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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

グリーンウォッシュを避けるための表現ルールブック 英プロヴィナンスが公開

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Sustainable Brands

英国政府は今年6月に専門組織を立ち上げ、企業・ブランドによるグリーンウォッシング根絶のための監視を始めた。同時に、英ソフトウェア企業「プロヴィナンス( Provenance )」はプロヴィナンス・フレームワーク( Provenance Framework )と呼ばれる無料のグリーンウォッシングを避けるための表現ルールブックを発表した。プロヴィナンスは、社会的な取り組みを行うソフトウェア企業で、企業の持続可能性に関する宣伝文句の実証化を可能にし、買い物客がファクトチェックをすることができるサービスを提供している。このオンラインツールは以前にプルーフ・ポイント・フレームワークと呼ばれ、2020年に欧州委員会が100万ユーロ(約1億3000万円)の賞金を授与することとなったツールの改良版だ。 (翻訳=フェリックス清香)

このオープンソースのルールブックは、企業・ブランドがグリーンウォッシングを避け、消費者に向けた社会面・環境面でのインパクトに関する企業の宣伝文句に、信頼性を持たせる上で役立つ。

プロヴィナンス・フレームワークは、英国の競争規制機関、競争・市場庁(Competition and Markets Authority、通称CMA)による消費者保護法に関する最新ガイダンスの公表直前に発表された。競争・市場庁などは2021年1月、衣料品や化粧品、食料などの製品やサービスを販売する約500のウェブサイトを調査し、企業のサステナビリティに関する宣伝文句、例えば、主成分が該当しないにもかかわらず「オーガニック」「再生◯◯」とラベル表示する商品など、40%が消費者の誤解を招きかねないことを見出した。これは消費者法違反でもある。

サステナビリティに関する表現を使う上で、満たすべき基準を示したルールブック

サステナビリティに関する一流の専門家との共同開発と、最新のESG基準に沿った継続的な更新が行われたプロヴィナンスのルールブックによって、企業・ブランドはサプライチェーンの情報を、消費者が簡単に理解し、信用できる宣伝文句に転換できる。この無料のサイトを見ることで、企業・ブランドが即座にとれるのは次のような行動だ。

5つの重点分野(気候、コミュニティ、自然、廃棄物、労働者)の50以上の宣伝文句を確認する
(例:カーボンオフセット、気候中立、完全に堆肥化可能、食品廃棄物削減、アップサイクル、ヴィーガン、ウォーターフットプリント削減、農業を改善など)

その宣伝文句を作るために満たす必要のある、特定の基準を理解する
(例:「完全に堆肥化可能」という宣伝文句を使う場合、部品が堆肥化可能かどうか試験されていること、堆肥の毒性に関する欧州規格EN13432の品質基準を満たしていること、堆肥化から6カ月後に元の製品の乾燥重量の10%以上が残っていないことが基準になる)

関連する検証機関(CarbonNeutral®や1% for the Planet、the Ethical Trading Initiativeなど)のガイドラインと、それらの機関が宣伝文句を認証するために要求するエビデンスを調べる

宣伝文句が人々にどのように伝えられるべきかに対する専門家のアドバイスを見る

今日の消費者は、これまでよりもさらに知識を持ち、洞察力があり、自分の価値観にブランドが合わせることへの期待を気ままに述べる。それによって、ますます多くの企業が自社の商品について、誤解を招く、曖昧で、誤った宣伝文句を作りたくなるだろうと業界アナリストは考えている。

プロヴィナンスの創業者でCEOのジェシー・ベイカー氏は、真摯にサステナビリティの問題に取り組んでいるブランドは、透明性と証拠を倍増する必要があると述べる。

「不透明な調達慣行とサプライチェーン、またときに積極的なグリーンウォッシングは、今日の消費者がどの製品を買えば地球環境に良いのか混乱しているから起こります。また『グリーン』な宣伝文句を作るための世界的な基準がないため、真摯に取り組んでいる企業は無力を感じ、消費者を誤解させる競合に不満を抱くかもしれません。企業はグリーンウォッシングだと非難されることを懸念しています。しかし実際には、企業の背景にあるポジティブな社会的・環境的インパクトを明らかにすることは、真の企業価値に転換できます」

「信頼に足る、検証されたメッセージを出すことは、明らかに今すぐ必要です。そのため、われわれは競争・市場庁のガイダンスを心から受け入れ、プロヴィナンス・フレームワークがガイダンスの実行において企業をサポートできることを願っています」とベイカー氏は言い添えた。

「サステナビリティがマーケティングに必須のものになれば、グリーンウォッシングは必ずついてきます。世界にとって最も必要のない変化は、混乱した消費者が意気消沈して無関心になってしまうことです」とプロヴィナンス・フレームワークの初期ユーザーでありオンライン美容市場カルト・ビューティー(Cult Beauty)の共同創業者兼共同CEOのアレクシア・イング氏は話す。

「カルト・ビューティーでは常に、顧客がブランドの宣伝文句を簡単に、信頼感を持って評価できるようにする方法を模索しています。プロヴィナンスは私たちを、これまでの美容業界には前例のない方法で支援してくれています。それによって私たちは、顧客が自信を持って『これだ』と違いを意識して消費決定をするのに役立つ正しい情報を提供できています」

英国の競争・市場庁は今年の夏の終わりに最終報告に先駆けて最初のガイドラインを既に公開している。昨年の秋、オランダの消費市場局は環境に関する宣伝文句について5つの「経験則」を発表し、170社の国内大手企業の調査を開始した。欧州委員会もまた現在、環境に関する宣伝文句を規制するための、EU消費者法の枠組みの改正を検討している。そして米国ではデニムレーベルのアメンディと政策集団ポリティカリー・イン・ファッションが、連邦取引委員会に、2012年以降改正されていないグリーンウォッシングに対するルールを概説する、グリーンガイドの見直しを求める行動を起こそうとしている。