サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

H&Mとイケアが共同研究するリサイクル繊維の有害物質 安全なリサイクル繊維に前進

  • Twitter
  • Facebook
Sustainable Brands
IKEA

H&Mとイケアは2019年からリサイクル繊維の化学物質汚染に関して共同で研究を進め、安全なリサイクル繊維を実現する上で必要となるデータベースを作成した。調査で得た知見を生かし発展させながら、業界全体の化学物質の透明性を高め、2030年までに再生可能な素材とリサイクル可能な素材、その他の持続可能な方法で調達された素材のみを使用するという2社が掲げる目標の達成を目指す。

自社の製品や事業をより持続可能なものにしようと努力する企業が増えている中、循環型ビジネスは、その目標を達成するための最も有望な方法の一つと考えられてきた。しかし、スウェーデンの研究者らが欧州型の循環型経済(サーキュラーエコノミー)の課題を指摘したように、循環型経済を成功させるためには、まだまだ学ぶべきことや考慮すべきことが多くある。研究者らは、欧州の循環型経済の課題の一つとして、近年リサイクルの技術革新が進んでいる繊維製品をはじめ、これまでに蓄積してきた膨大な量の素材や製品への対応が必要だと指摘している。

素材の調達に特に力を入れているのは、H&Mグループとインター・イケア・グループの2社で、両社とも2030年までに再生可能な素材、リサイクル素材、その他の持続可能な方法で調達された素材を100%使用することを約束している。先に述べたように、さまざまなイノベーションを駆使することで、目標を達成することは簡単に思えるかもしれないが、この目標を達成するための重要なステップは、透明性と信頼性の高いリサイクル素材の調達先を見つけることだ。しかしそれは予想よりも簡単ではない。

2019年、両社は業界をまたぐ課題に取り組むために、世界中から調達したリサイクル繊維に含まれる有害化学物質を調査する大規模な共同研究を開始した。研究の目的は、業界全体で戦略的に知識を蓄え、データを交換し、繊維に含まれる化学物質の透明化を推進することだった。

繊維業界に真の変革をもたらすためには、コラボレーションは不可欠であり、2020年秋には、同じく繊維業界の大手企業であるアディダス(adidas)、ギャップ(Gap)、キングフィッシャー(Kingfisher)、PVH(PVH Corp)、ベストセラー(Bestseller)が賛同し、研究に参加した。これらの企業の規模と存在感をもってすれば、必要な変化をもたらす大きなチャンスとなる一方で、この調査が完了した現在も課題はまだ山積みだ。

スウェーデンのイケアでリサイクル繊維事業を担当するプロジェクトリーダーのミリアム・ルーク氏は、「業界内で協力することで、循環型ビジネスへの転換に向けた共通の課題を克服することができます。今回の調査では、デジタルプラットフォームを通じてデータを共有し、透明性の確保と知識の共有を実現しました。そして、次のステップであるリサイクル素材と再生可能素材のみの使用の実現に踏み出すために必要な事実を明らかにすることができました」と話す。

調査方法は?

世界のさまざまな地域で回収された綿、ウール、ポリエステルの廃棄物を対象に、AFIRM(アパレル・フットウェアの規制物質マネジメント)の制限物質リストに掲載されている化学物質を検査した。消費者から引き取った使用済みポリエステルのサンプルでは、最も多様な物質が検出され、同様に使用済みウールのサンプルでは、ほぼすべてのサンプルにAFIRMの化学規制物質のリスト(RSL)の制限値を超える物質が1つ以上含まれていた。

今回の調査結果は、アパレル業界の大手企業が加盟する有害化学物質排出ゼロを目指す組織「ZDHC(Zero Discharge of Hazardous Chemicals)」や国際環境NGO「グリーン・ピース」が長年にわたりファッション・繊維産業に無害化を訴えていた理由を裏付けるものだった。リサイクル素材に含まれる健康や環境被害の疑いのある化学物質や有害化学物質に対処していくことは、ファッション・繊維産業において真の循環性と持続可能性を実現するためのカギとなる。

循環型で将来性のある製品には安全性が必要に

H&Mグループでリサイクル繊維事業を進めるプロジェクトマネージャーのリン・ファルハディ氏は次のように述べている。

「完全に循環型で将来性のある製品を実現するためには、まずは健康や環境被害の疑いのある化学物質を避ける必要があります。業界内の協力と、すべての化学物質や素材に対する透明性が高く、調和のとれた危険度評価手法があって初めて、私たちは先見性を持ち、有害物質のない繊維の未来のために安全で持続可能な製品を確保することができます。今回の調査の最初の段階で得られた結果を業界全体で共有することで、生産、消費、リサイクルに至るまで、繊維製品のバリューチェーン全体を見直すために必要な気づきと新たな理解を得ることができます」

H&Mグループとイケアは、今回の調査結果をもとに、安全性の高いリサイクル繊維の使用を可能にする公共政策を支持していくという。また、今回の結果は、企業・ブランドが安全性とリサイクル性の観点から最適な化学物質を評価できるようにし、リサイクルや素材の回収に適さない化学物質を制限するために、生産に使われる化学物質の、広く利用され統一性のある危険性評価手法の設置を提唱していくために使われるだろう。