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二酸化炭素から繊維を製造へ 米ランザテックとルルレモンが「カーボンリサイクル」で連携

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バイオテック・スタートアップの米ランザテックは、ヨガウエアなどを販売するブランド「ルルレモン」と共同で、世界で初めて排出された二酸化炭素をリサイクルし糸や布をつくる開発を進めている。カーボンリサイクル技術を有するランザテックは、自然界に存在するソリューションを活用し、二酸化炭素からエタノールを製造する。今回、エタノールからポリエステルを生み出すために、インドの化学メーカー「インディア・グリコールズ」と台湾の繊維会社「遠東新世紀」とも連携する計画だ。(翻訳=梅原洋陽)

ランザテックは2015年に開催された米サステナブル・ブランド・イノベーション・オープンで一般投票部門と総合優勝部門の両方で受賞を果たした企業だ。同社はカーボンリサイクルの技術をビール醸造所に例えている。ビールが砂糖と酵母で造られるように、産業汚染物質はバクテリアによって燃料や化学物質に転換できる――。

二酸化炭素(以下、CO2)のリサイクルは、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の基盤でもある。CO2を資源として製品に活用するカーボンリサイクル技術は、脱炭素社会を目指す上で不可欠な技術として、世界的に注目が集まっている。

新たに資源を採掘せず、化石燃料を地中に留めておくことで、ポリエステルのような付加価値の高い製品をつくる際に生じる汚染や化石燃料の使用を減らすことができる。遠東新世紀によると、ランザテックのエタノールから生産された排ガス由来のポリエステル「FENC® TOPGREEN® Bio3PET繊維」は見た目もさることながら、バージンポリエステルと同等の特性や機能性を有するという。CO2の排出量が少ないこのアップサイクル繊維は、ルルレモンの製品だけでなく、アパレル業界全体に変革をもたらすかもしれない。

「われわれは炭素を調達、活用、そして廃棄する方法を根本的に変えていく必要があります。カーボンリサイクルによって、ルルレモンのような企業は新たな化石燃料の使用を減らし、循環型の製品づくりができるようになります。自社のCO2排出量の削減をはじめとする気候変動目標も達成できるでしょう。われわれはこれをカーボン・スマートと呼んでいます」とランザテックCEOのジェニファー・ホルムグレン氏は言う。

昨年10月、ルルレモンは初めてのインパクト・アジェンダを発表した。重要な社会・環境的課題に複数年かけてどのように取り組むかについて12の目標を示している。ランザテックとのパートナーシップは、新たなテクノロジーをビジネスに生かしていく戦略の一つだ。

ルルレモンのチーフ・サプライチェーン・オフィサーであるテッド・ダグネス氏は「小売業界やアパレル業界の将来にとって、持続可能なイノベーションは重要な役割を果たしていきます。イノベーション技術の最前線にいることにとてもワクワクします。ランザテックとのパートナーシップは、ルルレモンのインパクト・アジェンダの達成の大きな力となるでしょう。全ての製品をサステナブル素材でつくり、製品ライフサイクルの解決策を模索しながら、2030年までに循環型エコシステムを実現していきます」と話す。

ビジネス界は、人々の生活や繁栄に不可欠な温室効果ガスの削減に注力し、革新的なパートナーシップ、プロセス、そして製品を生み出すことに成功している。米バイオテクノロジー企業「ニューライト・テクノロジーズ(Newlight Technologies)」のブランド「コヴァレント(Covalent)」はカーボン・ネガティブなファッションアクセサリーを展開し、洗剤ブランド「タイド(Tide)」も炭素の回収・活用技術を用いた低炭素製品の開発を計画していることを発表している。ランザテックはこのような取り組みにおいて中心的な役割を果たそうとしており、カーボンリサイクル技術は飛行機や香水、そして繊維の製造にも活用されている。

製鉄所などからの産業廃棄物は一般的に焼却され、地球や人間に有害な温室効果ガスや粒子状物質として放出される。そうした排出物を回収し、糸を作り出すことで完成した衣服はカーボンフットプリントが少ないだけでなく、地域の汚染レベルを下げることにもなる。このような化学物質から作られた製品が寿命を迎えると、ランザテックの技術によってガス化、そして発酵させることが可能だ。この一連の過程は素材のライフサイクル内に炭素を留め、循環性を促進させることにつながる。