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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)
コミュニティ・ニュース

今年中に読みたい、不確実な時代を生き抜くための6冊

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サステナブル・ブランド ジャパン編集局

アリババの創業者ジャック・マーは今年、早稲田大学で行った講演で「データテクノロジーの発達によって今後30年間で世界は大きく変わる。消える仕事もあれば、新たに誕生する仕事もある。しかし、心配しなくていい。人間にできることは沢山ある。必要なのは、クリエイティビティを養い、ハートのある人間を育てる教育改革だ」と話した。今の時代は「VUCA(ブーカ)」と呼ばれる。VUCAとは「Volatility(不安定)」「Uncertainty(不確実)」「Complexity(複雑)」「Ambiguity(不透明)」の頭文字だ。あと一月もすればやってくる2019年は、今年よりもさらに先の読めない、自ら考え、判断しないといけない時代になるだろう。そんな未来に備えるために、今年中に読んでおきたい6冊を紹介する。(サステナブル・ブランド ジャパン=橘 亜咲)

  • 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)

グローバル企業は、幹部候補を世界的に著名なアートスクールに送り込んでいる。「複雑で不安定な世界において、『分析』『論理』『理性』に軸足を置いた経営、サイエンス重視の意思決定ではビジネスの舵取りをすることができない」と著者は言う。VUCAの時代に求められるのは、「真・善・美」を判断する「美意識」だ。ビジネス書大賞2018で準大賞をとった、時代を知るために押さえておきたい一冊。

  • パーパス・マネジメント――社員の幸せを大切にする経営 (クロスメディア・パブリッシング)

人は何のために、なぜ働くのかーー。本書は「幸せ」という根本的で本質的なものを軸足に、時代に必要とされるパーパス・マネジメントについて説明する。社員が「幸せ」を感じられるためには、会社組織のパーパス(存在意義)とそこで働く個人のパーパスが一致していることが大事だ。働く人が幸せなら、企業の業績も上がる。実際、幸福度の高い社員は生産性が31%高く、創造性は3倍高いという調査結果がある。本質を置き去りにした働き方改革に困惑する社員の声を聞くが、「働き方改革」とは「幸せ改革」と著者は語る。ここで言う個人のパーパスとは、自身が大切にする価値観に沿ったもので、社会的意義を含むもの。そうしたパーパスを持つミレニアル世代、そして企業が持続可能な経済成長を目指し社会課題の解決に取り組むSDGs時代を考える上で一つの視座となる本。

  • 仕事はもっと楽しくできる 大企業若手 50社1200人 会社変革ドキュメンタリー (プレジデント社)

「辞める」か「染まる」か「変える」かーー。若い世代が大企業のルールや仕組みを簡単に変えられるわけではないけれど、せめて毎日もっと楽しく仕事ができる環境をつくりたい。「変える」を選んだ大手企業で働く若手有志の集まり「ONE JAPAN」のメンバーのいまを追った一冊。「時代錯誤の仕事観を押し付けてくる上司への苛立ち」「転職準備」「優秀な若手が力を発揮できない」ーー。会社名も個人名も隠すことなくそう語り、自身の困難や葛藤を正直に明かす大企業の若手社員の姿に、日本の未来は明るいのではないかと希望を感じられる一冊。「変えたい」「仲間が欲しい」と考えている人たちにおすすめしたい。

  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)

目の見えない人の見る世界を「空間」「感覚」「運動」「言葉」「ユーモア」の5つのテーマから考える一冊。読み進めながら、目の見えない人の感覚を様々な角度から想像し体験できる工夫がされている。見えていても見えていないことがあると感じさせられ、読み終わると視野が広がる一冊。著者は、「障害者は、労働力の求められる産業社会の発展の中で『できない人』『能力が欠如した人』とされてきた。今の社会は、見えないことが障害なのではなく、見えないから何かができなくなることが障害。障がい者や障碍者と表記をずらすのは問題の先送りにすぎない。むしろ障害を表記してそのネガティブさを社会が自覚するほうが大切」と語る。文章の上手さと適度なイラストが手伝ってさらりと読める。

  • ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命 (日経BP社)

ものづくりからしかブランドは生まれないーー。メイドインジャパンにこだわり、店舗を持たず、セールをせず、生産工場を公開し、販売価格は工場に決めてもらう。ファクトリエは、職人の情熱と最高峰の技術のつまった人に語りたくなるものを長く大切に使ってもらい、消費者に語れる本物を届けることを目指すブランドだ。著者でファクトリエ代表の山田さんは「服は人を幸せにするものという原点に立ち返る社会を目指したい」と話す。環境、人権、労働問題など様々な社会課題を抱えるアパレル業界において、日本では年間27億点の服が市場に供給されるが年間消費点数は13億点と半分以上が余剰在庫となっている。同社はこうした問題にも向き合う。山田さんは、今という時代について「アートや感性の時代といわれ、世界の名だたる大企業がイノベーションに必須と、美術教育やデザイン教育を取り入れ始めている。日本にとっては、長い歴史の中で磨き続けてきた独自の価値を生み出せる時代になると、僕は密かに期待している。僕たちの存在意義は、目指すべき新しい未来やつい忘れがちになる大切なことに気づいてもらうきっかけをつくること。未来を諦めたくない日本の作り手にとって、一つの希望の星になること。人を幸せにする力を持つ服。その産業に携わるすべての人が幸せになるようにしたい」と語る。ファクトリエに限らず、若者向けファッションブランドのメイドインジャパン化は進んでいる。国内のアパレル業界の課題を知るには、昨年話題になった『誰がアパレルを殺すのか』(日経BP社)もあわせて読んでみて欲しい。

  • 現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書)

日本実業界の父・渋沢栄一は生涯に470社の設立、約600の社会公共事業や民間外交に携わった。商売をする上で『論語』を教訓とし、「利潤と道徳を調和させる」と言ういつの時代も色褪せることのない経営哲学を説いた渋沢。一貫して書かれている「一個人の利益になる仕事よりも、多くの人や社会全体の利益になる仕事をすべき」と言う考え方、武士道の精神、深い教養に基づく哲学は、国や世界、社会、会社、個人の生き方や仕事に向き合う姿勢など広く網羅しており、不確実な現代を生きる上ですべてのビジネスパーソンにとって羅針盤となる。

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