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2020年、環境再生型農業が拡大する――サステナビリティの次の段階「リジェネレーション」とは

MATTHEW WADIAK

環境再生型農業(Regenerative Agriculture)への注目が集まっている。環境再生型農業は、長期間に渡って土壌の改善を促し、空気中の二酸化炭素を吸収しながら食料を生産する仕組みだ。先進的な企業は、持続可能性を考えるだけでなく、その先の環境を再生することまで考えることが大事だと言い始めている。環境再生型農業について、米食材宅配最大手「ブルー・エプロン」の共同創業者で、新たにクックス・ベンチャーを立ち上げ、環境再生型農業を推進するマシュー・ワディアク氏が解説する。(翻訳=梅原洋陽)

環境再生型農業については、民主党の大統領候補者は、二酸化炭素の大気中への排出を抑制する土壌の炭素隔離において農業が果たす役割を議論しているし、いくつかの航空会社の機内でも究極の農場をつくる米国の夫婦を追ったドキュメンタリー映画「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」が放映されている。生物多様性や土壌の健康状態、適切な畜産の重要性は、食品にあまり関心を持っていない人や美食家にも伝わり始めている。

工業型農業とは異なり、環境再生型農業は環境や人々の健康を尊重しながら良い変化を起こす、気候変動に立ち向かう手段になるという認識が広がっている。「輪作」という、同じ土地で異なる作物を一定の期間をおいて周期的に栽培する方法を活用し、温室効果ガスを大気に放出するのではなく土壌に留める丈夫な根っこを育てるのだ。

しかしながら、米国の消費者が実際に口にする環境再生型農業で育てられた食品はほんのわずかしかない。適切に管理された牛や羊など反すう動物は土壌に与える影響を直接、劇的に改善できるため、環境再生型農業の話題の中心になるのは牛肉が多い。しかし、その他の食品が同様の水準に達しなくても良いというわけではないだろう。消費者は2020年、生産から消費にたるフードシステムのすべてにおいて責任と透明性を求めるようになるだろう。これまで見落とされてきたが、以下の領域は特に注目を集めるだろう。

鶏肉

米国で最も消費されている肉の種類でありながら、動物の健康や環境的な影響を考えると、牛肉や豚肉業界からかなり遅れをとっている。小規模ではあるものの、土地利用型畜産が数年間行われている地域もある。しかし、大規模で、商業ベースの畜産家の間ではまだ広まってはいない。

私が創設した「クックス・ベンチャー(Cooks Venture)」(米国・ニューヨーク)は土地利用型畜産に着手する最初の会社だ。アーカンソー州の農場で育てている鶏たちは、外に自由に出ることができ、ひっかかれても、走り回っても、外で寝ても大丈夫な健康で体力のある遺伝子を持つ種類。米国の農家と連携して作った飼料は被覆作物と非遺伝子組み換え穀物を混ぜ合わせたもので、土壌を損なうのではなく土壌を改良するもの。

このように最初から最後まで責任を持った、動物と土地の両方の生態を重視した飼育が一般的になることが重要だ。消費者の要求に応えながら、地球と共生するためのシステムが欠かせない。

穀類

中力粉はどれくらいキッチンに置きっぱなしだろうか。どんな小麦を使用していて、どこで育てられたのだろうか。もしこれらの質問に答えられたなら、あなたは大丈夫だ。

2020年は、さらに多くの人が環境再生型システムで育てられた、新鮮な在来小麦を買うようになるだろう。スーパーのパンやお菓子、パスタのコーナーにもそうした商品が並ぶようなるだろう。クラフトビールやウィスキーにも使用されるはずだ。

水産養殖

工業型農業が土地に影響を与え、商業型漁業が水路に大きな影響を与えている。2020年には、海や川、湖から魚を獲るよりも、水性植物や水生動物を養殖するようになるだろう。生態系に配慮していない従来の養殖とは異なり、環境再生型の水産養殖は生物に与えうる影響をすべて考慮するものだ。

環境再生型の水産養殖ではカキやムール貝、アサリなど1日に約190リットルもの水をろ過する貝類のほか、スーパーフードとしてサラダバーに並んでいる昆布や海苔なども扱う。陸地ではフロリダの企業アトランティック・サファイア・サーモン(Atlantic Sapphire Salmon)などが水を節約し、ゴミをアップサイクルするような革新的な海産物の育て方、餌やりの方法を開発している。

海面は上昇し、炎が燃え上がり、表土は流されている。私たちの日々の生活が環境に与えている影響は明らかになっている。2020年、環境再生型農業はニッチな選択肢の一つではなくなり、世界をより良い方向に進ませるための最適で、最も重要な選択肢になるだろう。私たちの未来がかかっている。

マシュー・ワディアク
Cooks Venture 創業者兼CEO 
米食材宅配最大手「Blue Apron」の共同創業者・元COO。マシューは未来を見据えたフードシステムの構築を目指している。気候変動を食い止めるため、工業型農業から環境再生型農業へ変えようと取り組み、鶏や牛、豚、野菜などを育て質が良く美味しい食材を販売する。

Sustanable Brandsの2020年度のグローバルテーマは「Regeneration(リジェネレーション)」です。