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国や地域で異なる「働きがいのある会社」に従業員が求めるもの

Great Place to Work

日本に限らず世界中どこであっても、信頼性が高く業績の良い職場と平均的な職場で働くのとでは大きな違いがあるものだ。「働きがいのある会社」を世界60カ国で調査・分析する専門機関Great Place to Workは「世界のベスト・ワーク・プレイス2019(『働きがいのある会社』世界ランキング2019)」を発表している。「働きがいのある会社」ランキングに選ばれる企業は従業員の幸福度をどう高めているか考える。

世界90カ国約1万社で働く340万人の従業員が職場での働きがいについて回答している。素晴らしい職場をつくる要因は世界的に共通するものもあるが、地域的な特徴もある。

米国やカナダでは、良い時も悪い時も寄り添ってくれるコミュニティが素晴らしい職場をつくる要因だ。南米では、職場は政情不安から解放される場所でもあり、精神的な安全が重んじられている。欧州で働く人たちは公平性を重視する。従業員の幸福度が最も低い地域、アジアや中東では持続可能なワーク・ライフ・バランスが素晴らしい職場の条件だ。

従業員の10人中9人が働きがいを感じているという「世界のベスト・ワーク・プレイス2019」は、素晴らしい文化を生み出して世界的に注目されている。そして、未来は明るい。Great Place to Workが「世界で最も働きがいのある会社」を認定してきた過去9年間に、従業員の信頼や誇り、仲間意識は全体で5%上がった。

人を大事にする企業は競争力が高まる

明らかに、これまで以上に多くの企業が人材に投資する重要性を理解するようになってきている。

しかし、その他の企業はどうだろうか。もし世界の企業のうち46%が働きがいを感じられない職場だったら、10億人以上が職場で生きがいを感じられていないということになる。つまり、そうした組織は潜在能力を発揮できていないということだ。

これまでの30年間でGreat Place to Workが集めたデータや、1億人以上の従業員を代表する意見が示すのは、信頼度の高い職場での経験がビジネスの成功につながるということだ。「世界のベスト・ワーク・プレイス」では、86%の従業員が長くその職場で働こうと考え、88%は自発的な努力を楽しんで行っている。86%は協力的な労働環境で働いている。

世界の平均的な職場に目を向けると、従業員が働きがいを感じていない場合、市場機会を活用し、競合他社に打ち勝つための企業力が弱体化する。

地域によって異なる「働きがいのある職場」

Great Place to Workは、職場文化を「公平な扱い」「マネジメントの信頼性」「リーダーシップ」「組織価値」「ワーク・ライフ・バランス」などの項目で分析し、50以上に分類している。従業員の幸福度は、どこで暮らし、働くかによって異なることが分かっている。

米国・カナダ

米国・カナダは「コミュニティ」を重視する。両国の働きがいのある職場は、ビジネスが上手くいっている時には従業員が目標を達成するために一致団結し、大変な時には乗り越えるために力を合わせる。

働きがいのある企業は、特別なイベントの時には祝い、利益を共有し、解雇は最終手段と考えている。団結することによって、コミュニティに利益を還元し、人に協力を求めることができるようになる。

米国やカナダの企業は、安定しない景気と格闘し、事業再編や効率的な経営方式に対応している。しかし、こうした方針は人員整理やリソースの不足、不確実性を引き起こしかねない。

米国やカナダでは、分断の中で、良い時も悪い時も、結束する重要性を理解している職場が働きがいのある場所だ。

南米

南米では「安全」が大事だ。この地域では、明確なコミュニケーションや職場以外のコミュニティを気遣う結び付きなどを通じて、職場が精神的に安全を確保できる環境を整えることで、従業員は前向きに働ける。

南米で最も働きがいのある職場は、健全な感情を保てる職場、重要課題を共有するマネジメント、組織の地域社会への貢献に対する好意的感情がずば抜けている。

南米諸国はここ数年、重大な社会的、経済的、政治的混乱を乗り越えようとしている。南米の働きがいのある企業は、不確実性の高い社会状況を背景に、リーダーが同僚を気遣い、従業員も仕事に全力投球するという双方向のコミュニケーションがとりわけ重要だと考えている。

欧州

欧州で大事なのは「公平性」。公平性への対策が働きがいのある職場かどうかを左右する。欧州の従業員は、功績は平等に認められ、利益は公正に共有され、公平に昇進が決まると考えている。

公平な待遇を行う、働きがいのある職場かどうかを決める要因は2つある。経営者の言葉と行動が一致していること、組織権限を身勝手に濫用しないことだ。

欧州諸国は、ここ数年の移民や英国のEU離脱問題の流れの意味を理解している。ギリシャや仏などの国々はすべての人にとって平等で公正な年金制度を策定するよう取り組んでいる。権利や所有権、公正に対する疑問が全面に現れている。

欧州の働きがいのある職場では、従業員が徹底的に平等に扱われている。欧州の従業員は公平な待遇を受けていると感じると、さらに努力し、忠誠心を持って、仕事に取り組む。

アジア・中東

アジアや中東では「サステナビリティ」が重要と考えられており、働きがいのある職場かどうかは仕事と生活の持続可能性が保たれるかで決まる。

従業員は、バランスをとり深い人付き合いを職場で経験する。この地域では、仕事と個人の生活のバランスをとるよう奨励されている。

現在、アジアは世界で最も労働時間の長い地域だ。中国では、午前9時から午後9時まで週6日勤務する「996体制」があり、往々にして残業代は出ない。

日本では12時間勤務が一般的だ。休暇も少ない。さらに日本人は、平均的に、割り当てられた休暇を半分しかとっていない。日本には、働きすぎによる死亡という意味の「karoshi」という言葉さえある。

アジアで最も働きがいのある職場は、従業員が精神的に燃え尽きることもなく、歯車の一部になったような気持ちになるよりも人間らしい生活をすることができる職場だ。つまり、仕事以外の従業員の生活を尊重するということだ。

より充実したワーク・ライフ・バランスを実現したいと考えている経営者であれば、柔軟な勤務形態とさらに寛容な育児休暇制度をつくり、従業員がそれをうまく活用できるよう後押しすることができる。