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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

プラスチック・ニュートラル認証:若き起業家が開発したブランド選択の新基準

Sustainable Brands
Image:rePurpose Global

米ペンシルベニア大学ウォートン・スクールで出会った3人の若き社会起業家が立ち上げた「rePurpose Global (リパーパス・グローバル)」は、世界規模でプラスチック・ニュートラルを推進するプラットフォームだ。企業が、より簡単に多くのプラスチック廃棄物の削減を行えるように支援する。その一環として、プラスチック・フットプリントを測定・相殺し、将来的な削減計画を立てている企業に付与する「プラスチック・ニュートラル認証」が消費財業界に新風をふき込もうとしている。今回は、同認証を取得した3社の消費財ブランドを紹介する。(翻訳=梅原洋陽)

プラスチック廃棄物への関心が高まる中、プラスチック・ニュートラル認証を取得した3ブランドは消費者の関心を集めるだけではなく、サステナビリティへの独自の取り組みについてマーケティング・チャネルを通して伝え、競合他社との差別化を図ることができている。この3ブランドは3つのステップを経て、リパーパス・グローバルが発行するプラスチック・ニュートラル認証を取得した。

まず、リパーパス・グローバルから派遣されるサステナビリティの専門家とともに、製品の仕様や販売統計などの簡単に入手できるデータを用いて、容器やサプライ・チェーンにおけるプラスチック・フットプリントを測定。次に、各企業は使用済みのプラスチック1キログラムあたり0.50ドルを支払い、アジアや南米、アフリカの新興国で、埋め立て地や焼却炉、海に捨てられているような低価値のプラスチック廃棄物の回収・リサイクルを行い、相殺する。この作業を担うのは、リパーパス・グローバルの3大陸にまたがるリサイクル・イニシアティブ・ネットワークの現地企業。最後に、3ブランドはロードマップを作成し、新品のプラスチックの使用量を大幅に削減することを約束している。

ペットフード・ブランド「ネイチャーズ・ロジック」:最初に手を挙げた企業に注目が集まる

自然派ペットフード・ブランド「ネイチャーズ・ロジック」では、化学的に合成されたビタミンやミネラル、その他の添加物を一切使用していない。デビッド・ヤスクルカCEOは、同産業で10年以上経験を積んだ後、環境的、社会的に責任あるビジネスを成長させていくことに尽力している。「私たちのミッションは、自然の論理を私たちが触れるすべてのものに適用させること」と語る。

ネイチャーズ・ロジックでは、再生可能エネルギーを用いて、オフィスの電力と食品の製造を行っている。ほかにも、同社はペット・サステナビリティ連合に属しており、海からプラスチックを取り除く支援を行う「フリー・ジ・オーシャン」というイニシアティブのスポンサーも務めている。

プラスチック・ニュートラリティを他社に先駆けてとり入れたヤスクルカCEOは、この過程は「厳格なプロセスを通過する必要がありますが、高価すぎるわけでもなく、難しすぎるわけでもない」と言う。

ネイチャーズ・ロジックには、先駆者としての誇りがある。ペットフード市場で初めてプラスチック・ニュートラル認証を取得したブランドであり、ペットフード産業で初めて100%自然素材を使った製品を実現した。

すでに確立した業界の中で革新を起こすことが難しいからこそ、そこに何か新しいものを加えることができれば、市場で革命を起こし、消費者の関心を集められる。プラスチック・ニュートラリティの考え方があったから、ネイチャーズ・ロジックは他のブランドとの競争から一歩抜け出すことができた。消費者や小売り業者は世界に変化をもたらしたいと考えており、ヤスクルカCEOは同社が注目に値する企業であることを証明した。

「消費者は今後、支持するすべての製品にプラスチック・ニュートラル認証がついていることを期待するようになるだろう。そうでなければ、シールのある製品やブランドに切り替えていくだろう」と予測している。

水産加工会社セーフ・キャッチ:認証取得でブランド・ポジショニングを拡張

セーフ・キャッチは、ツナ缶に使うマグロなどの水銀含有量を独自技術で検査し、調達するかどうかを決めている水産加工品会社だ。製品に使われるマグロやサケなどは持続可能な方法で漁が行われ、水銀の安全基準テストを行い、添加物を一切使わずに商品を製造している。

代表兼共同創業者の一人、ショーン・ウィットンバーグ氏は、独自の純度試験技術や水産物の品質保証プログラムを開発してきた。彼は自身のサステナビリティへの情熱を消費者に対する透明性へと変換するためのプラットフォームを構築してきた。

海産物を取り扱う企業にとって、健康な海は成功に欠かせない。

ウィッテンバーグ氏は「環境の純度が保たれていれば、われわれの食の純度も守られる」と考えている。彼は環境の健康と消費者の健康の間には共生関係があることを知っているのだ。「海洋生態系を守るというのはわれわれの理念であり、世界に対するコミットメントだ」と信じている。

プラスチック・ニュートラルの考え方は、ウィッテンバーグ氏の会社の価値観に自然に適応したのだ。「われわれがパウチ容器に使っているプラスチックと同量の海に浮かぶプラスチックを回収し、リサイクルすることで相殺するという取り組みは、地球を大事にするわれわれの考え方の延長線にあるものだ」と彼は言う。

「消費者は、味や栄養価といった項目以上の価値を求めている。商品は、具体的な社会的責任を示すものであることが必要だ」

リパーパス・グローバルは、セーフ・キャッチのこうした期待やブランド・ミッションに沿う形で、プラスチック相殺プロジェクトのポートフォリオを作成。その中身は、社会の中で過小評価されているゴミ回収を行う人たちへの社会経済的な援助と海洋生態系の保全に焦点を当てたものとなっている。

スチトワとウェイスト・ヴェンチャーズ・インディアという、インドにある2つのリサイクル・ソーシャル・ベンチャー企業は、ハイデラバードの埋め立て地や、ケララ沖のインド洋に漂っていたやわらかい容器ゴミを回収するために、セーフ・キャッチのプラスチック相殺寄付金を利用している。

2社のベンチャー企業は、120以上のゴミ回収業者やその家族の収入を作り出しており、さらにケララ州にある経済的な機会に恵まれない沖合漁業組合で25人以上の女性を雇用することも実現した。

セーフ・キャッチのようなブランドは、ビジネス戦略を個々の企業利益の先、社会全体の・よりきれいな環境に利益をもたらすために進化させている。セーフ・キャッチのようなブランドは、「それぞれの企業の利益にとどまらず、より大きな意味で社会的にいいこととクリーンな環境に貢献するため」に事業戦略を進化させている。

持続可能な農業に取り組むファリントン・オイルズ:ブランド・ロイヤルティを深め、新たな顧客を獲得する

農家の4代目ダンカン・ファリントン氏は、持続可能な農業に従事している。ファリントン・オイルズは、英国で初めて「シード・トゥ・ボトル(種から瓶詰めまで)」と呼ばれる、冷凍圧縮されたアブラナの種の油を売り出した企業だ。種は、LEAF(環境と農業の連携)ガイドラインに則った方法で収穫されている。

ファリントン氏は全面的に、自社のブランドを可能な限り環境にやさしくなるように改革しようと努めている。農場の電気量の半分を太陽光発電でまかない、日々、社会や環境にインパクトを与える最新の戦略を研究し続けている。そんなファリントン氏にとって、リパーパス・グローバルがもたらす即時性のあるインパクトは、他のサステナブルなプログラムを差し置いて氏を惹きつけるものだった。

「多くの大企業が10年や20年先の約束をする様子を見てきた」と語る。しかし彼は、長期的目標ではなく、ファリントン・オイルズが気候変動に迅速に取り組む企業であってほしいと考えた。プラスチック・ニュートラルになるために一歩を踏み出すことで、「サステナビリティは私たちが話している範囲だけのものではないことが明確になった」と語る。

全国紙の社説や地方のラジオ、テレビでのインタビューに加えて、「圧倒的にポジティブな」消費者の反応によってプラスチック・ニュートラルによるブランド構築がもたらす潜在的な力が証明されたという。

ファリントン氏は、プラスチック・ニュートラルを達成することでブランドの価値と顧客をより強く結びつけ、「製品をさらにアピールすることができた」と感じている。認証を取得したことで、環境配慮への意識が高い顧客をターゲットにすることができ、気候変動対策への道筋も明確になった。

環境への影響はさておき、認証の取得はビジネスの観点からも成功したと言えるだろうか――。ファリントン氏は「プラスチックのオフセット・プログラムには初期費用がかかるかもしれないが、顧客ロイヤリティの向上や新規顧客の獲得など、ビジネスへのメリットがあった」と認める。同氏は「企業が環境に配慮するのであれば、気候変動オフセット・プログラムを推進するべきだ。私たちのような小さな会社でもできるのだから、誰でもできるはず」と確固たる信念を持っている。

プラスチック・ニュートラルのフレームワークによって、企業は環境への影響を査定し、行動を起こすことができる。このプラットフォームを通して、企業は自分たちと競合他社との差別化を図り、ブランドのロイヤルティを高め、新たな客層を獲得することも可能だ。ブランドやイノベーターが連携してこそ、われわれは廃棄物を減らし、生命を蘇らせ、自然のバランスを取り戻すことができるのだ。