支援や生産地の環境を守ることにつながる。

「まだまだこの点数では買い物をする楽しみがない」と小林常務は話し、今後商品数と認証数を増やしていくという。そのためには購買者だけではなく、出店する事業者も「なぜエシカルなのか」を理解してもらう必要があり、サイトではエシカル商品のストーリーや4人のキュレーターのコラムなども発信する。

「EARTH MALL」は買い物から未来を変えるというコンセプトを持ち、SDGsを実現する未来へのアクションを創りだす有識者プラットフォーム「OPEN 2030 PROJECT」から発案され、博報堂が実装プログラム化した。

OPEN 2030 PROJECTの代表でサイトのアドバイザーを務める慶應義塾大学大学院の蟹江憲史教授は、同サイトのオープンに合わせて開かれたシンポジウムに登壇し、「SDGsが素晴らしいのは人のアクションにつながること」と指摘した。

蟹江教授は、人間の社会経済活動が地球システムに負荷をかけている危険性を捉えた「プラネタリ―・バウンダリー(地球の限界)」の概念を説明し、解決方法はSDGsであると明言。「『EARTH MALL with Rakuten』が望ましい売り方になるよう期待している」と力を込めた。

キュレーターを務める一般社団法人エシカル協会の末吉里花代表は「エシカル消費はアクセスできる場所や受け皿がないと広がらない。楽天にはエシカル文化を作ってほしい」と期待を寄せた。「誰でも消費者でありモノの未来を考えて消費することに責任がある。日常生活からできることがある」と話した。

小林常務は13店舗から始めた楽天市場の創業当時を回想し、「当時はインターネットで買い物ができるとは誰も思っていなかった。現在商品数は2億5000万、店舗数は4万6000を超えた。『EARTH MALL with Rakuten』は楽天の企業成長を押しとどめるものではない。この国の消費や生き方は必ず変わる」と力強く語った。

松島 香織 (まつしま・かおり)

サステナブルブランド・ジャパン デスク 記者、編集担当。
アパレルメーカー(販売企画)、建設コンサルタント(河川事業)、
自動車メーカー(CSR部署)、精密機器メーカー(IR/広報部署)等を経て、現職。