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米75社CEOと労働組合、政府にパリ協定への残留求める声明を発表

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米サステナブル・ブランド編集局

COP25が2日、スペインの首都マドリードで開幕。米国では、アップルやグーグル、マイクロソフト、セールスフォース、ウォルト・ディズニー、ギャップ、コカ・コーラ、ネスレなどさまざまな分野で200万人以上を雇用する75社のCEOと1250万人の労働者を代表する米国労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)が、「パリ協定は世界を繁栄させるための約束。米国はパリ協定に残るべき」との共同声明を発表した。(翻訳=梅原洋陽)

いま、気候危機は深刻な局面をむかえている。その中で、先進的なビジネスリーダーたちは、健全な経済や国・企業の競争力、各社の従業員や地域社会のウェルビーイングを考えて今回の声明に署名している。参加するCEOは、テクノロジー企業では、アドビ、アップル、 グーグル、マイクロソフトやセールスフォース、アパレル企業からは、ギャップ、 グッチ、 ケリング、 リーバイ・ストラウス、PVH Corp。金融からはバンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ゴールドマンサックス、ING、マスターカード、消費財メーカーからはコカ・コーラ、マーズ、ネスレ、ペプシコ、ユニリーバなどだ。

米国のビジネス界のリーダーたちは、トランプ大統領が2016年の選挙時にパリ協定を離脱する意思を示してから、同協定を支持してきた。数十もの企業の経営者や機関投資家らが手紙を送り、米紙ニューヨーク・タイムズなどにも広告を出しながら、大統領に再考を求めてきた。今回の宣言の署名企業にはウォルト・ディズニーの会長でありCEOのロバート・アイガー氏やテスラの共同創設者・CEOのイーロン・マスク氏もいた。この二人は、アメリカがパリ協定からの離脱を発表した時に、ホワイトハウスの経済諮問委員会から身を引いている。

この1年間、民間企業は政府に対して気候変動から経済を守る対策を促進することを新たに求めてきた。昨年、トランプ政権がポーランドで開催されたCOP24で化石燃料の推進を表明したことに大きな反対を示した。その際、32兆ドルの資産を管理する415のグローバル投資家は企業や都市、州とともに、政府に対して気候変動を止めるためのさらに積極的な行動を、「2018年グローバル投資家による気候変動に関する政府への声明 (the 2018 Global Investor Statement to Governments on Climate Change)」で呼びかけた。

そして2019年5月には「CEO気候ダイアローグ(CEO Climate Dialogue)」が発足した。フォーチュン500に選出されている米国の13社が気候変動政策の成立を目指して超党派の支援を行うもの。規制を強化し、気候変動リスクを減らし、科学的根拠に基づく二酸化炭素の排出量の削減目標を達成するための投資・イノベーションを促進することを目指す。しかし、今日までこの提案はほとんど無視されている。

「地球を守り、すべての人の持続可能な成長を実現しながら、気候変動に対応するには、世界規模での行動が必要です。パリ協定は気候変動に対応するために、すべての国々を一つにしました。米国は、国民と世界のためにもこの重要なイニシアチブの一員であるべきです」――米エコラボ(ミネソタ州)会長兼CEO ダグラス・ベーカー氏

「現在と将来世代のためにも、今日われわれが直面している環境危機を無視してはいけません。企業や政府、市民社会、そして個人が共に行動し、もっと野心的になるべきです。行くところまで行ってしまうと、死んでしまった地球でビジネスは行えません。このキャンペーンは良いスタートです。すべての企業がここに参加することを求めます」
――イソップやボディショップを擁するNatura & Co取締役会長 ロベルト・マルケス氏

発表されたパリ協定残留を求める書簡「パリ協定のための団結」

署名した私たちは、米国内で200万人以上を雇用するCEOと、1250万人の労働者を代表する労働組合のリーダーからなるグループです。私たちは、気候変動への取り組みを推進することが、健全な経済、人々の仕事、そして企業とこの国の競争力にとって重要だと理解しています。

2017年、私たちは米国のパリ協定への参加を支持しました。そして本日、その立ち位置は今でも変わっていないと伝えるために団結しました。パリ協定へのコミットメントに必要なのは、労働力のあり方を変化させることだけです。労働者と組合との対話を通じて、労働者の権利を尊重することです。パリ協定の参加によって、私たちはその変化に向けて計画を立て、新たに適切に家族を支える仕事と経済発展の機会をつくり出すことができます。

パリ協定に残留することで、グローバルマーケットにおける私たちの競争力は強まり、変化を推進する新たなテクノロジーを生み出すことでアメリカの立場を優位にし、労働者やコミュニティを支援し、新たな仕事を創出しながら、持続する企業を生むことが可能になります。

明確な目標は長期計画を立てることにつながり、投資を助けてくれます。低コストで二酸化炭素の排出量を抑制するイノベーションを促進することになります。

進歩はあるものの、十分ではありません。今まで以上に大きな、そして加速したアクションが必要です。パリ協定の定める強力なフレームワークが必要です。そして、米国が二酸化炭素の排出量を削減する道を自分で選ぶことができるフレームワークです。

パリ協定は、たった一つの、世界を繁栄させるための約束です。米国が私たちに加わり、残留することを強く求めます。