サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

ユニリーバ 、商品・広告から「ノーマル」という表現を排除へ 多様な美しさ推進

  • Twitter
  • Facebook
Sustainable Brands

英ユニリーバはこのほど、すべてのビューティ&パーソナルケアブランドのパッケージや広告から「ノーマル(ふつう)」という言葉をなくし、公平でインクルーシブ(包摂的)、そして地球にとっても持続可能な新しい時代の美しさを提唱していくことを発表した。(翻訳=梅原洋陽)

同社が新たに掲げるビジョン・戦略「ポジティブ・ビューティー(Positive Beauty)」は、ダヴやライフブイ、アックス、サンシルクなどビューティ&パーソナルケア用品ブランドにおける、先進的な目標と取り組みを定めたものだ。

ユニリーバのビューティ&パーソナルケア 責任者のサニー・ジェイン氏は、「毎日10億人が私たちのパーソナルケア用品を使っており、それを上回る数の人たちが広告を見ています。私たちのブランドには、人々の生活に真の変化をもたらす影響力があるのです。その一環として、有害な規範や型にはまった考え方の改善に取り組み、美の定義をはるかに幅広く、インクルーシブなものにしようとしています」と話す。


「女性は男性より弱い」「本物の男性はこう振る舞うものだと教わること」「プラスチックが海洋を汚染すること」「森林が伐採されること」など、どれも「ノーマルだろうか?いや、違う」というメッセージを伝える。

同社のブランド、ダブは長年にわたって「本当の美しさ」を称えてきた。しかし、美容業界全体としては、なにを「美しい」とするかという定義や描き方の幅を広げるような動きが進んでこなかった。

米ドラックストア大手のCVSヘルスは2018年、「Beauty in Real Life(ビューティー・イン・リアルライフ)」キャンペーンで、美容製品のイメージ写真の修正をやめると約束し、さまざまな女性の編集されていない、日常の中の美しい瞬間を取り上げた。そして、あらゆる肌質・肌色の人のための化粧品を展開するリアーナのブランド「Fenty Beauty」や「Cheekbone Beauty」のような小さなブランドは、多様性やインクルージョンを重視し、立ち上げられたものだ。しかし、化粧品・パーソナルケア業界全体は、残念ながら、いまだに有色人種や美に対する幅広い解釈が欠けているのが現状だ。

「ふつう」という言葉を排除するという決定は、2021年1月から2月にかけて行われた、世界の1万人を対象にした調査に基づいている。調査によると、世界の半数以上が「美容・パーソナルケア業界は人々に疎外感を与えている」と考えていることが分かった。調査結果を少し紹介する。

・10人中7人が、ブランドが商品のパッケージや広告に「ふつう」という言葉を用いることはネガティブな影響をもたらすと回答。18-35歳の年齢層ではさらに増え、10人中8人がそう答えた。

・回答者の74%が、美容・パーソナルケア業界はより幅広い美の定義を発信しなければならないと回答。

・10人中6人が、美容業界はだれが、そしてなにが「ふつう」なのかという特異な概念を生み出していると賛同している。さらに3分の2にあたる63%の人が「ふつう」という言葉をなくすことで、自分たちの見た目により前向きになれると回答した。

・74%の人が、美容・パーソナルケア業界は、単純に見た目を良くしたいと人々に感じさせるのではなく、むしろ人々の気持ちを高めることに注力すべきだと考えている。

ユニリーバは、ポジティブ・ビューティーはこうした害を減らし、狭義の美しさの理想像を覆すことに挑むだけでなく、その先も目指しているという。ポジティブな影響を生み出していくことだ。製品のデザインや成分に変革をもたらし、人と地球の両方にとってより良く、より優れた商品体験をもたらしながら、消費者のトレンドを掴もうとしている。

さらに、「ふつう」という言葉を使わないだけでなく、広告においても体型やサイズ、プロポーション、肌の色をデジタル処理編集することをやめる。そして、多様で、今まであまり取り上げてこられなかったグループの人々をモデルにした広告の数を増やしていくとのことだ。

International Center for Research on Women(国際女性研究センター)の所長サラ・デグナン・カンボー氏は、「私たちが毎日、見聞きするのは、どうすれば『まわりに溶け込む』ことができるかなど、とても狭い意味での『ふつう』の枠に入る方法についてのメッセージです」と話す。

「公平性を勝ちとるために、私たちはこうした限定的な『基準・規範』に挑み、人々の多様性を称える社会やコミュニティをつくり出す必要があります。美もその例外ではありません。ユニリーバがこうしたコミットメントを発展させ、自ら設定した高い水準を保っていくことを期待しています」

今回の「ポジティブ・ビューティー」ビジョン・戦略は、2020年9月に発表したユニリーバの日用品部門におけるサステナブル・ビジネス戦略「クリーン・フューチャー(Clean Future)」、2020年11月に発表したフード&リフレッシュメント部門の「フューチャー・フーズ(Future Foods)」に続くものだ。同社はさらに、広告業界から有害なステレオタイプを廃絶することを目指す国連の「アンステレオタイプ・アライアンス(Unstereotype Alliance)」にも加盟している。