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森林伐採の防止が新たなパンデミックリスクの低減につながる

JUSTIN MEIER・SAM SINKLER (FSC)

森林伐採により、コウモリやその他の動物と人間との距離が近づき、本来共生するはずではなかった種同士が引き合わせられ、新しい人獣共通感染症による破滅的な事態を招いている。(翻訳=梅原洋陽)

人獣共通感染症(動物から人間に広まる感染症)は、長年に渡り、人間がかかる新たな感染症の一つだ。近年では重症急性呼吸器症候群(SARS)や、中東呼吸器症候群(MERS)、エボラ出血熱、そして現在の新型コロナウイルス感染症の拡大などが当てはまる。新興感染症のうち60%が動物由来で、感染力がとても高く、危険となりうる。

病気の治療結果を向上させる医療技術の進歩があるにも関わらず、動物由来の新興感染症の発生率と、それらが大流行する可能性は増加している。このことは、人口増加のほかに人間と野生動物が接触する機会の増加がある程度関連している。いま直面しているパンデミックが警鐘となり、森林伐採はこれまでになく明白な問題となっている。そして、森林管理協議会(FSC)といった、森林を保護する解決策が注目を浴び始めている。

多くの科学者たちは、野生地域との急激な接近、森林伐採や動物の生息地域の悪化、そして人間の環境への侵入を伴うその他の生態系に及ぼす影響が、命に関わる新たな人獣共通感染症を引き起こし続けるだろうと予測している。

森林伐採は、非常に多様な野生生物を人間や家畜と接触させる。事実、森林伐採はコウモリや人間に身近な動物の生物多様性を高め、本来共生するはずがなかった種を引き合わせ、新たな感染症を創り出す破滅的事態を招いている

他の哺乳類もそうした感染症に感染、あるいは媒介する可能性があり、人口増加が起きている現状での多様な種の関わりは、感染症の拡大を引き起こす可能性を高めることになる。

したがって、最近のVoxとNetflixが共同制作したドキュメンタリーシリーズ『”新型コロナウイルス”をダイジェスト』や、いま流行りの2011年の映画『コンテイジョン』で示されていたように、私たちは危険な伝染病と直面し続けることになる可能性が高い。そしてそれは主に森林伐採と、人口拡大に関連した影響に起因するのである。

森林伐採と新しい感染症の発生との明確なつながりを考慮すると、FSCのような組織が、森林管理の責任を促進して行く役割は、これまでになく重要である。

われわれは地球の生態系が土地利用の転換(森林伐採の跡地を農地、工場、宅地などに転換)により影響を受けていると認識し、森林伐採や土地利用の転換に強く反対する。森林伐採を促す強力な経済的・財政的な動機が世界中に存在することを鑑み、FSCの市場原理に基づいたシステムは、持続可能な森林管理を実現するために、財政的なインセンティブを活用しながら、森林伐採に直接働きかけている。

世界中の何千もの企業や多くの政府が利用する認証制度を使い、潜在的に危険な森林伐採を食い止めるための認証の力は強まっている。FSCはすでに森林認証制度における指導的立場で、世界基準となっている。環境的にも適切で、社会的にも利益があり、経済的にも実現できる、市場のインセンティブを活用した世界の森林を管理する、森林伐採に対抗する重要なフレームワークを提供している。

FSCの原則と基準は、世界の森林への安定した長期的コミットメントに焦点を当てている。FSCに認可された森林の所有者には、森林の長期的な健康状態を重視することを求め、管理者が永続的に森林管理を行えるように、経済的な実現可能性を考慮した計画を立てることを保証している。

このフレームワークの強みは、「FSCと組織の関係に関する指針」によってより強固なものになっている。これにより、違法な伐採による森林破壊や、保護価値の高い森林(希少で絶滅の危機がある野生生物の生息地など)の破壊を直接的あるいは間接的に行う企業との連携を規制できる。

世界が新型コロナウイルスによる経済的な損失を、人命と経済活動の両方の観点からすべて見積もることができるまでには、まだいくらか時間がかかるだろう。しかしながら、世界の生態系を重視する圧力がさらに増加すると、経済的に実現可能な環境保護を行うインセンティブもまた同様に増加する。ひょっとすれば、この新しい感染症の副作用は、森林保護への新たな、そしてより画期的なアプローチなのかもしれない。