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南三陸カキ養殖場でASC認証活用の働き方改革進む

「今だけでなく10年後、20年後を大事にしたい」と話す
後藤清広部会長

2016年に日本初のカキ養殖のASC国際認証を受けた宮城県南三陸町戸倉地区のカキ養殖場。ここでは、過密養殖をやめたことでカキの品質が向上し、成長が早くなっただけでなく、働き方が変わり、若い後継者の参加が増えるなど生産性と労働環境が大きく改善した。この事例に続けと石巻のカキ養殖を行う3支所がASC国際認証の取得を進める。南三陸町では、森林のFSC認証も取得しており、森・里・海が循環する地域づくりを目指している。(箕輪 弥生)

宮城県北部に位置する南三陸町は、分水嶺に囲まれ、山も海もつながる豊かな漁場と山林を有する地域だ。しかし、漁場では東日本大震災で漁船や養殖筏などすべてを失い、一時は廃業の危機に陥った。だがその危機をきっかけに、戸倉地区ではこれまで過密状態であった1000台以上あったカキの養殖の筏の数を3分の1以下に減らし、共同経営を行うことで自然に負荷をかけない持続可能な養殖場づくりを目指した。

「3年かけて15gだったカキが4ヶ月で20gに成長した」と戸倉カキ部会の後藤清広部会長は笑顔で話す。カキの栄養分である植物プランクトンを充分に吸収できるようになり養殖期間が短縮したのだ。

さらに後継者や世帯構成を意識して筏の持ち台数を再配分し、共同経営を行うことで30代の若い後継者が入ってくるようになり、浜に活気が戻った。

環境や地域社会に配慮した養殖業だけが取得できる国際的な認証「ASC認証」は国際環境NGOであるWWFからの提案だという。これに加えて循環型の地域づくりをめざす南三陸町が認証費用などの支援を行い、2016年3月に日本初のASC認証を受けた。

ASC認証は125の審査項目があるが、この厳しい基準をクリアすると、同地域ではカキの生産性の向上だけでなく労働時間の削減や、収入の増加といった相乗効果もあらわれた。後藤部会長は「1日13時間働いていたのが8時間になり、家族との時間も増えて生き方が変わった」と言う。

この事例をとらえ、近隣の石巻地区ではカキ養殖を行う3つの支所もカキのASC国際認証を取得する見通し。これで宮城県産カキの3分の2がASC認証生産品となる。

一方、森林資源が7割を超える同地域では、南三陸森林管理協議会が管理する森林1315haについて2015年にFSC認証を取得している。森林資源の適切な管理と利用が里や海の豊かな恵みにつながると考える同地域は、海と山の2つの国際認証を取得したことでも注目されている。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・マーケティングプランナー・NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「エネルギーシフトに向けて「節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。

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