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イケア、海洋プラごみを使う製品を来年末までに開発

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今のペースで海にプラスチックが捨てられると、2050年にはプラスチックの量が魚を超え99%の海鳥種がプラスチックを誤食すると推定されている
写真:The People Speak!

イケア・ジャパン(千葉・船橋市)は、海洋汚染の恐れのあるプラスチックごみを使った製品を2019年末までに実現させると発表した。同社は、海洋に廃棄される前のプラスチックを企業が共同で製品化しプラごみを削減する「NextWave」イニシアチブに参加し研究を進める。同イニシアチブは米IT企業デルや米自動車大手GMなどの企業も参加しており、各社はオープンソースによって情報を共有化し、海洋プラごみの循環型利用を行う「サーキュラーエコノミー」を推進する。(箕輪弥生)

イケアは、製品とパッケージの素材を2030年までにすべて再生可能素材またはリサイクル素材にすることを目指している。今回のNextWaveイニシアチブへの参画は、その目標のためのステップであり、海に流れ込むプラスチックごみの有効活用に集中的に取り組もうという同社の姿勢を明確にした。

NextWaveは、企業や科学者、NGOが連携して海に流れるプラスチックごみを防止し、それを使って製品を作り経済的な価値を作ろうという「サーキュラーエコノミー」を推進するイニチアチブだ。米IT企業のデルが呼びかけ、環境NGOの「Lonely Whale」主導のもと発足した。イケアと同時期の10月末にIT企業のHPが参画、そのほかGM、 ハーマンミラーなど8企業が参加している。

現在、毎年800万トン以上のプラスチックごみが海に流れ込んでおり、微生物に分解されることのないプラスチックはそのまま海中に存在し、生態系にも大きな影響を与えている。

NextWaveは、プラごみを大量に海に廃棄している国のひとつ、インドネシアでまずプラごみを回収する予定だ。海岸、川岸から回収したプラごみを、収集センターに運び、選別、細断し、リサイクル施設で樹脂またはペレットに変える。持続可能な循環を作るために、リサイクルされたプラスチックにも競争力のある品質とコストを重視する。

デルは、このリサイクルプラスチックをコンピュータのパッケージ素材やその他の輸送用品に使うことを考え、GMは自動車部品に組み込む可能性があるとしている。イケアも2019年末までに製品のプロトタイプを発表する予定だ。

Inter IKEA Groupのレナ・コバック サステナビリティマネジャーは「海洋汚染の可能性のあるプラスチックごみを有用なものに変えることに率先して取り組みたい」と話す。同時に「NextWaveに加わることで新たな情報とイノベーションを得て、 あとに続く多くの企業にインスピレーションを与えられたらと願っている」とNextWave参画の意味を説明した。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。JFEJ(日本環境ジャーナリストの会)会員。

http://gogreen.hippy.jp/