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持続的に幸せを感じるには 従業員の心を豊かにする5つの習慣

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Laura Barbieri
anyaberkut

従業員がより幸せを感じ、充実して働くことのできるレジリエントな職場環境をつくるために、ビジネスリーダーが日常的に実践できる習慣を紹介する。(翻訳=井上美羽)

今、米国の若者は苦しんでいる。パンデミックが起きる前から、半数以上の若者が不安や憂鬱を感じているという報告があり、多くの若者は日々感じているさまざまな感情にうまく対処する準備ができていない。学校が始まると、学業で成功しなければならないというプレッシャーから、そのストレスはさらに大きくなる。こうした典型的なストレス要因に加えて、現在の10代の若者たちは孤立し、コンピューター画面の前で学習することを余儀なくされた。これにより思春期の重要な節目で社会性の成長の機会を逃してしまい、彼らの生活はさらに混沌としてしまっている。

若者のメンタルヘルスの危機が続いていることを受けて、米LGエレクトロニクスは2017年に、社会的感情学習(感情を管理し、感情が対人関係や選択におよぼす影響を学ぶ)や教育、幸福学の研究者・専門家と共に「ライフイズグッド:エクスペリエンス・ハピネス(Life's Good: Experience Happiness)」プログラムを始めた。Eラーニングプラットフォーム「ディスカバリーエデュケーション(Discovery Education)」などとの協働で完成したプログラムは、科学的にも裏付けされ、カリキュラムに則った教材を提供する。

このプログラムにより、教育者や生徒は、社会的・情緒的な幸福を生涯にわたり持続させるための6つの幸福スキル(感謝、人とのつながり、前向きなものの見方、存在意義、寛大さ、マインドフルネス)を身につけることができる。

しかし、メンタルヘルスの課題は、高校を卒業すれば消えるわけではない。多くの大人が健康に影響を与える精神的なストレス要因に直面している。そしてそれは世界的なパンデミックの影響で学校の再開時期、職場復帰が不確実になり、さらに悪化した。幸いなことに、雇用者側もこのことに注目している。

ウイリス・タワーズワトソン社の調査によると、87%の従業員がストレスと燃え尽き症候群が職場の問題だと回答。4分の3以上の企業が今後3年間で従業員の健康状態を改善するための主な課題として「精神面および行動面での健康」を挙げている。持続的に幸せでいるための「幸福スキル」を職場の文化にとり入れることは、最終的に企業のレジリエンスを高め、従業員がより幸せで充実した気持ちで働くことにもつながる。

5つの習慣

1. 心の休息をとる時間を確保する

タスクや会議に追われ、自分の時間を持てない社員は少なくない。デスクから離れてリラックスできる時間を毎日たった5分だけでも確保し、予めカレンダーに書き込むことを従業員に推奨するのは良いことだ。外でランチを食べたり、少し歩いてコーヒーを飲んだりするといった時間を意識的にとり、デスクから離れることで、集中力が高まり、心のリセットが可能となる。また、燃え尽き症候群や心身の疲労感を回避し、残りの勤務時間をより前向きに過ごせるようになる。

2. 1 分間の瞑想を取り入れる

従業員が特に忙しく、長時間の休憩をとることができない場合は、デスクで1分間の瞑想を行うよう促すと良い。方法は実に簡単で、目を閉じて1分間沈黙をするか、オフィスが騒がしい場合はガイド付きの瞑想をする。従業員が実践しやすいように、実践方法や情報をメールで配信をするのも良いだろう。マインドフルネスを本格的に実践するには1分では足りないかもしれないが、瞑想は感情のコントロールやストレスに対処する能力の向上につながると言われている。

3. アクティブ・リスニングの実践

職場の同僚との効果的なコミュニケーションは、他人に理解され、評価されていると感じるために不可欠だ。ビジネスリーダーは、アクティブ・リスニングを実践することを従業員に奨励すべきだ。アクティブ・リスニングとは、会話の相手と積極的に関わっていくことであり、両者の間に信頼関係を築き、共感を育むことができる。ここではアクティブ・リスニングを実践するためのいくつかのポイントを紹介する。

1. 視線を合わせ、メッセージの受信などで気が散らないようにして、話し手に注意を払っていることを示す。
2. 不明な点があれば、明確な質問をする。
3. 聞き手として、定期的に話し手の要点を言い換え、話し手の言っていることや感じていることを正しく理解していることを確認する。

4. 人と人とのつながりをつくるために、自然なコミュニケーションの場を設ける

パンデミックの影響で、社員の中にはリモートワークを続けている人もいれば、オフィスに戻ってきている人もいる。このようにコロナウイルス感染が拡大する以前の典型的なオフィス環境がなくなったことで、私たちが当たり前のように感じていた人と人とのつながりを再現することが困難になっている。従業員が仲間と自然につながる方法を再構築するために、ビジネスリーダーは、仕事とは関係のない話をカジュアルに話すことができる機会を設けるべきだ。例えば、仕事の最後の1時間を使ってバーチャルなゲーム大会を開催したり、ミーティングの最初に週末に何をしたかを話す時間を設けたり、特定の関心事を持つ人たちがお互いの情熱について話し合うためのメッセージングツールを利用したりすることが考えられる。

5. 一日の中で人に奉仕する時間をつくることを奨励する

いくつかの研究結果によると、ボランティア活動はメンタルヘルスを改善し、血圧を下げ、幸福感を高めると言われている。人材を共有したり、ボランティアを募集している非営利団体を支援したりすることで、従業員が社会貢献活動をする機会をつくることができる。また、地元の非営利団体を見つけ出し、従業員が企業ボランティアに参加する日を設定することもできる。月に数時間、社員が日常の仕事から離れてボランティア活動をする時間を設けるという方法もある。多くの非営利団体は平日に支援を必要としているため、この方法は人々が社会貢献をする効果的なモチベーションとなり、また、従業員がオフィスを離れてより良いことに時間を使うことができる。